子どもができた

はらぺこおねこ。

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第10話 幸せの形

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部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「はーい」

ドアが開くと港の母親が姿を現した。

「ご飯の準備が出来たから、そろそろリビングにいらっしゃいな」

「はい」

港は、立ち上がると俺の腕を引っ張った。

リビングに向かうと手巻き寿司の準備が出来ていた。

俺は、港に言われた場所に座ると港の父親が俺にビールを注いでくれた。
俺も港の父親にビールを注ぐ。
港は自分でビールを注ぐと、みんなで乾杯をした。

「婚約おめでとう」

「ありがとう」

「隆さんのご両親には報告したの?」

「いえ、まだです」

「明日行こう?」

港が、俺の目を見て言った。

「そうだね」

俺は遠い目で見た。
親父に怒鳴られるだろうな。
自分の子供ならず、他の人の子供を宿った人と結婚するのだからさ。

「大丈夫なのか?」

事情を知っている港の父親が心配そうに俺に尋ねた。

「まぁ、なんとかしますよ」

「ただの出来ちゃった結婚じゃないんだ……
 君の両親は理解してくれるのかい?」

「……大丈夫です
 ウチ、放任主義なので」

「そうか……
 何かあったらいつでも相談してくれよ」

「ありがとうございます。」

俺達が、真面目な会話をしているのにも関わらず、港は手巻き寿司を美味しそうに食べていた。
俺はきっと、このマイペースな所が好きになったのだな。
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