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エピローグ
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「だからさぁ、オレ言ってるじゃん! ヤる日はあらかじめ決めておこうって!」
昨晩の嵐が嘘のように晴れ渡った青空の下、
こちらも昨晩とは打って変わってしょんぼりと耳を倒した黒い狼獣人が山道を下って行く。
その背中に背負われた少年は、頭から煙が出るのではないかと言う剣幕で吠え続けた。
「一発で済むわけねーんだもん。毎回毎回搾り取られるこっちの身にもなれっての!」
いや、搾られたのは俺のほうだが。
喉まで出かけた言葉を、ギヴは慌てて飲み込んだ。
くだらないことを言って余計に機嫌を損ねたくはない。
「はあぁ。もう、なんでさぁ、アレさえ何とかしてくれたらオレ、なんも言うことないのに」
ぶつくさと、話しかけているのか独り言なのか曖昧なトーンでジンタの愚痴は続く。
それを聞きながらギヴはただ黙々と、町へ続くだろう道を進んでいった。
町で甘い果物でも食えば、少しは機嫌を直してくれるだろう……
まるで二人を笑うかのように、雨粒を残した枝葉から一羽の鳥が飛び去って行く。
きっと今日は暑くなるだろう。
そんな夏の始まりのにおいがした。
昨晩の嵐が嘘のように晴れ渡った青空の下、
こちらも昨晩とは打って変わってしょんぼりと耳を倒した黒い狼獣人が山道を下って行く。
その背中に背負われた少年は、頭から煙が出るのではないかと言う剣幕で吠え続けた。
「一発で済むわけねーんだもん。毎回毎回搾り取られるこっちの身にもなれっての!」
いや、搾られたのは俺のほうだが。
喉まで出かけた言葉を、ギヴは慌てて飲み込んだ。
くだらないことを言って余計に機嫌を損ねたくはない。
「はあぁ。もう、なんでさぁ、アレさえ何とかしてくれたらオレ、なんも言うことないのに」
ぶつくさと、話しかけているのか独り言なのか曖昧なトーンでジンタの愚痴は続く。
それを聞きながらギヴはただ黙々と、町へ続くだろう道を進んでいった。
町で甘い果物でも食えば、少しは機嫌を直してくれるだろう……
まるで二人を笑うかのように、雨粒を残した枝葉から一羽の鳥が飛び去って行く。
きっと今日は暑くなるだろう。
そんな夏の始まりのにおいがした。
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