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思い切り甘やかすな。前よりもマシだろう?そんなやり取りを繰り返しながら、銀杏並木通りへ出た。ホッと一息ついて、大きく伸びをした。
今日のイベントでは、警戒していた事が起きなかった。ナンパ男が来ていたかも知れないが、ああまで堂々と見回りをしていたから、何も出来なかっただろう。わざわざ面倒なことをしない。その男は達也ではない。
今回の事が役に立ち、次からのイベントでも見回りスタッフを使うことになった。秋の学祭の時に安心できそうだ。その時は卒業が決まっているから、大学へ来ない時期に入っている。あと半年も無いのか。
通りでは、風船やジュース類の出店が撤収作業を済ませて、地面の掃除が終わろうとしている。日下が風船の店を片づけ終えて、俺達に手を振って来た。ウサギーが似合っているよと笑いながら。
「お疲れさまー。火曜日の実験で会うよね。話そうね」
「おおー、気をつけて帰れよ。黒崎さん、今日はありがとうございました!」
メンバー達が理学部棟へ入って行く姿を見送り、俺達も正門へ向かって歩き出した。ズボンのベルト部分には、2本の紐が結ばれている。頭の上には、2匹のウサギーが浮かんでいる。黒崎が買って来た。
「黒崎さん。せっかくなんだろ?他の形が選べたのに。お揃いで浮かべようよ。ほらほら」
「俺には似合わない。ウサギーがかわいそうだ」
「試してみないと分からないよ?はいはい……」
紐を解こうとして気がついた。背中の方で結ばれているから、自分だけでは無理だ。そこまでして浮かべさせたいのかと呆れた。どこにも飛んで行かないのに。漠然とした不安の代わりに、歩きながら抱きついてやった。
「駄々っ子の黒崎さん。これで安心できた?」
「足りない。引っついてこい」
「ふうん、珍しいね?思い切り甘やかしたいなら、くるくる回ってよ~」
「風船が絡みつく。庭でやる」
「うへへ。照れるなよ~。キスしてもいいよ。んんーー、ん?」
てっきり頬を引っ張られるかと心の準備をしたが、代わりに唇を押し当てられた。長いまつ毛が至近距離にあり、ベッドの中のようだ。今日はどうしたのかな?車の中でも、レア体験をした。ということは、やましいことがあるのか。
「先週の会食の後、早瀬さんと2軒目に行ったよね?何があったんだよね?」
「……何もないぞ」
「達也のことがあったからだね。ずっと引っかかっていたんだよね。しんどかっただろ?すぐに言えたら、気をつけろって教えられたら、スッキリするのに。ステップを踏むのは、思いやりだって分かるからね。あんたは昔から変わらない。めちゃくちゃ優しい人だよ。こらこら、甘やかすなよ~っ」
「これぐらい構わない。ついでだ」
「その優しさがね~。疑う余地があるんだよ。……何だよ~」
軽いバッグまで持たれてしまった。危なっかしいからだと笑われて、軽く腰を叩いてやった。それでも足りなくて耳たぶを引っ張ろうとすると、簡単に手首を掴まれて阻まれた。こういう、じゃれ合いできる状況で良かった。
今日のイベントでは、警戒していた事が起きなかった。ナンパ男が来ていたかも知れないが、ああまで堂々と見回りをしていたから、何も出来なかっただろう。わざわざ面倒なことをしない。その男は達也ではない。
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「黒崎さん。せっかくなんだろ?他の形が選べたのに。お揃いで浮かべようよ。ほらほら」
「俺には似合わない。ウサギーがかわいそうだ」
「試してみないと分からないよ?はいはい……」
紐を解こうとして気がついた。背中の方で結ばれているから、自分だけでは無理だ。そこまでして浮かべさせたいのかと呆れた。どこにも飛んで行かないのに。漠然とした不安の代わりに、歩きながら抱きついてやった。
「駄々っ子の黒崎さん。これで安心できた?」
「足りない。引っついてこい」
「ふうん、珍しいね?思い切り甘やかしたいなら、くるくる回ってよ~」
「風船が絡みつく。庭でやる」
「うへへ。照れるなよ~。キスしてもいいよ。んんーー、ん?」
てっきり頬を引っ張られるかと心の準備をしたが、代わりに唇を押し当てられた。長いまつ毛が至近距離にあり、ベッドの中のようだ。今日はどうしたのかな?車の中でも、レア体験をした。ということは、やましいことがあるのか。
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「……何もないぞ」
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「これぐらい構わない。ついでだ」
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軽いバッグまで持たれてしまった。危なっかしいからだと笑われて、軽く腰を叩いてやった。それでも足りなくて耳たぶを引っ張ろうとすると、簡単に手首を掴まれて阻まれた。こういう、じゃれ合いできる状況で良かった。
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