不老に剣士

はらぺこおねこ。

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Scene03 カリュドーンの猪

61 世界のままに

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「じゃ、僕はこのへんで……」

丹歌はその場を去ろうと思いました。
この場所は危険。
そう思ったからです。

「帰る場所はあるの?」

いずみのことばに丹歌は逆らえません。

「ないです」

「私と来ませんか?」

「え?」

いずみの優しさは丹歌にはわかります。
ですが、テオスは危険という本能には抗えません。

「嫌かな?」

「嫌ではありません」

「じゃ、おいで」

いずみは丹歌の手を握りしめ歩きはじめました。



――その頃、とある場所。

13は、真っ白な世界にいました。
なにもない真っ白な世界。

カリュドーンの猪の炎の燃え跡は白く残る。

それは13の知識としてありました。
赤く燃え凍りつく炎とはまた性質が違う。

なので13は会おうと思ったのです。
会って聞こうかと思ったのです。

そうファルシオンの猪。

カリュドーンに……

13は自分のメモリーの能力を使いカリュドーンの居場所を突き止め。
そこに向かいました。

「あれ?13!久しいね」

少年がそう言って笑います。

「久しぶり、カリュドーンさん」

13が真面目な顔でそう言うと少年は言います。

「真面目な顔をしてどうしたんだい?」

「……」

13はなにもいいません。

「なにか怒ってる?」

「うん、とっても」

「どうして怒っているんだい?」

「あの炎。君の仕業じゃないよね?」

「何の話?」

「今、世界のあちこちで赤い凍える炎が世界を燃やしているんだ」

「もしかして僕を疑ってる?」

「疑ってないから怒っているんだよ」

「僕の炎は白いよ?」

「わかってるよ。だから名乗り出てほしいんだ。
そうしないと君が疑われたままだ」

「それは断るよ」

「でも、そうしなきゃ君が!」

「君が信じてくれるのならいいよ」

カリュドーンはそう言って笑いました。
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