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タタタタンタタタタン……タタタタン……。
音楽に合わせて体操をやり、最後に深呼吸をして終わった。Tシャツから汗がにじんでいるから驚いた。汗をかかない体質だからだ。体温調節が上手くいかなくて熱中症になったことがある。汗っかきが羨ましいぐらいだった。
「おおー、10分の体操で汗をかいたよー」
「大したもんだ。それだけキチンとやった証拠だ。生真面目で素直だからな」
「ふむふむ。さすがにいいことを言うね」
首筋の汗を拭こうと髪の毛をかきあげた。肩までの長さは初めだ。ここまで暑かったのか。
「ゆうとくーん。これで冷やそうか」
「はーーい」
早瀬が冷たいタオルを持ってきてくれた。代わりに後ろ側の汗を拭き取ってくれた。ひんやりして気持ちがいい。今日でこのエクステとはお別れだ。あとは地毛を伸ばしていく。
「そのエクステを取るのか。伸ばしていくんだろう?アップにセットするとカッコいいぞ」
「ホントに?ヘアメイクさんから勧められたんだ。黒髪だから映えるって」
「そうだなー。光に当たっても真っ黒だなー?茶色っけもない」
「夏樹と正反対だよ。いいコンビだろー?」
ふと、早瀬のことに目が留まった。この人の髪の毛も茶色っぽい。夏樹までとはいかなくても。出会った頃は、カラーリングをしているかと思っていた。よく見ると、瞳の色も明るめだ。
「裕理さんも茶色いよね。カラーをしているかと思ったんだよ。子供の頃から?」
「そうだよ。佐久弥、そうだったろう?」
「昔はもっと茶色かったぞ。子供の髪は柔らかいからな」
「ふむふむ……」
いいなあと思った。すると、佐久弥が何かを思い出したようだ。早瀬の方へ向き直った。こんなことを聞くのは気が引けていたけどと、そう前置きした。
「夏樹はクオーターか?」
「そうだよ。母方のお祖母さんがイギリス系の人だよ」
「ほお……」
お母さんや伊吹さんと似ているが、並ぶと印象が違う。佐久弥が納得がいったと頷いた。
「優しげな丸い声色だ。少し音域が高くて、大きめの声が出せる。低い声を出しても柔らかい。僅かな骨格の違いだ。クロスオーバー向けだな……」
「クロスオーバーって?」
「ジャンルの垣根を越えた楽曲のことだ。夏樹はポップスとクラシックミックス。クラシカルクロスオーバー。オーケストラをバックにした、声楽を活かした旋律のものだ。悠人もクロスオーバー系だぞー」
「なんで?ヘヴィメタルとハードロックだよ?」
「ブルースの影響を受けている。ブルース・ロック。……裕理が最初に気がついたよな?」
「そうだった。佐久弥も一発で思っただろう?」
「ああ。どっちもかって」
「ほお……」
一気にミュージシャン同士の空気感に変わった。まるでスタジオの中に居るかのようだ。会話について行けず、聞くだけの状態だ。
この状況を寂しいとは思わない。聞くだけでも知識の吸収になるからだ。音楽のことではポジティブになれる。こういう自分なら、佐久弥と夏樹のことを支えられると思った。
音楽に合わせて体操をやり、最後に深呼吸をして終わった。Tシャツから汗がにじんでいるから驚いた。汗をかかない体質だからだ。体温調節が上手くいかなくて熱中症になったことがある。汗っかきが羨ましいぐらいだった。
「おおー、10分の体操で汗をかいたよー」
「大したもんだ。それだけキチンとやった証拠だ。生真面目で素直だからな」
「ふむふむ。さすがにいいことを言うね」
首筋の汗を拭こうと髪の毛をかきあげた。肩までの長さは初めだ。ここまで暑かったのか。
「ゆうとくーん。これで冷やそうか」
「はーーい」
早瀬が冷たいタオルを持ってきてくれた。代わりに後ろ側の汗を拭き取ってくれた。ひんやりして気持ちがいい。今日でこのエクステとはお別れだ。あとは地毛を伸ばしていく。
「そのエクステを取るのか。伸ばしていくんだろう?アップにセットするとカッコいいぞ」
「ホントに?ヘアメイクさんから勧められたんだ。黒髪だから映えるって」
「そうだなー。光に当たっても真っ黒だなー?茶色っけもない」
「夏樹と正反対だよ。いいコンビだろー?」
ふと、早瀬のことに目が留まった。この人の髪の毛も茶色っぽい。夏樹までとはいかなくても。出会った頃は、カラーリングをしているかと思っていた。よく見ると、瞳の色も明るめだ。
「裕理さんも茶色いよね。カラーをしているかと思ったんだよ。子供の頃から?」
「そうだよ。佐久弥、そうだったろう?」
「昔はもっと茶色かったぞ。子供の髪は柔らかいからな」
「ふむふむ……」
いいなあと思った。すると、佐久弥が何かを思い出したようだ。早瀬の方へ向き直った。こんなことを聞くのは気が引けていたけどと、そう前置きした。
「夏樹はクオーターか?」
「そうだよ。母方のお祖母さんがイギリス系の人だよ」
「ほお……」
お母さんや伊吹さんと似ているが、並ぶと印象が違う。佐久弥が納得がいったと頷いた。
「優しげな丸い声色だ。少し音域が高くて、大きめの声が出せる。低い声を出しても柔らかい。僅かな骨格の違いだ。クロスオーバー向けだな……」
「クロスオーバーって?」
「ジャンルの垣根を越えた楽曲のことだ。夏樹はポップスとクラシックミックス。クラシカルクロスオーバー。オーケストラをバックにした、声楽を活かした旋律のものだ。悠人もクロスオーバー系だぞー」
「なんで?ヘヴィメタルとハードロックだよ?」
「ブルースの影響を受けている。ブルース・ロック。……裕理が最初に気がついたよな?」
「そうだった。佐久弥も一発で思っただろう?」
「ああ。どっちもかって」
「ほお……」
一気にミュージシャン同士の空気感に変わった。まるでスタジオの中に居るかのようだ。会話について行けず、聞くだけの状態だ。
この状況を寂しいとは思わない。聞くだけでも知識の吸収になるからだ。音楽のことではポジティブになれる。こういう自分なら、佐久弥と夏樹のことを支えられると思った。
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