ジンクス∞漁猫∞～君と僕の物語

05 夏休み

05

「あら？
　貴方たちこんなところでなにをしているの？」

　宮崎さんが現れる。

「今、美姫と護の旅行を見送ったところだよ」

　僕がそう答えると宮崎さんが少しさみしそうな顔をした。

「そう……行ったのね」

　もしかして、宮崎さん誘われなかったことに落ち込んでいるのかな？

「ごめんね。
　連絡しようと思ったんだけど宮崎さんのアドレス知らなくて……」

　僕が、そう言うと宮崎さんが答える。

「そう言えば交換していなかったわね」

　すると葉月先輩が携帯をサッと出す。

「えっと……？」

　宮崎さんが戸惑っている。

「アドレス交換しよう！」

　葉月先輩がそう言うと宮崎さんが何故かクスリと笑う。

「はい」

　宮崎さんは、そう言ってスマホをカバンから出す。
　そして、僕たちはアドレスの交換をした。

「そう言えば、宮崎さんはどこかに行くの？」

「ええ。
　知り合いの幼稚園のお手伝いよ」

「そっか」

「ええ、じゃ私も行くわね」

　宮崎さんがニッコリと笑うとその場から離れた。

「みんな将来に向けて考えているんだな……」

　僕がそう言うと葉月先輩が訪ねてくる。

「一くんはないの？将来なりたいことって」

「なーんもないです。
　でも決めないと、働けないしね」

「大学もあるんだしゆっくりきめたらいいよ」

　葉月先輩がそう言うと川名さんが答える。

「斎藤くん、大学には行かないらしいです」

「そっか」

　でも、葉月先輩はそれ以上何も言わなかった。

「驚かないのですか？」

　川名さんが、そう言うと葉月先輩が言った。

「だって私は、一くんの味方だもん。
　一くんの信じる道を一くんは歩めばいいよ」

「そうですか……」

　川名さんは、少し落ち込んでいる。

「とりあえず、喫茶店でも言ってだべらない？」

「え？」

　葉月先輩の突然の提案に驚いたけれど僕たちはそれを承諾した。