子どもができた

はらぺこおねこ。

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第09章 和解

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「何の話していたの?」

港は、心配そうな目で俺の顔を見ていた。

「なんにもないよ」

俺は、そんな港に対して笑顔で答えた。

「港、お前は本気で隆君と結婚したいんだな?」

港は、父親の目をじっと見つめ、真面目な顔で答えた。

「はい、結婚したいです」

父親は、ニッコリと笑い笑顔で答えた。

「わかった。
 おめでとう、港」

「隆君、こんな娘ですが、根はいい子なんです。
 よろしくお願いします」

父親は深々と俺に頭を下げた。

「こちらこそ、お世話になります」

「隆さん、今晩は、ウチで食事を食べて下さいな」

母親は、ニッコリと笑って俺の顔を見つめた。

「ありがとうございます」

港の父親と母親は、ニッコリと微笑み港は、涙を流していた。
悲しい涙じゃない。
嬉しい涙なんだ…
心のどこかが暖かくなるモノを感じた。

「港、御祝いしなきゃね」

港の母親の言葉に港はコクリと頷いた。

その後、俺は港の父親が運転する車に乗り港の家へと向かった。
リビングには、割れたままのガラスのコップの破片が散らかっていた。
父は罰の悪そうな顔をした後、俺を見て苦笑いを浮かべそして部屋の奥へと入っていった。
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