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「伸二は、過去にさかのぼる薬を作れたんだもん。
 タイムマシンのような薬だって作れるよ。」

「深雪・・・?」

「もしも・・・
 もしも・・・
 その薬が完成したら・・・
 伸二が、私の背中を刺してね。
 知らない人に刺されるのは嫌だけど・・・
 伸二ならいいかなって思うから・・・」

深雪、お前は、何を言ってるのだ??
何が言いたいのだ?
俺には、理解できない。

「私も、手伝うから。
 一生懸命手伝うから。
 ね?いいでしょ・・・」

深雪の目は本気だった。
優しく微笑んでいるその瞳の奥に。
本当の優しさを感じてしまった。

「一生掛かってでも・・・
 一生掛かってでも、作ろうね」

「ありがとう。」

俺は、ただ、お礼を言うしか出来なかった。
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