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この室内は笑い声が立っている状況だ。本来なら、もっとピリピリした空気が流れているのだろうか?今までのコンサートでの光景を振り返った。張り詰めた空気が漂っていたはずだ。ヘアメイクさん、スタイリストさんの顔を鏡越しに見たとき、緊張している感じがしていた。
ここにいるアシスタントのミカさんは笑っている。24歳だというから、俺達とは年が変わらない。同じように、現場では緊張していたはずだ。今もそうだろうか?すると、急に目が合った。
「ごめんね。お互いに緊張しなくなったかな?って思ったんだ」
「あはは、伝わっていましたー?」
「うん。変わったよね。俺も落ち着いているよ」
「お互いにそうですね。今日はリラックスできています」
「ピリピリしてたからさ……。反省しました」
「そんなー。僕の方こそ。……うちのローザー先生ですか?藤沢さんのヘアメイクをやっています。もうすぐで来ます」
「……ゆうとー。もう一人の先生も来てくれるよ」
「ひいいいい……。ローザーさんが?」
「嫌いなのかよ?仲が良いのに。ねえ、黒崎さん。あんたも好きだよね?」
「ああ……」
(ありがとう。あんたの手が必要だよ。気持ちいいなあ。甘ったれなのって、変わらないのか……)
黒崎から背中を撫でられ続けている。みんなから見えないぐらいの仕草と軽さ、たまにポンポンと叩くリズムが心地いい。
一人前になりたいからと、今までのコンサートやイベントでは、黒崎には観客席で待ってもらっていた。そんな意地張りは要らないかな?もういいのかな。悠人のカチコチの身体が柔らかくなるごとに、自分の肩の凝りも和らいでいくようだ。
「うひぇーー、いてててて!」
「はい、仕上がりました。痛みがあってよかった。血流が大違いだ」
「ありがとうございました。おおー、身体が温かくなった。なつきーー、へへへ」
「どうしたの?……こらこら、ツッコむなよ~~」
悠人が言いたかったのは、今の俺達の大きな違いのことだ。悠人は背中を押さえつけられていたが、俺の方は優しく撫でられている状況だ。いや、藍生ちゃんが付き添ってくれているだろう?それを突っ込み返すと笑い出した。
「どうして早瀬さんに客席に行ってもらったんだよ?付き添ってもらったら良かったのに。……そっか。ゆっくり話せるもんね」
「うん。玲子さんと並んで座ってもらう。こうでもしないとね。話をしないからさ。そうだよねー、佳代子さん?」
「まあまあ。心地いいのよ。今はね。……そろそろ出番じゃない?藍生ちゃん、こっちで座っていましょうね」
佳代子さんが藍生ちゃんの手を引いて、モニター近くのソファーへ促した。涼花さんが私が見ていますと遠慮がちにしているが、佳代子さんが留めた。今夜こそ、モニター画面越しではなく、悠人の演奏を聴いてあげて欲しいからだ。今度は久田さんが、自分が付き添うと言っている。
みんなに観てもらいたい。この部屋から関係者席までは近い。俺が付き添うのはダメだろうか?試しに言ってみよう。黒崎の方を向くと、軽く頷き返された。以心伝心だ。さっそく、譲り合っている一家に声をかけた。
「よかったら、俺達が一緒に居ますよ。15分だけ交代してもらえますか?俺たちも観たいし。どうかな?……藍生ちゃーん。怖いおじさんと俺でどうかな?子守唄つき。……ゆうとー、どう?何か困ったら、すぐに呼びに行けるからさ」
あえてここは悠人に判断を任せた。悠人が黒崎の方を見て頷き返されて、一瞬だけ躊躇った。遠慮するのかな?いや、今回は違うだろう。
俺の方を真っ直ぐに見て、大きく頷いた。ありがとう、頼むよ!と。わーっと室内が沸いたのも、以心伝心だと思った。
ここにいるアシスタントのミカさんは笑っている。24歳だというから、俺達とは年が変わらない。同じように、現場では緊張していたはずだ。今もそうだろうか?すると、急に目が合った。
「ごめんね。お互いに緊張しなくなったかな?って思ったんだ」
「あはは、伝わっていましたー?」
「うん。変わったよね。俺も落ち着いているよ」
「お互いにそうですね。今日はリラックスできています」
「ピリピリしてたからさ……。反省しました」
「そんなー。僕の方こそ。……うちのローザー先生ですか?藤沢さんのヘアメイクをやっています。もうすぐで来ます」
「……ゆうとー。もう一人の先生も来てくれるよ」
「ひいいいい……。ローザーさんが?」
「嫌いなのかよ?仲が良いのに。ねえ、黒崎さん。あんたも好きだよね?」
「ああ……」
(ありがとう。あんたの手が必要だよ。気持ちいいなあ。甘ったれなのって、変わらないのか……)
黒崎から背中を撫でられ続けている。みんなから見えないぐらいの仕草と軽さ、たまにポンポンと叩くリズムが心地いい。
一人前になりたいからと、今までのコンサートやイベントでは、黒崎には観客席で待ってもらっていた。そんな意地張りは要らないかな?もういいのかな。悠人のカチコチの身体が柔らかくなるごとに、自分の肩の凝りも和らいでいくようだ。
「うひぇーー、いてててて!」
「はい、仕上がりました。痛みがあってよかった。血流が大違いだ」
「ありがとうございました。おおー、身体が温かくなった。なつきーー、へへへ」
「どうしたの?……こらこら、ツッコむなよ~~」
悠人が言いたかったのは、今の俺達の大きな違いのことだ。悠人は背中を押さえつけられていたが、俺の方は優しく撫でられている状況だ。いや、藍生ちゃんが付き添ってくれているだろう?それを突っ込み返すと笑い出した。
「どうして早瀬さんに客席に行ってもらったんだよ?付き添ってもらったら良かったのに。……そっか。ゆっくり話せるもんね」
「うん。玲子さんと並んで座ってもらう。こうでもしないとね。話をしないからさ。そうだよねー、佳代子さん?」
「まあまあ。心地いいのよ。今はね。……そろそろ出番じゃない?藍生ちゃん、こっちで座っていましょうね」
佳代子さんが藍生ちゃんの手を引いて、モニター近くのソファーへ促した。涼花さんが私が見ていますと遠慮がちにしているが、佳代子さんが留めた。今夜こそ、モニター画面越しではなく、悠人の演奏を聴いてあげて欲しいからだ。今度は久田さんが、自分が付き添うと言っている。
みんなに観てもらいたい。この部屋から関係者席までは近い。俺が付き添うのはダメだろうか?試しに言ってみよう。黒崎の方を向くと、軽く頷き返された。以心伝心だ。さっそく、譲り合っている一家に声をかけた。
「よかったら、俺達が一緒に居ますよ。15分だけ交代してもらえますか?俺たちも観たいし。どうかな?……藍生ちゃーん。怖いおじさんと俺でどうかな?子守唄つき。……ゆうとー、どう?何か困ったら、すぐに呼びに行けるからさ」
あえてここは悠人に判断を任せた。悠人が黒崎の方を見て頷き返されて、一瞬だけ躊躇った。遠慮するのかな?いや、今回は違うだろう。
俺の方を真っ直ぐに見て、大きく頷いた。ありがとう、頼むよ!と。わーっと室内が沸いたのも、以心伝心だと思った。
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