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22-1 黒崎の出張
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6月12日、水曜日。18時。
涼しい風が空き込み、湿った土の匂いが広がって鼻先をくすぐった。木の下には昨日の雨が残り、今、俺が立っている畑全体は渇いている。水はけが良いからだ。家庭菜園を始めた頃よりも進化して、トマトやネギの収穫量が増えた。うちでは食べ切れないからと、近所や友達へおすそ分けしている状況だ。それでも余るぐらいになり、規模を小さくしようか?と考えた。
「でもなあ、一つの苗からぐんぐん育っているもんな。ふうー。よいっしょっと、アンー、どうしたの?誰か来たーー?」
収穫した物を藤製のカゴへ入れた。テラス近くの水場へ行く途中で、アンが門の方を見て反応し、走って行った。黒崎は帰って来ない時間なのに。
そこへ、宅急便のトラックらしきものが見えた。月一回の絵本定期購読の分が届いたのか。さっそく門のそばへ行くと、お馴染みのドライバーさんが3つの箱を抱えていた。他に頼んでいただろうか?
「こんにちは。黒崎夏樹さんへお届けものでーーす。3つあるので玄関へ運びます」
「ここで構いませんよ~。……ああ、約束ですね。お願いします。うっうっ」
アンが期待の眼差しで見ている中、玄関へ運んでもらった。絵本だけなら受け取るが、他にもある時は運んでやってくれと、黒崎が営業所へ頼んである。ドライバーさんまで気遣ってくれているという、22歳の男にとっては恥ずかしい思いをした。
さっそくリビングへ持って行った。アンが箱の周りから離れない。お菓子類だろうか?と送り主を見ると、黒崎が注文した品物だった。やっぱりお菓子類と表示されている。
「アンー。匂いはしないはずなんだよ~。真空パックだもん。ん?匂いがするのかな?勘が働いたのかな?もう一個は何かな?ミラノサローネ・レイ?ん?」
かなり頑丈に梱包されている。壊れ物かな?期待してドキドキして開封すると、赤い箱が出て来た。その中には、着物の柄を使った雑貨が入っていた。その下の箱には、同じく着物柄を使ったバッグが入っていた。
トート、巾着、ストールの三つだ。紺地のトートにはウサギが並び、銀色の刺繍が付いている。淡い緑色の巾着には蝶々、朱色のストールには、平安時代のお姫様の後ろ姿がある。ごく小さなものだ。一目惚れ状態だ。間違いなくプレゼントだから、遠慮なしに広げて並べた。
「素敵だなあ……。どこで売っていたんだろ?プラセルの関係かな?あ、カードが入っている。……怜さんからだ!」
イタリアへ戻って半年になる。日本へ滞在中も会えなくて、3回食事へ行っただけだ。ランチの後、うちの庭を探索するのが定番になった。昼間の庭が好きで、電話で噴水の話をしたら、是非とも観に行きたいと話していた。あればいいなと思っていたそうだ。アンと俺が落ちると危ないから作らなかったんだよね?と、本気で黒崎に聞いていた。
「黒崎さんってば。小さな噴水にしてあるってさ。両方が本気で話していたよ。うっうっ。……どれどれ」
俺に負けず劣らずの、個性的な字のメッセージを読んだ。プライベートで作ったものだということ、”プラセルの島川社長”へも紹介すること、一貴さんが帰って来たら見せてあげてねと書かれている。2人は友達づきあいをしている。
涼しい風が空き込み、湿った土の匂いが広がって鼻先をくすぐった。木の下には昨日の雨が残り、今、俺が立っている畑全体は渇いている。水はけが良いからだ。家庭菜園を始めた頃よりも進化して、トマトやネギの収穫量が増えた。うちでは食べ切れないからと、近所や友達へおすそ分けしている状況だ。それでも余るぐらいになり、規模を小さくしようか?と考えた。
「でもなあ、一つの苗からぐんぐん育っているもんな。ふうー。よいっしょっと、アンー、どうしたの?誰か来たーー?」
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そこへ、宅急便のトラックらしきものが見えた。月一回の絵本定期購読の分が届いたのか。さっそく門のそばへ行くと、お馴染みのドライバーさんが3つの箱を抱えていた。他に頼んでいただろうか?
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「ここで構いませんよ~。……ああ、約束ですね。お願いします。うっうっ」
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さっそくリビングへ持って行った。アンが箱の周りから離れない。お菓子類だろうか?と送り主を見ると、黒崎が注文した品物だった。やっぱりお菓子類と表示されている。
「アンー。匂いはしないはずなんだよ~。真空パックだもん。ん?匂いがするのかな?勘が働いたのかな?もう一個は何かな?ミラノサローネ・レイ?ん?」
かなり頑丈に梱包されている。壊れ物かな?期待してドキドキして開封すると、赤い箱が出て来た。その中には、着物の柄を使った雑貨が入っていた。その下の箱には、同じく着物柄を使ったバッグが入っていた。
トート、巾着、ストールの三つだ。紺地のトートにはウサギが並び、銀色の刺繍が付いている。淡い緑色の巾着には蝶々、朱色のストールには、平安時代のお姫様の後ろ姿がある。ごく小さなものだ。一目惚れ状態だ。間違いなくプレゼントだから、遠慮なしに広げて並べた。
「素敵だなあ……。どこで売っていたんだろ?プラセルの関係かな?あ、カードが入っている。……怜さんからだ!」
イタリアへ戻って半年になる。日本へ滞在中も会えなくて、3回食事へ行っただけだ。ランチの後、うちの庭を探索するのが定番になった。昼間の庭が好きで、電話で噴水の話をしたら、是非とも観に行きたいと話していた。あればいいなと思っていたそうだ。アンと俺が落ちると危ないから作らなかったんだよね?と、本気で黒崎に聞いていた。
「黒崎さんってば。小さな噴水にしてあるってさ。両方が本気で話していたよ。うっうっ。……どれどれ」
俺に負けず劣らずの、個性的な字のメッセージを読んだ。プライベートで作ったものだということ、”プラセルの島川社長”へも紹介すること、一貴さんが帰って来たら見せてあげてねと書かれている。2人は友達づきあいをしている。
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