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奥の方は暗めであり、天井から下がったランプがお洒落だ。黒崎も眺めている。レストランの内装を考えていた姿が懐かしいのだろう。常務取締役の時は、キャンペーン商品のイラストを描いていた。あの時の楽しそうな顔を忘れられない。絵本のイラストを描くときは、真剣な顔をしている。ストーリーに付ける分で、作者のイメージに合わせる難しさがあると言っていた。
「懐かしいよ。あんたが店内を眺めているところ」
「たまには魔法使い以外のイラストが描きたい。発想に詰まる」
「何枚も依頼がきたもんねえ。あのカッコイイ系の妖精がウケたから。羽音さんの作品に付けるだろ?そろそろ話が来そうだね。言っていたよ」
「昨日依頼が入ったところだ。おじさんの魔法使いだ。50代のイメージで頼まれている」
「ちょうどいいね。ささっと見させてもらったら?この辺り」
「……そうだな。”歌の好きな案山子”の続編もあるそうだ。モデルになった場所へ見に行くか?悠人君のおばあさんの家の近くだ。羽音さんの実家もある」
「うん。悠人も誘う?」
「やめておく。話を聞いているぞ。そこに行って、白衣姿の案山子が倒れて来たんだろう?」
「そうだよーー」
黒崎が肩を揺らして笑いだした。早瀬さんから聞いていたと知り、こっちまで吹き出した。悠人のおばあちゃんのお墓参りの帰りに、白衣を着た案山子が倒れてきて、悠人が驚いたそうだ。俺でもそうなるだろう。せっかくのホットサンドが冷めてしまう。しかし、さっきから笑いすぎて食べていなかったから、お腹が張ってしまった。
「こっちを食べてもらえない?キチンサラダを全部食べるから」
「食べておく。別腹を空けているのか?」
「もちろんだよ。本日のミニソフトクリームを食べるんだ。商品アイデアのためだよ~。ぱくぱくっと。ん……、ごほっ」
「慌てて食うからだ。……夏樹。手を振られているぞ」
「んん……」
なんていうタイミングだろう。藤沢も来ていて、離れたテーブルから手を振ってきた。撮影の関係だろう。マネージャーさんも同席している。そのうちの一人の男性が藤沢へ声をかけた後、こっちへやって来た。TDDの楽曲を聴いてくれた人だろうか。黒崎から差し出されたおしぼりで口元を拭いた。あれ?という顔をされたから、大丈夫だと首を振った。
「大丈夫ですか?僕は藤沢さんのスタッフでして……」
「大丈夫です……。今日は撮影ですか?」
「はい。この近くあるレストランの紹介です。テレビ撮影でして」
「わあー、モデルさん以外もやるのか」
「ええ。あの……、ヴィジブルレイの時からコンサートを観に行っています。写真はNGですよね。握手を……」
「喜んで。うれしいです」
「ほんとですか?藤沢さんに聞いて良かった。ローザーさんも一緒に来ていまして、ナツキさんじゃないか?って。ああ……」
(黒崎さんを見てる。久しぶりだな。うーーん。やっぱり面白くない……)
黒崎のことを見られて、なんだかモヤモヤした気分になった。俺はこういう部分は成長していないようだ。最近はお馴染みの場所しか出かけないから、黒崎を見て、顔を赤くされることがなかった。
黒崎が軽く微笑みかけて会釈した後、さりげなくスマホを取って操作を始めた。ゆっくり話せという意味だ。俺の思惑とは違う。恥ずかしい気分だ。
藤沢はマネージャーさんと話していて、取り込み中だ。男性が振り返った先にローザーさんがいて、俺達に手を振ってくれた。仕事中で控えめな格好をしているが、それでもお洒落さが際立っている。以前、俺のファッションを褒めてくれて、和風の小物メインの店を教えてくれたことがある。
「黒崎君。おはようーー」
「おはようございます。ここで会うなんて。……黒崎さーん。おはようって」
「……おはようございます。お世話になっています」
「あらー。距離感がありますねー食べませんよ。素材として見ています。素敵なシャツですね?」
「ローザーさんも。前衛的という言い方でよろしいでしょうか?」
