回転木馬の音楽少年~あの日のキミ

夏目奈緖

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 パチパチパチ!

 かっこいいぞーーー!

 大きな拍手に送られてサイドに戻った。長谷部さんと遠藤さんが大笑いをしている。俺はガッカリしている。緊張してカチコチになっていたからだ。佐久弥から励まされても立ち直れない。この男の切り替えの良さと、本番の強さを分けてもらいたい。遠藤さんが俺達のそばに来て笑っている。

「夏樹みたいなスピーチを考えてなかったんだーー!社会人失格だよーーっ」
「ぎゃははーー、それは違うぞーー」
「……何か変でしたか?」

 夏樹の質問に対して、拍手喝采が起こった。可愛い、面白い、さすがは5人斬りと、周りからはやし立てられた。

「夏樹君のスピーチが、丁寧で素晴らしかったからだよ。インターンシップで習ったのかい?」
「はい。黒崎さんの、常務取締役の挨拶をイメージしました」
「ははははは」
「なつきー、おまえ……」
「蓮司くーん!黒崎さんを呼んでやってくれ。早瀬君も!悠人君が落ち込んでいるから。……ステージに影響がある」
「あああ……。なつきー。隅っこに行く……」
「俺も行くよ……」

 すごすごと、隅っこに移動した。笑いを取ろうとはしていない。大真面目にやっただけだ。夏樹が愛情うちわで顔を仰いだことでも、新しい笑いが起きてしまった。すると、遠藤さんに励まされた。

「悠人君。いい挨拶だったぞ。新人らしくてフレッシュだったぞ?」
「本当ですかー?」
「本当だよ。入学式の挨拶みたいだった。夏樹君とは対称的で可愛らしい」
「あああ……」

 遠藤さんから肩を叩かれた。ふっくらボディーが揺れている。これで落ち着こう。腹まわりに触らせてもらった。

 ほっこりした気分に浸っていると、トラのユーリを抱いた早瀬が、大笑いしながら歩いてきた。ふっくらボディーにすがりついて、落ち着けというのだろう。それを見て胸のつっかえが消え去り、床にしゃがみ込んで大きく息を吐くことができた。そして、乾杯の時間になり、夏樹と一緒にジュースで乾杯した。
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