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誰が聞いても、俺は夏樹のことを束縛しているだろう。知らないことを作りたくないのは、以前から変わりない。夏樹は一人で行動しようと試みている。そこも分かっているが、俺がそばにいたい。
「僕の場合は腕の中に入れています。本人が出て行こうとしますが」
「ほお、常務の変化だな。本音を吐露することがだ」
「ええ。……ああ。泣きそうになっている」
「どうしたんだ?ああ……。勿体ない」
画面を見た。プリンアラモードを倒したようだ。そして、安全な場所へ移動させている。テーブルを拭いている光景が映し出された。夏樹がプリンが落ちたと泣きそうな声を出し、俺へ話しかけて来た。
「黒崎さーん。聞こえているかな?お皿を倒したけど、怪我はしていないからね。プリンが無事じゃなかったけど……。ゆうとー、いいってば。一緒に食べに行こうよ。……もしもしー?買いに行こうとしてくれたんだ。定番プリンを」
「なつきー。買ってあげるから泣くなよー。俺のせいだし……」
「ネガティブになるなよ~。……そういうわけだよ。黒崎さんのせいだよ。ふん」
「そうか。その通りだ」
けっして慌てずに報告をされた。涙ぐむほどに残念がっていても。画面の向こうでは、肩を寄せ合って、2人がテーブルを片づけている。あの駅での光景が思い浮かんだ。バレンタインイベントのことだ。この寂しさも否定しない。ましてや、ドアの向こうに置くことも。
「明後日の日曜日に、カンテールへ連れて行ってやる。……悠人君に伝えてくれ。早瀬に土産を預けておく。月夜のレンジャーの饅頭と皿のセットだ」
「……へえー。キャンペーンの景品なのか。ゆうとー、午後からの演習に身が入るね~。うひゃひゃひゃ~」
この後のオリエンテーションの時間が、蝶を捕まえる演習だと知った。走るな、転ばないようにしろと注意しておいた。そして、時間が来たからと通話を終えた。
オフィス内に活気が出始めた頃だ。すると、須賀部長から資料を渡された。見慣れたレポートの文面であり、”甘酒製造機”とタイトルが打ってある。理久が持ち込みを続けて、いよいよ完成形に近づいた。開発部で試用するために、現物を預けておいた。
「いい出来だ。ぜひ試用を続けたい。本人へ連絡しても構わないか?」
「もちろんです。喜ぶでしょう」
「うちの部で、初めてのインターン受け入れだ。活気が生まれるだろう」
地道に持ち込みを続けた結果、開発部での受け入れが決定した。将来の夢を複数持ち、選んだのは黒崎製菓だった。早瀬のデスクへ視線を向けた。彼も同じように選択し、自分にも同様の事があり、当時の光景が重なった。
もうすぐでサエキ酒造が黒崎製菓グループに入る。代表取締役社長が交代した。亡くなった祖父である代表取締役から経営権を引き継いだのは、大学生の理久だ。グループに入ること条件に、別の親族に譲り渡した結果だ。
親族間では争いが起こったそうだ。笑顔を失くした子が、また一人現れたと胸が痛んだが、原点に立ち還った事が理由だと、理久からは、強い意志を持ってグループに入ると伝えられた。その時、大学生当時の俺とは違う、生き生きとした笑顔を浮かべていた。
「僕の場合は腕の中に入れています。本人が出て行こうとしますが」
「ほお、常務の変化だな。本音を吐露することがだ」
「ええ。……ああ。泣きそうになっている」
「どうしたんだ?ああ……。勿体ない」
画面を見た。プリンアラモードを倒したようだ。そして、安全な場所へ移動させている。テーブルを拭いている光景が映し出された。夏樹がプリンが落ちたと泣きそうな声を出し、俺へ話しかけて来た。
「黒崎さーん。聞こえているかな?お皿を倒したけど、怪我はしていないからね。プリンが無事じゃなかったけど……。ゆうとー、いいってば。一緒に食べに行こうよ。……もしもしー?買いに行こうとしてくれたんだ。定番プリンを」
「なつきー。買ってあげるから泣くなよー。俺のせいだし……」
「ネガティブになるなよ~。……そういうわけだよ。黒崎さんのせいだよ。ふん」
「そうか。その通りだ」
けっして慌てずに報告をされた。涙ぐむほどに残念がっていても。画面の向こうでは、肩を寄せ合って、2人がテーブルを片づけている。あの駅での光景が思い浮かんだ。バレンタインイベントのことだ。この寂しさも否定しない。ましてや、ドアの向こうに置くことも。
「明後日の日曜日に、カンテールへ連れて行ってやる。……悠人君に伝えてくれ。早瀬に土産を預けておく。月夜のレンジャーの饅頭と皿のセットだ」
「……へえー。キャンペーンの景品なのか。ゆうとー、午後からの演習に身が入るね~。うひゃひゃひゃ~」
この後のオリエンテーションの時間が、蝶を捕まえる演習だと知った。走るな、転ばないようにしろと注意しておいた。そして、時間が来たからと通話を終えた。
オフィス内に活気が出始めた頃だ。すると、須賀部長から資料を渡された。見慣れたレポートの文面であり、”甘酒製造機”とタイトルが打ってある。理久が持ち込みを続けて、いよいよ完成形に近づいた。開発部で試用するために、現物を預けておいた。
「いい出来だ。ぜひ試用を続けたい。本人へ連絡しても構わないか?」
「もちろんです。喜ぶでしょう」
「うちの部で、初めてのインターン受け入れだ。活気が生まれるだろう」
地道に持ち込みを続けた結果、開発部での受け入れが決定した。将来の夢を複数持ち、選んだのは黒崎製菓だった。早瀬のデスクへ視線を向けた。彼も同じように選択し、自分にも同様の事があり、当時の光景が重なった。
もうすぐでサエキ酒造が黒崎製菓グループに入る。代表取締役社長が交代した。亡くなった祖父である代表取締役から経営権を引き継いだのは、大学生の理久だ。グループに入ること条件に、別の親族に譲り渡した結果だ。
親族間では争いが起こったそうだ。笑顔を失くした子が、また一人現れたと胸が痛んだが、原点に立ち還った事が理由だと、理久からは、強い意志を持ってグループに入ると伝えられた。その時、大学生当時の俺とは違う、生き生きとした笑顔を浮かべていた。
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