喫茶★失恋

はらぺこおねこ。

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01 ファーストキス

07

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 近づけば嫌われる。
 そんな気がした。
 今までそうだった。
 そう、これは学習なんだ。
 だけど距離を置けば置くほど君は僕との距離を縮めた。
 だから、好きになってしまった。
 君だから好きになってしまった。
 僕にでも優しい君に……
 僕は僕の中にいる黒いものに逆らってまで君を好きになってしまった。
 こうなってしまえばもう止まらない。
 君を思えば胸が苦しくなって、ちょっぴり暖かくなる。
 つらいとき苦しいとき、励ます君の声が僕の心のなかで聞こえるようになった。
 僕が涙のとき、君は僕の頭をなでてくれた。
 バケモノと言われ親にすら抱きしめられたことがない……
 そんな僕の頭をなでてくれた。
 そんな君への気持ちが次から次へと溢れてくる。
 甘くて切ない気持ちが……

 僕は、歩くのが遅い。
 行動も人より遅く機敏でない。
 だけど、君は僕のペースに合わせて歩いてくれた。
 僕の行動をサポートして一緒に歩んでくれた。
 僕は食べるのが遅い。
 だけど、君は僕に合わせて食べてくれた。
 僕は話すのが苦手だった。
 だけど君は僕の話を真剣に聞いてくれた。

 日を終えば日を追うたびに……
 君への気持ちが溢れ出る。
 君を抱きしめたい。
 そんな気持ちだけが僕の心のなかを支配しようとする。
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