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01 ヒーローはいるかな?

04 悩みは相談しよう

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「ですますの姉ちゃん怖えぞ……」

 元太が、そういうとオトネが元太の頬をつつく。

「うりうりうりうり!
 オトネさんと呼ぶのですよ!!」

 そして、その指をグリグリとねじった。

「姉ちゃん、微妙に痛えよ……」

 元太の言葉にオトネは、小さく笑った。

「そうですますよ!
 オトネは、ですますの姉ちゃんじゃなく普通の姉ちゃんなのですます!」

 するとスマートフォンを片手にセロが言った。

「さて、怪人を倒したことでミストロから振込があったよ。
 12万円。まぁ、そこそこの怪人だったからそこそこ振り込まれているね」

 ミストロ、正式名はミストロフォロス。
 国際傭兵組織の総称である。
 基本、エルゴン・シミマタリオン。
 略してエルゴンに乗っている存在の討伐や捕獲をしたときにミストロは、会員たちに賞金を銀行振込で支払う。
 セロやオトネもまた、ミストロの会員でありそこから支払われた給与で生活をしている。

 充が、セロに尋ねる。

「お兄さんは、強いのにどうしてミストロに入ったのですか?
 お兄さんの実力ならヒーローにだってなれるのに……
 ヒーローのほうが生活が安定しているじゃないですか?」

 するとセロは小さく答える。

「ヒーローは嫌いなんだ」

「どうしてですか?
 ヒーローかっこいいじゃないですか!」

「……まぁ、色々あるんだ」

「色々って?」

 歩が、心配そうに一歩踏み出す。
 するとオトネが、充と歩の体を引き寄せそして抱きしめる。

「人には聞かれたくないことが、沢山あるんですます」

「歩は、そんなことひとつもないよ?
 みんなで相談したら解決するかもしれないんだよ?」

 歩が、そういうとオトネが優しい口調で言った。

「誰にも言えない秘密が出来たとき……
 それは、大人になったということなのですます。
 まだないってことは、歩ちゃんも充くんもまだまだ子どもってことなのですよ」

「そっか」

 歩と充は納得できない表情を浮かべたが聞いてはいけないことだということを理解した様子でうなずいた。
 ただ、隼人と愛はその秘密の意味を理解していた。
 自分たちも、また誰にも言えない秘密を抱えているからだ……
 誰にも言えない誰にも話せない悩み……
 そう言う意味では、ふたりは大人であり大人になれない存在だった。
 まだ、6歳前後の子どもたち。
 セロが悩みを話したところで解決はしないだろう。
 だが、セロはその優しさに感謝をした。

「ありがとう」

 セロのその表情は、誰よりも優しく。
 そして、切なかった。
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