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03 バケツのお月さまひとつ

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 亜金は、死ぬと思いました。
 ティコが亜金の身体をぎゅっと抱きしめました。
 そして、ふーっと息を吹きかけます。
 すると亜金は、眠気に襲われます。
 それはそれは強力な眠気です。
 亜金は、そのまま眠りにつきました。

「はぁ。
 張り合いないなぁー
 今年の合格者はゼロかな」

 ティコは、そうつぶやきました。








 ――数時間後

「あ……」

 亜金は、病室で目を覚まします。

「起きたか?」

 玉藻が、息を吐きながらそういいました。

「うん、今年もダメだった……」

「そうだな。
 また来年がんばれ」

 玉藻がそういうと亜金はひどく落ち込みます。

「だんだんみんなとの差が空いていく……」

「そうか?」

「うん、シエラ姉さんは12歳で国家魔道士の資格を取っているのに僕は……」

「お前はお前のペースでいいじゃないか?
 40歳を超えて資格を取る人もいるんだ」

「うん」

「気楽にいけ!
 魔道士試験は頻繁にあるんだからな!」

 玉藻が優しい声でそういった。
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