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07 魔法使いからの卒業

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 白いベットの上で寝転がっている男と女。
 裸で肌を寄せ合っている。

 もう10月も終わる……

「恭子、寒くないかい?」

「ちょっと寒いね」

「うん
 10月ももうすぐで終わりだね」

「服を着ようか?」

 俺がそう言うと恭子は首を横に振った。

「もうちょっとだけ、隆弘を感じていたい……」

 初めてお互いの名前を名前で呼んだ。
 少し照れくさい。

「こうしているとね、暖かいね」

 恭子は、そう言うと俺の体にべったりとくっついた。

「恭子の温もりが伝わってくる」

「私も、隆弘の温もりを感じるよ」

 今時、こんなセリフを言う奴なんて俺だけなんだろうな……
 恭子は、それに合わせてくれている。
 恭子のどこを好きになったかと聞かれたら……
 間違いなく俺は、こう答えるだろう。

 俺に合わせてくれる。
 頼りない俺を……
 リードの下手な俺を……
 口下手な俺を……
 そんな俺を全て受け入れてくれる……

 そんな女性、この世界を探しても恭子しかいないだろう……

 恭子が、どうして俺を好きになったのかはわからない……

 でも、解っている事は一つだけある。

「恭子」

「何?」

「愛してるよ」

「うん、知ってる」

「隆弘」

「ん?」

「愛しているよ」

 そう、愛されていると言うことだ……
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