上 下
38 / 51

38

しおりを挟む
「この度は・・・」

俺が、そこまで言ったとき、深雪の父親は俺の手を握りこういった。

「ありがとう。
 娘をよろしく頼むね・・・」

そして、ニッコリと俺に微笑んだ。

「え??」

「堅苦しい挨拶は、どうも苦手でねぇ・・・
 最初、結婚と聞いたとき、どんな男かと思ったが・・・
 君のような人で良かったよ。」

深雪の父親への結婚の報告。

正直、こんなあっさり済むとは思っていなかった。

深雪は、俺とその人とのやり取りなど気にしないでテレビを見て無邪気に笑っている。

ふと銘との結婚の報告をした時の事を思い出した。
確かあの時は、思いっきりぶたれたんだっけな・・・
何故だろう?心のどこかが痛い。
そんな感じがした。
しおりを挟む

処理中です...