233 / 514
19-6
しおりを挟む
寝室のベッドに寝転がった。さすがにクーラーを付けたのは、ベッドに熱がこもっているからだ。これでも体温が落ち着いたのかと、ぼんやりしながら、黒崎の胸の上へ這いあがった。腕の中で微睡むと暑いからだ。だからといって、離れて寝転がる気はない。
汗ばんだ肌が気持ち良くて頬ずりすると、笑い声が伝わって来た。顔を上げる力が残っていなくて、抱きついて生返事をした。
「どうしたの……?」
「汗を嫌がったことが無い。スーツを脱いだ時でもだ」
「いい匂いがするから好きだよ。何か言われたの?誰にだよ?」
「当ててみろ。一人しかいない」
「二葉か……。男しかいないもんね。笑っていたよ」
「お前から言われたことがある。酒くさいと」
「それは意味が違うよ~。傷つくなって。体臭が少ない方だから良かったね。人に会う機会が多いから」
「体臭は強い方だぞ。……こっちにおいで」
抱き上げるようにして腕の中に包まれた。わざと肌が触れ合うようにされて、吹き出して笑った。信じていないのか?と。大学の授業で学んだ結果、匂いの好みは、根っからの相性の良さがあるという話だ。
腕枕状態から右へバランスを取って転がり、胸の上に戻ってやった。それを今度は押し戻されて、端の方に転がってやった。ベッドが広めだから落ちなくて済む。
すると、危ないからだと腕が伸びて来た後、足元へ移動した。そして、シーツを頭から被って防御した。黒崎の方も本気だ。
「足をくすぐるなよー、ひゃひゃーー、やめろって」
「だったら出て来い。もう一度、抱きたい」
「動けなくなるからさ。激しくないけど……、力が抜けるから」
「もっと時間をかけたい。逃げるな。足を……」
油断した隙にシーツを取られて、足首を捕らえられた。踝や足首へ熱い息がかかり、思わず声が漏れそうになった。
その不意を突かれて、両手首を頭の上で押さえ込まれてしまった。右足で押しのけても、笑いながら動きを封じられた。本気にならなくても、この力だ。黒崎の力の強さを感じた。
「試したいことがある。お前は何もせずに寝ていればいい」
「……手首を縛るの?どうして?」
何を言い出したのか?と、見つめ返した。黒崎が笑い声を立てながら、耳元で説明して来た。それは変態的な内容だった。
「何を……、あんたねえ……」
「手を置いたままにするのと同じことだ」
「……ネクタイは、仕事のアイテムだろ?邪なことに使ったらダメだよっ」
「使っていないものを選ぶ。エプロンを着けてくれた時があったじゃないか」
「あの一回だけだよ。後悔したんだからね。朝方まで……」
「……今回は何もしない。そういう姿を見るだけだ。短時間で構わない」
「5分だけでも眺めたいってこと?もっと変態だよっ。もう起きるからね、ふん……」
「分かった。やらない」
「キッチンへ行くからね!シャワーを浴びて来たいし。しばらく降りてこないでねー」
振り返らずに起き上がると、両腕が伸びて来て引き戻された。苦笑しながら謝られても無駄だ。唇を啄んでは文句を吸い取られて、さらに笑い声が立てられた。
「わざとだろ?俺のことを怒らせてさ~」
「元気が出たじゃないか。夕方まで我儘を聞いてやる」
「だったら言わないよ。夕方までには機嫌を直すから……」
「俺のことを労ってくれ。楽しみの一つだ」
「だったら、一人でスーパーへ行って来る。叶えてよ」
「一緒に行く。シャワーを手伝ってやろうか?」
「エロい笑い方をするなよ。ふん……」
軽く睨みつけた先には、いけない魔力を放った大魔王がいる。気だるそうに首を動かしては、ため息をついている。その姿に騙されないように、そそくさと寝室を出た。
汗ばんだ肌が気持ち良くて頬ずりすると、笑い声が伝わって来た。顔を上げる力が残っていなくて、抱きついて生返事をした。
「どうしたの……?」
「汗を嫌がったことが無い。スーツを脱いだ時でもだ」
「いい匂いがするから好きだよ。何か言われたの?誰にだよ?」
「当ててみろ。一人しかいない」
「二葉か……。男しかいないもんね。笑っていたよ」
「お前から言われたことがある。酒くさいと」
「それは意味が違うよ~。傷つくなって。体臭が少ない方だから良かったね。人に会う機会が多いから」
「体臭は強い方だぞ。……こっちにおいで」
抱き上げるようにして腕の中に包まれた。わざと肌が触れ合うようにされて、吹き出して笑った。信じていないのか?と。大学の授業で学んだ結果、匂いの好みは、根っからの相性の良さがあるという話だ。
腕枕状態から右へバランスを取って転がり、胸の上に戻ってやった。それを今度は押し戻されて、端の方に転がってやった。ベッドが広めだから落ちなくて済む。
すると、危ないからだと腕が伸びて来た後、足元へ移動した。そして、シーツを頭から被って防御した。黒崎の方も本気だ。
「足をくすぐるなよー、ひゃひゃーー、やめろって」
「だったら出て来い。もう一度、抱きたい」
「動けなくなるからさ。激しくないけど……、力が抜けるから」
「もっと時間をかけたい。逃げるな。足を……」
油断した隙にシーツを取られて、足首を捕らえられた。踝や足首へ熱い息がかかり、思わず声が漏れそうになった。
その不意を突かれて、両手首を頭の上で押さえ込まれてしまった。右足で押しのけても、笑いながら動きを封じられた。本気にならなくても、この力だ。黒崎の力の強さを感じた。
「試したいことがある。お前は何もせずに寝ていればいい」
「……手首を縛るの?どうして?」
何を言い出したのか?と、見つめ返した。黒崎が笑い声を立てながら、耳元で説明して来た。それは変態的な内容だった。
「何を……、あんたねえ……」
「手を置いたままにするのと同じことだ」
「……ネクタイは、仕事のアイテムだろ?邪なことに使ったらダメだよっ」
「使っていないものを選ぶ。エプロンを着けてくれた時があったじゃないか」
「あの一回だけだよ。後悔したんだからね。朝方まで……」
「……今回は何もしない。そういう姿を見るだけだ。短時間で構わない」
「5分だけでも眺めたいってこと?もっと変態だよっ。もう起きるからね、ふん……」
「分かった。やらない」
「キッチンへ行くからね!シャワーを浴びて来たいし。しばらく降りてこないでねー」
振り返らずに起き上がると、両腕が伸びて来て引き戻された。苦笑しながら謝られても無駄だ。唇を啄んでは文句を吸い取られて、さらに笑い声が立てられた。
「わざとだろ?俺のことを怒らせてさ~」
「元気が出たじゃないか。夕方まで我儘を聞いてやる」
「だったら言わないよ。夕方までには機嫌を直すから……」
「俺のことを労ってくれ。楽しみの一つだ」
「だったら、一人でスーパーへ行って来る。叶えてよ」
「一緒に行く。シャワーを手伝ってやろうか?」
「エロい笑い方をするなよ。ふん……」
軽く睨みつけた先には、いけない魔力を放った大魔王がいる。気だるそうに首を動かしては、ため息をついている。その姿に騙されないように、そそくさと寝室を出た。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
トェルとリィフェルの動画つくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる