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21時。
バスルームでイチャついた結果、すっかりのぼせてしまい、ソファーへ寝転がっていた。少し休んだ後、予定通りに冷やし中華を用意し、作り置きおかずを並べた。
八宝菜は明日にした。黒崎が食べたがっていたが、仕方がない。その代わりに出した鶏肉の南蛮漬けが美味しくて、このタイミングで食べて良かったねと話しながら食べた。こういう小さな楽しみがある。
今、お義父さんの家へ向かっているところだ。もうすぐで一貴さんが帰って来るから、怜さんデザインのバッグを見せに行く。待っていたそうだ。
玄関を出て煉瓦道を通り抜けると、広い花壇のある場所へ出た。ここからも噴水工事の様子が見える。周辺の庭木を整えたことで見晴らしが良くなり、想像よりも近くにあると分かった。黒崎が一番驚いている。
「うんうん。その気持ちは分かるよ。ナツツバキを右へ歩いて行ったら、すぐに噴水が建っているもん。池は奥の方だけど。小さい子の背丈だと、木が生い茂って見えるから、怖かったと思う。……お義父さんから聞いたんだけど。怖くて近寄らなかったんだって?拓海さんから脅かされたとは言ってもさ~」
「余計な事を言う親父だ……。8歳ぐらいまでは、臆病なところがあった。認めてやる」
「うへへ、そんなに強気で言わなくても。誰でも同じだよ」
「女の子みたいに大人しいと言われていた。実際に間違われていたぞ。うちの家族構成を知らない客から、可愛いお嬢さまですね、お孫さんですか?と聞かれていた。自分でも、写真を見て納得できた」
「わあ~、お義父さんの冗談じゃなかったんだね。だから俺の気持ちが分かったの?」
「……いや、お前が女の子に見えたことがないからだ。どう間違えるのか、裕理に聞いたことがある」
「なんて言ってた?」
これは初めて聞く話だ。高校3年生当時を思い返すたびに、本当に自分だろうか?と不思議に感じることが多い。今と性格が違う。誰かが近づいてきたら、尖った言い方をしていた。誰のことも信用しないと思っていた。
楽しみでわくわくしながら待っていると、一貴さんの車が入って来るのが見えた。外灯からの光に車体が照らされて、ユリウスのイラストが浮かんで見えた。特殊な塗料を使っているから、夜になると目立っている。それに気を取られて転びそうになり、黒崎の腕に支えてもらった。
「こっちを歩け。車を見るのは後にしろ」
「ごめんね、ありがとう~。それでさ、早瀬さんはなんて?」
「スイーツを見ている時、どれにしようか迷っているだろう?それが、女の子に似ているらしい」
「そう言われると納得できたよ。……もう気にしないよ。今はそう見えないし、間違えてもいいよって思うぐらいだよ?」
「どういうことだ?」
「キャンパス内だと、昔は可愛い子だったって扱いをされているんだ。イケメンなんて言ってもらえないから、この際、それでもいいよ。……笑いすぎだよ。あんたは当たり前だけど、俺にとってはね……」
「今のキャンパスは、お前のことを知っている学生だらけだ。今更言わないだけだ。……音楽の仕事関係はお世辞じゃない。男どもから見られている、自覚しておけ」
うん。素直に頷いた。外灯からの光に照らされて、いっそう黒崎のことが素敵に見えた。俺だけのものだと自覚してあげた。
にやけた顔を隠す暇がなくて、何かされる前に早足で歩き出した。もちろん、一貴さんへ助けを求めた。ニヤついたままで。
バスルームでイチャついた結果、すっかりのぼせてしまい、ソファーへ寝転がっていた。少し休んだ後、予定通りに冷やし中華を用意し、作り置きおかずを並べた。
八宝菜は明日にした。黒崎が食べたがっていたが、仕方がない。その代わりに出した鶏肉の南蛮漬けが美味しくて、このタイミングで食べて良かったねと話しながら食べた。こういう小さな楽しみがある。
今、お義父さんの家へ向かっているところだ。もうすぐで一貴さんが帰って来るから、怜さんデザインのバッグを見せに行く。待っていたそうだ。
玄関を出て煉瓦道を通り抜けると、広い花壇のある場所へ出た。ここからも噴水工事の様子が見える。周辺の庭木を整えたことで見晴らしが良くなり、想像よりも近くにあると分かった。黒崎が一番驚いている。
「うんうん。その気持ちは分かるよ。ナツツバキを右へ歩いて行ったら、すぐに噴水が建っているもん。池は奥の方だけど。小さい子の背丈だと、木が生い茂って見えるから、怖かったと思う。……お義父さんから聞いたんだけど。怖くて近寄らなかったんだって?拓海さんから脅かされたとは言ってもさ~」
「余計な事を言う親父だ……。8歳ぐらいまでは、臆病なところがあった。認めてやる」
「うへへ、そんなに強気で言わなくても。誰でも同じだよ」
「女の子みたいに大人しいと言われていた。実際に間違われていたぞ。うちの家族構成を知らない客から、可愛いお嬢さまですね、お孫さんですか?と聞かれていた。自分でも、写真を見て納得できた」
「わあ~、お義父さんの冗談じゃなかったんだね。だから俺の気持ちが分かったの?」
「……いや、お前が女の子に見えたことがないからだ。どう間違えるのか、裕理に聞いたことがある」
「なんて言ってた?」
これは初めて聞く話だ。高校3年生当時を思い返すたびに、本当に自分だろうか?と不思議に感じることが多い。今と性格が違う。誰かが近づいてきたら、尖った言い方をしていた。誰のことも信用しないと思っていた。
楽しみでわくわくしながら待っていると、一貴さんの車が入って来るのが見えた。外灯からの光に車体が照らされて、ユリウスのイラストが浮かんで見えた。特殊な塗料を使っているから、夜になると目立っている。それに気を取られて転びそうになり、黒崎の腕に支えてもらった。
「こっちを歩け。車を見るのは後にしろ」
「ごめんね、ありがとう~。それでさ、早瀬さんはなんて?」
「スイーツを見ている時、どれにしようか迷っているだろう?それが、女の子に似ているらしい」
「そう言われると納得できたよ。……もう気にしないよ。今はそう見えないし、間違えてもいいよって思うぐらいだよ?」
「どういうことだ?」
「キャンパス内だと、昔は可愛い子だったって扱いをされているんだ。イケメンなんて言ってもらえないから、この際、それでもいいよ。……笑いすぎだよ。あんたは当たり前だけど、俺にとってはね……」
「今のキャンパスは、お前のことを知っている学生だらけだ。今更言わないだけだ。……音楽の仕事関係はお世辞じゃない。男どもから見られている、自覚しておけ」
うん。素直に頷いた。外灯からの光に照らされて、いっそう黒崎のことが素敵に見えた。俺だけのものだと自覚してあげた。
にやけた顔を隠す暇がなくて、何かされる前に早足で歩き出した。もちろん、一貴さんへ助けを求めた。ニヤついたままで。
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