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式典が終わった。おめでたい席なのに、泣きはらした顔で会場を出ると、枝川さんからカメラを向けられた。こんな姿を撮らないでくれと頼んだところ、君はもう、うちの社員だから拒めないと笑われた。ふと気づいたのは、敬語を使われていない事だ。オフィスへ訪ねた時は、常にそうだったのに。それが心地良い。
コラボするミュージシャンに対しての関係なら、今までと同じ扱いだったに違いない。ーー写真を撮らせて頂いても、構わないでしょうか?と聞かれたかも知れない。たとえ強引に撮影される結果でも、一声かかるはずだ。事実、悠人にはそうしている。
「枝川さん。そういう事ですよね?」
「どうした?……なるほど。意識していなかった。“デス、マス”にしようか?」
「いえ、後輩として扱ってください!」
「あのなあー。そこまで気を張らずに、肩の力を抜け。病気になるっていうと、縁起が悪いけどな。真面目な子に限って、3年目で体調を崩す。……アドバイスの内容か?次のボーナスまで待てと話している。ここが潰れたから終わりだけどって。君の存在があるから、会社は動いているんだぞーって……。休職した子には、一回、職場へ戻ってもらう。それでも気持ちが変わらないなら、やめるのもアリだ。引き止めないぞ?……二度と会えなくなるわけじゃない。取引先になって、俺の方が頭を下げる立場になるかも知れない。苛めないで貰いたいから、いい先輩上司になっておく。こわーー、偉そうにしてくれ!悠人君、黒崎君を言い聞かせてくれ。副社長が怖いよーー」
「ありがとうございます!」
「おおーー」
「いいぞーー!若者ーー!」
あえて意識をして、スタジオにいる時と同じような挨拶をした。声量を抑えたのに、周りが驚いている。そして、元気がいいと褒められた。ロビー内に響き渡ったのかな?それなら成功だ。俺は歌手だからだ。
いっそうざわめき出したロビーを眺めると、幹部社員や新体制の役員メンバーが会場内から出て来ていた。その中には早瀬さんの姿があり、枝川さんが逃げ出した。悠人が立っているから来るに決まっていると。
しかし、歩いて行った先には、黒崎が歩いて来ていた。壇上よりも柔和な雰囲気なのに、枝川さんが後ずさりをして、声量を発揮した。
「運営側の様子を見てきます!行って参ります!」
「枝川、待ってくれ。悠人君を車寄せへ送ってもらえないか?佐伯君も一緒に」
「承知しました。……どこだ?」
どうして理久が来ているのだろう?サエキ酒造の方からも出席したのは聞いている。悠人が探し出して、大きく手を振った。一緒に居る人たちは年配者ばかりで、幹部クラスのように見えた。ますます不思議だ。インターンに来るというのに。すると、理久の方から声をかけられた。
「こんにちはーー。見かけたんだけど、囲まれていたから、声を掛けなかったんだ。他の企業の人に、紹介してもらっていたし」
「どうしてだよ?もしかして……」
「そういう事か……」
理久のスーツの胸元には、サエキ酒造の社章が付けられていた。社員ならインターンに参加できないはずだから、企業間の交流として参加するのだろう。それを聞くと、正解だと言われた。
サエキ酒造の役員のメンバーに入り、勉強を始めるという。重ねて、黒崎製菓のインターンに参加し、交流を繋げると笑顔で言われた。その後、黒崎がそばへ来て声をかけた。
「佐伯君。自分の立場を人質だと言うな」
「人質ではありません。こちらにお世話になったんです。失礼に当たりますから……」
亡くなった祖父から、純白さんのことを聞いたそうだ。それ以上は何も言わずに、悠人と理久のことを枝川さんへ預けた。
お義父さんはどこだろう?と見渡すと、黒崎から端の方へ促された。帰りが遅くなるから、話しておくことがあるそうだ。
コラボするミュージシャンに対しての関係なら、今までと同じ扱いだったに違いない。ーー写真を撮らせて頂いても、構わないでしょうか?と聞かれたかも知れない。たとえ強引に撮影される結果でも、一声かかるはずだ。事実、悠人にはそうしている。
「枝川さん。そういう事ですよね?」
「どうした?……なるほど。意識していなかった。“デス、マス”にしようか?」
「いえ、後輩として扱ってください!」
「あのなあー。そこまで気を張らずに、肩の力を抜け。病気になるっていうと、縁起が悪いけどな。真面目な子に限って、3年目で体調を崩す。……アドバイスの内容か?次のボーナスまで待てと話している。ここが潰れたから終わりだけどって。君の存在があるから、会社は動いているんだぞーって……。休職した子には、一回、職場へ戻ってもらう。それでも気持ちが変わらないなら、やめるのもアリだ。引き止めないぞ?……二度と会えなくなるわけじゃない。取引先になって、俺の方が頭を下げる立場になるかも知れない。苛めないで貰いたいから、いい先輩上司になっておく。こわーー、偉そうにしてくれ!悠人君、黒崎君を言い聞かせてくれ。副社長が怖いよーー」
「ありがとうございます!」
「おおーー」
「いいぞーー!若者ーー!」
あえて意識をして、スタジオにいる時と同じような挨拶をした。声量を抑えたのに、周りが驚いている。そして、元気がいいと褒められた。ロビー内に響き渡ったのかな?それなら成功だ。俺は歌手だからだ。
いっそうざわめき出したロビーを眺めると、幹部社員や新体制の役員メンバーが会場内から出て来ていた。その中には早瀬さんの姿があり、枝川さんが逃げ出した。悠人が立っているから来るに決まっていると。
しかし、歩いて行った先には、黒崎が歩いて来ていた。壇上よりも柔和な雰囲気なのに、枝川さんが後ずさりをして、声量を発揮した。
「運営側の様子を見てきます!行って参ります!」
「枝川、待ってくれ。悠人君を車寄せへ送ってもらえないか?佐伯君も一緒に」
「承知しました。……どこだ?」
どうして理久が来ているのだろう?サエキ酒造の方からも出席したのは聞いている。悠人が探し出して、大きく手を振った。一緒に居る人たちは年配者ばかりで、幹部クラスのように見えた。ますます不思議だ。インターンに来るというのに。すると、理久の方から声をかけられた。
「こんにちはーー。見かけたんだけど、囲まれていたから、声を掛けなかったんだ。他の企業の人に、紹介してもらっていたし」
「どうしてだよ?もしかして……」
「そういう事か……」
理久のスーツの胸元には、サエキ酒造の社章が付けられていた。社員ならインターンに参加できないはずだから、企業間の交流として参加するのだろう。それを聞くと、正解だと言われた。
サエキ酒造の役員のメンバーに入り、勉強を始めるという。重ねて、黒崎製菓のインターンに参加し、交流を繋げると笑顔で言われた。その後、黒崎がそばへ来て声をかけた。
「佐伯君。自分の立場を人質だと言うな」
「人質ではありません。こちらにお世話になったんです。失礼に当たりますから……」
亡くなった祖父から、純白さんのことを聞いたそうだ。それ以上は何も言わずに、悠人と理久のことを枝川さんへ預けた。
お義父さんはどこだろう?と見渡すと、黒崎から端の方へ促された。帰りが遅くなるから、話しておくことがあるそうだ。
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