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01 その男係長!

その男係長その1

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 芋洗 王次(いもあらい おうじ)
 35歳 男、独身で子持ち。

 大阪府平仮名警察署刑事課強行犯係係長。
 3月28日産まれのA型。
 身長166センチ 体重80キロ。
 趣味は、ダンス。
 29歳の時に妻を自殺で亡くしている。
 その時のショックで幽霊が見えるようになるが、そのことを隠している。
 また王次が、解決した事件は殺された幽霊に聞いて解決したものも多数ある。

 夜、王次が公園でダンスしていると女の人の悲鳴が耳に入る。
 王子は、自慢の黒縁メガネを上にあげるとその声がした方に向かって走る。
「イヤ!放して……!」
 男が、女の服を破り今まさに強姦をしようとしていた時だった。
「ジャイアントツープレックス!」
 王子のその叫び声と共にその男の顔に強烈なラリアットを喰らわした。
 男の体が吹き飛ぶ。
 男は、鼻を押さえながらポケットからナイフを取り出す。
 そしてナイフを構えると王次に向かって突進した。
 王次は、見かけとはかけ離れた素早い動きでそのナイフを避ける。
 そして、男の手を掴むとそのまま男を投げ飛ばした。
 男の手元からナイフが落ちる。
 男は、再び立ち上がると大声でこう言った。
「なんなんだ!テメェは!」
「僕かい?僕は、大阪府平仮名警察署刑事課強行犯係係長……
 芋洗王次だよ」
「王次?ふざけた名前だな!
 テメェのどこが王次ってツラだよ!」
「もう一本入っとく?」
 王次は、男の顔をそう言って睨んだ。
「……畜生が!」
 男は、そう言って王次に背を向ける。
「あ、逃げた……大丈夫ですか?」
 王次がそう言うと女の人の方を見る。
「ありがとうございます」
 王次は苦笑いを浮かべながら女の人に手を差し出す。
「立てますか?」
「はい……」
 女が王次に手を掴んだ時、王次の頭に空き缶が当たる。
 先ほどの男が、投げたのだ。
 そして、こう言った。
「『ジャイアントツープレックス』じゃねぇ!
 『ジャイアントスープレックス』だ!
 そして、さっきのはジャイアントスープレックスでもねぇ!
 ただのラリアットだ!」
 男は、そう言って再び逃げ出した。
「痛いなぁー
 もう……
 で、さっきのは知り合いですか?」
 王次が、女に尋ねると女は首を横に振った。
「そう……
 でも、一応被害届を出した方がいいと思うけどどうする?」
「被害届を出したりしたら、刑務所から出て来た時に復讐されないでしょうか?」
「それは、なんとも言えませんが出さなくても狙われるときは狙われます」
「そうですか……
 そうですよね……」
 女が、少し考えそして頷く。
「わかりました。
 警察署に被害届を出します」
「わかりました。
 では、警察署まで案内します」
 王次は、ニッコリと笑うと女も頷く。
「はい……
 お願いします」
 女もニッコリと笑う。
「良ければお名前、聞いてもいいですか?」
 王次が、そう尋ねると女もニッコリと笑う。
「川名 深雪(かわな みゆき)です」
 これが、王次と深雪の初めての出会いだった。

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