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(かっこいいんだけど……。このままだとマズいな……。悪くないけど?)
何だか照れくさいから、顔の辺りが熱くなった。どんなお泊まりセットを買ったのか、イジッてやろう。お店でのやり取りも聞きたい。
「黒崎さーん。お泊まりセットを見てもいいかな?」
「もちろんだ。リクエスト通りならいいが」
「お菓子と一緒に買ったんだね~。いっぱいあるねえ。大学へも持って行くよ」
大きなコンビニ袋を開くと、色とりどりのパッケージが見えた。見たことがないお菓子の袋だと思った。ガサゴソと取り出していくうちに、言葉に詰まった。お泊まりセット系しか入っていないからだ。取り出しても減らないのは、小さいパッケージがたくさん入っているからだ。
「黒崎さん……。どれだけ買ったんだよ?」
「お泊まりセットと名前がついているものは全種類だ。あとは店員から聞いて、化粧品の小さいものを選んでもらった」
「うっうっ。少しは困って狼狽えろよー。……分かった、シートマスクは使うよ。……どうして、口紅があるんだよ?……へえー、売っているの?……さすがに使わないよ~」
よくこんなに種類があるものだと驚いた。絵理奈なら使ってくれそうだ。二葉は使わないから、北岡さんへ渡してもらう。
それらを紙袋へ仕分けして済んだ後、黒崎が意地悪そうに笑っていることに気づいた。恥ずかしいわけがないのか。後ろめたいことなどない。
「これだけ一度に買えば、怪しまれずに済むもんね……」
「一つだけ買うのが怪しい。個数は指定されなかった。お前から命令されて、買いに来たと話してある。オーナーから笑われた。良かったな」
「その嫌みたらしい笑い方をやめろよーー」
思いきり余裕を見せつけられた上に、あっけなく身体を捕まえられて、隣に座らされた。これで気分は変わったか?と、不意に真面目な顔をされて、ドキッとした。こくっと素直に頷くと、笑い声を立てられた。
「15年長く生きているからだ。親父はもっと長い」
「尊敬しているんだ。こういう面はね。ううん、全部好きだよ……」
「期待を持たせ過ぎだ。……PVが流れ始めたぞ。気持ちを切り替えろ」
音楽番組のテロップには、EDENと表示されている。ちょうど始まったばかりだ。悠人とのツインボーカル部分で並び合い、ボーカルが歌声を上げた。サイドの久弥はリズムギターとして、時計の針のような役目を持っている。
悠人が話しかけるようにフレーズを奏でた後、背景が大きく映し出され、高い塔から、自分達を見下ろすようなアングルに変わった。赤みのある髪の毛のギタリストは、来年の3月から後方支援へ移ることになった。11月末のコンサートが、ラストステージになる。
「夏樹、泣いておけ。今なら構わない。それが一番引っかかっているはずだ」
「ギタリストが変わるんだ。植本さん達の紹介で探すよ。後方支援だから、一緒にやるのは同じだよ?ステージに立たないけど……っ」
その時期が決まったのが、3日前だ。一緒にやっていくのは同じなのに、自分の中では割り切れない。11月末までに、もっと上手くなっておく。下手なりに成長して、あのステンドグラスの指輪をつけて、ステージに立つ。悠人とも約束した。
もっと泣けと頬をつねられては、涙を引っ込めるしかない。もっと色んなことが起きるはずだから、弱くなっている暇はない。その代わりに、黒崎の胸にすがって目を閉じた。
もしかして寝ているのかと思うぐらいに静かにした。そして、感情の揺れ動きが静まるのを待ち、心を落ち着かせることが出来た。顔を上げた時、優しくお疲れさまと言われたから、別の意味で涙が出て、振り出しに戻ってしまった。
何だか照れくさいから、顔の辺りが熱くなった。どんなお泊まりセットを買ったのか、イジッてやろう。お店でのやり取りも聞きたい。
「黒崎さーん。お泊まりセットを見てもいいかな?」
「もちろんだ。リクエスト通りならいいが」
「お菓子と一緒に買ったんだね~。いっぱいあるねえ。大学へも持って行くよ」
大きなコンビニ袋を開くと、色とりどりのパッケージが見えた。見たことがないお菓子の袋だと思った。ガサゴソと取り出していくうちに、言葉に詰まった。お泊まりセット系しか入っていないからだ。取り出しても減らないのは、小さいパッケージがたくさん入っているからだ。
「黒崎さん……。どれだけ買ったんだよ?」
「お泊まりセットと名前がついているものは全種類だ。あとは店員から聞いて、化粧品の小さいものを選んでもらった」
「うっうっ。少しは困って狼狽えろよー。……分かった、シートマスクは使うよ。……どうして、口紅があるんだよ?……へえー、売っているの?……さすがに使わないよ~」
よくこんなに種類があるものだと驚いた。絵理奈なら使ってくれそうだ。二葉は使わないから、北岡さんへ渡してもらう。
それらを紙袋へ仕分けして済んだ後、黒崎が意地悪そうに笑っていることに気づいた。恥ずかしいわけがないのか。後ろめたいことなどない。
「これだけ一度に買えば、怪しまれずに済むもんね……」
「一つだけ買うのが怪しい。個数は指定されなかった。お前から命令されて、買いに来たと話してある。オーナーから笑われた。良かったな」
「その嫌みたらしい笑い方をやめろよーー」
思いきり余裕を見せつけられた上に、あっけなく身体を捕まえられて、隣に座らされた。これで気分は変わったか?と、不意に真面目な顔をされて、ドキッとした。こくっと素直に頷くと、笑い声を立てられた。
「15年長く生きているからだ。親父はもっと長い」
「尊敬しているんだ。こういう面はね。ううん、全部好きだよ……」
「期待を持たせ過ぎだ。……PVが流れ始めたぞ。気持ちを切り替えろ」
音楽番組のテロップには、EDENと表示されている。ちょうど始まったばかりだ。悠人とのツインボーカル部分で並び合い、ボーカルが歌声を上げた。サイドの久弥はリズムギターとして、時計の針のような役目を持っている。
悠人が話しかけるようにフレーズを奏でた後、背景が大きく映し出され、高い塔から、自分達を見下ろすようなアングルに変わった。赤みのある髪の毛のギタリストは、来年の3月から後方支援へ移ることになった。11月末のコンサートが、ラストステージになる。
「夏樹、泣いておけ。今なら構わない。それが一番引っかかっているはずだ」
「ギタリストが変わるんだ。植本さん達の紹介で探すよ。後方支援だから、一緒にやるのは同じだよ?ステージに立たないけど……っ」
その時期が決まったのが、3日前だ。一緒にやっていくのは同じなのに、自分の中では割り切れない。11月末までに、もっと上手くなっておく。下手なりに成長して、あのステンドグラスの指輪をつけて、ステージに立つ。悠人とも約束した。
もっと泣けと頬をつねられては、涙を引っ込めるしかない。もっと色んなことが起きるはずだから、弱くなっている暇はない。その代わりに、黒崎の胸にすがって目を閉じた。
もしかして寝ているのかと思うぐらいに静かにした。そして、感情の揺れ動きが静まるのを待ち、心を落ち着かせることが出来た。顔を上げた時、優しくお疲れさまと言われたから、別の意味で涙が出て、振り出しに戻ってしまった。
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