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新章A-1 遊園地
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4月20日、土曜日。午前9時。
カレンダーを見ると、72候の欄には、葭始生・あしはじめてしょうずと書かれている。だんだんと暖かくなり、水辺の葭も芽を吹きはじめる頃ということだ。葭はすだれに使われている植物だ。夏には2、3メートルの高さになるらしい。
「ふむふむ。水辺の葭も芽を吹きはじめる頃。……すごいなあ。夏には2、3メートルの高さになるんだって」
「君に憧れられるなら、その高さになってみたい」
「裕理さんが3メートルの高さになったら恐怖だよーー」
「そうならないように、水分を控えめに取っておく」
「今日は遊園地に行くんだよ?脱水症状になるから、背が高くなっても良いから、ちゃんと水分を取ってよ」
「はいはい。今日は久しぶりのステージだね」
今、早瀨の車に乗って、トリンドランドという遊園地に向かっている。夏樹へのサプライズのためだ。彼は今日、20歳の誕生日を迎える。そのお祝いで黒崎さんと二人で遊園地に遊びに行くのだが、昼ご飯で入ったレストランではミニオーケストラの演奏会が開かれている。そこに、IRON ANGELが登場し、夏樹にも参加して歌って貰おうというものだ。彼の快気祝いも兼ねている。
夏樹が3月10日に庭でジョギング中に心停止で倒れて病院に搬送された。3日間、意識を取り戻していなかった。なんとか回復して退院した後、夏樹は大学は黒崎家のお父さんの車で通い、畑の世話は黒崎さんがそばにいる時だけするようになっていた。今は元気になり、大学には電車で来れるまでになった。俺も桜木さん達も何かしたいと思っていた。そこで、早瀨からの提案で、バンドステージを披露することになった。
そして、夏樹には俺の口から言いたいことがある。しかし、遠藤さんからが良いと思い、彼に伝えることはやめた。それは、佐久弥のバンドのメンバーに選ばれたことだ。
2月15日にオーディションが行われた。10人のボーカル候補者がいると思ってスタジオに出向こうとすると、夏樹一人だと聞いた。俺との息の合い方を見て、ボーカルにするか決めるという話だった。当日、俺はガチガチに緊張していた。しかし、スタジオに出向くと、緊張感がまるでなかった。笑顔の佐久弥から迎えられて、セッションしようぜと気軽に声をかけられたからだ。もう夏樹で決定だと分かり、身体の力が抜けた。
夏樹はアットホームな雰囲気でセッションを楽しみ、結果はまた後日聞かせて下さいと言い、笑顔で帰って行った。まさか自分が選ばれるとは思っていなかったようだ。大学でもそう言っていた。しかし、俺としては手応えを感じていた。そして、結果が知らされたのが、一週間後だった。
しかし、夏樹に言うのは20歳の誕生日にしようという話になった。佐久弥の方がディアドロップの騒動の後片付けに忙しく、新しいバンドに取り組めなかったからだ。やっと来月になり、バンドのコンセプトなどの打ち合わせがある。7月にはプロモーションビデオ撮影もある。デビューステージは10月30日だ。俺達はそれまでに演奏力を上げるために、スタジオで練習している。
IRON ANGELとして活動できるのは、今日で最後かも知れない。IKUとの契約があるからだ。そう思うと寂しい。だからこそ、思い出に残るものにしたいと思っている。
レストランでステージはのんびりしたものにしたいから、バレンタインイベントでやったような、カントリーをイメージして、夏椿の天使をアレンジした。バラードのresumption. 再開では、俺はハンドベルでの参加だ。この日のために練習しておいた。ハンドベルは佐久弥から借りたやつだ。メンバーとは10時に集合して、打ち合わせをする。そして、今日は俺と早瀬は園内のホテルで泊まって、遊園地を楽しむというプランだ。
カレンダーを見ると、72候の欄には、葭始生・あしはじめてしょうずと書かれている。だんだんと暖かくなり、水辺の葭も芽を吹きはじめる頃ということだ。葭はすだれに使われている植物だ。夏には2、3メートルの高さになるらしい。
「ふむふむ。水辺の葭も芽を吹きはじめる頃。……すごいなあ。夏には2、3メートルの高さになるんだって」
「君に憧れられるなら、その高さになってみたい」
「裕理さんが3メートルの高さになったら恐怖だよーー」
「そうならないように、水分を控えめに取っておく」
「今日は遊園地に行くんだよ?脱水症状になるから、背が高くなっても良いから、ちゃんと水分を取ってよ」
「はいはい。今日は久しぶりのステージだね」
今、早瀨の車に乗って、トリンドランドという遊園地に向かっている。夏樹へのサプライズのためだ。彼は今日、20歳の誕生日を迎える。そのお祝いで黒崎さんと二人で遊園地に遊びに行くのだが、昼ご飯で入ったレストランではミニオーケストラの演奏会が開かれている。そこに、IRON ANGELが登場し、夏樹にも参加して歌って貰おうというものだ。彼の快気祝いも兼ねている。
夏樹が3月10日に庭でジョギング中に心停止で倒れて病院に搬送された。3日間、意識を取り戻していなかった。なんとか回復して退院した後、夏樹は大学は黒崎家のお父さんの車で通い、畑の世話は黒崎さんがそばにいる時だけするようになっていた。今は元気になり、大学には電車で来れるまでになった。俺も桜木さん達も何かしたいと思っていた。そこで、早瀨からの提案で、バンドステージを披露することになった。
そして、夏樹には俺の口から言いたいことがある。しかし、遠藤さんからが良いと思い、彼に伝えることはやめた。それは、佐久弥のバンドのメンバーに選ばれたことだ。
2月15日にオーディションが行われた。10人のボーカル候補者がいると思ってスタジオに出向こうとすると、夏樹一人だと聞いた。俺との息の合い方を見て、ボーカルにするか決めるという話だった。当日、俺はガチガチに緊張していた。しかし、スタジオに出向くと、緊張感がまるでなかった。笑顔の佐久弥から迎えられて、セッションしようぜと気軽に声をかけられたからだ。もう夏樹で決定だと分かり、身体の力が抜けた。
夏樹はアットホームな雰囲気でセッションを楽しみ、結果はまた後日聞かせて下さいと言い、笑顔で帰って行った。まさか自分が選ばれるとは思っていなかったようだ。大学でもそう言っていた。しかし、俺としては手応えを感じていた。そして、結果が知らされたのが、一週間後だった。
しかし、夏樹に言うのは20歳の誕生日にしようという話になった。佐久弥の方がディアドロップの騒動の後片付けに忙しく、新しいバンドに取り組めなかったからだ。やっと来月になり、バンドのコンセプトなどの打ち合わせがある。7月にはプロモーションビデオ撮影もある。デビューステージは10月30日だ。俺達はそれまでに演奏力を上げるために、スタジオで練習している。
IRON ANGELとして活動できるのは、今日で最後かも知れない。IKUとの契約があるからだ。そう思うと寂しい。だからこそ、思い出に残るものにしたいと思っている。
レストランでステージはのんびりしたものにしたいから、バレンタインイベントでやったような、カントリーをイメージして、夏椿の天使をアレンジした。バラードのresumption. 再開では、俺はハンドベルでの参加だ。この日のために練習しておいた。ハンドベルは佐久弥から借りたやつだ。メンバーとは10時に集合して、打ち合わせをする。そして、今日は俺と早瀬は園内のホテルで泊まって、遊園地を楽しむというプランだ。
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