黒崎が苦笑した。嫌がっているのを隠さない分、本気で遠ざけていない。うっとりした様子で眺められるからだろう。黒崎が、俺が着ているTシャツを見て、ローザーさんへ話しかけた。いい影響を受けていますと。それを受けてローザーさんが笑った。
「懐かしいよ。あんたが店内を眺めているところ」
「たまには魔法使い以外のイラストが描きたい。発想に詰まる」
「何枚も依頼がきたもんねえ。あのカッコイイ系の妖精がウケたから。羽音さんの作品に付けるだろ?そろそろ話が来そうだね。言っていたよ」
「昨日依頼が入ったところだ。おじさんの魔法使いだ。50代のイメージで頼まれている」
「ちょうどいいね。ささっと見させてもらったら?この辺り」
「……そうだな。”歌の好きな案山子”の続編もあるそうだ。モデルになった場所へ見に行くか?悠人君のおばあさんの家の近くだ。羽音さんの実家もある」
「うん。悠人も誘う?」
「やめておく。話を聞いているぞ。そこに行って、白衣姿の案山子が倒れて来たんだろう?」
「そうだよーー」
黒崎が肩を揺らして笑いだした。早瀬さんから聞いていたと知り、こっちまで吹き出した。悠人のおばあちゃんのお墓参りの帰りに、白衣を着た案山子が倒れてきて、悠人が驚いたそうだ。俺でもそうなるだろう。せっかくのホットサンドが冷めてしまう。しかし、さっきから笑いすぎて食べていなかったから、お腹が張ってしまった。
「こっちを食べてもらえない?キチンサラダを全部食べるから」
「食べておく。別腹を空けているのか?」
「もちろんだよ。本日のミニソフトクリームを食べるんだ。商品アイデアのためだよ~。ぱくぱくっと。ん……、ごほっ」
「慌てて食うからだ。……夏樹。手を振られているぞ」
「んん……」
なんていうタイミングだろう。藤沢も来ていて、離れたテーブルから手を振ってきた。撮影の関係だろう。マネージャーさんも同席している。そのうちの一人の男性が藤沢へ声をかけた後、こっちへやって来た。TDDの楽曲を聴いてくれた人だろうか。黒崎から差し出されたおしぼりで口元を拭いた。あれ?という顔をされたから、大丈夫だと首を振った。
「大丈夫ですか?僕は藤沢さんのスタッフでして……」
「大丈夫です……。今日は撮影ですか?」
「はい。この近くあるレストランの紹介です。テレビ撮影でして」
「わあー、モデルさん以外もやるのか」
「ええ。あの……、ヴィジブルレイの時からコンサートを観に行っています。写真はNGですよね。握手を……」
「喜んで。うれしいです」
「ほんとですか?藤沢さんに聞いて良かった。ローザーさんも一緒に来ていまして、ナツキさんじゃないか?って。ああ……」
(黒崎さんを見てる。久しぶりだな。うーーん。やっぱり面白くない……)
黒崎のことを見られて、なんだかモヤモヤした気分になった。俺はこういう部分は成長していないようだ。最近はお馴染みの場所しか出かけないから、黒崎を見て、顔を赤くされることがなかった。
黒崎が軽く微笑みかけて会釈した後、さりげなくスマホを取って操作を始めた。ゆっくり話せという意味だ。俺の思惑とは違う。恥ずかしい気分だ。
藤沢はマネージャーさんと話していて、取り込み中だ。男性が振り返った先にローザーさんがいて、俺達に手を振ってくれた。仕事中で控えめな格好をしているが、それでもお洒落さが際立っている。以前、俺のファッションを褒めてくれて、和風の小物メインの店を教えてくれたことがある。
「黒崎君。おはようーー」
「おはようございます。ここで会うなんて。……黒崎さーん。おはようって」
「……おはようございます。お世話になっています」
「あらー。距離感がありますねー食べませんよ。素材として見ています。素敵なシャツですね?」
「ローザーさんも。前衛的という言い方でよろしいでしょうか?」
黒崎が苦笑した。嫌がっているのを隠さない分、本気で遠ざけていない。うっとりした様子で眺められるからだろう。黒崎が、俺が着ているTシャツを見て、ローザーさんへ話しかけた。いい影響を受けていますと。それを受けてローザーさんが笑った。
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