上 下
114 / 132
06 魔法使いの再会

114

しおりを挟む
 それで必死になって探したのか……

「先生から、貴方のことを聞き……
 そして、貴方を見つけることが出来ました。」

「……そっか」

「怒っていますよね?」

「怒っていないですよ」

 そう、別に俺は怒ってなどいるわけじゃない。
 悲しかっただけなんだ。
 そんなことをしなくても、俺は脊椎を提供したと思う。

「ごめんなさい」

「で、婚約破棄は取り消して貰えたんですか?」

 橘さんは、首を横に振った。

「もう、他の方と婚約していました。
 私、二股、かけられていたみたいです……」

 モテるヤツはずるい。
 一度にふたりの人と付き合うことが出来る。
 そんなヤツがいるからモテナイヤツが出来てしまう。
 ってこれは、ひがみか……

「で、私捨てられちゃったみたいです。
 あはは……」

 橘さんは、そう言って、涙を流した。

 俺は、どうする事も出来なかった。
 こんな時、普通の男ならどうするのだろう……
 俺は、どうしてあげるのがよかったのだろう?
しおりを挟む

処理中です...