~マーメイド~

はらぺこおねこ。

文字の大きさ
2 / 130
Scene01 出会い

02 マーマン法

しおりを挟む
数日後……
壱の家に、宅配便が届く。
その大きな箱には、マーマン株式会社のロゴが目立つようにあった。
壱は少し恥ずかしいと思ったが、世間にはマーメイドが浸透しているため宅配の人も普通の表情だった。
よくよく考えてみれば、マーマンと一緒に街を散歩する人もいるくらいなので購入者を差別する風潮はもうないのかもしれない。

「はい、ご利用ありがとうございます!」

宅配のお兄さんが、笑顔で頭を軽く下げる。

「あ、はい。
 おつかれさまです」

「ありがとうございます。
 受取のサインをお願いしてもいいですか?」

「あ、はい」

壱は、用紙にサインをする。

「あと、マーマンを利用するにあたって同意書も必要なんですけど」

「同意書?」

「はい。
 まずこの用紙を見てください」

宅配のお兄さんは、真面目な表情で言葉を続ける。

「第一条、マーマンを大事にすること。
 第二条、マーマンの臓器摘出などに利用しないこと。
 第三条、転売などはしないことまた不要になった場合はマーマン株式会社に連絡し速やかに処分すること。
 第四条、マーマンにも心や感情があるため、それを無闇に傷つけないこと。
 第五条、マーマンを好きになった場合、マーマン株式会社に連絡し速やかにマーマンの国籍を作ること。
 第六条、マーマンで恋愛の練習相手にをすることは可とする。
 以上、これらを守れなかった場合、国際法により厳罰な処分を検討する。
 とあります。
 ちなみにクーリングオフは14日以内でお願いします。
 以上のことを守れますか?」

「えっと、そんなのあったんだ?」

「はい、ご存知ないですか?
 最近マーマン法というのが出来て設立されたことを……」

「そっか……」

壱は、迷った。
マーマン法など知らなかった。
昨日出来た法律。
それは、マーメイドを購入することで責任を背負うということだ。

「守れそうもないですか?」

「うーん。
 受取を拒否した場合、このマーメイドはどうなるのですか?」

「おまかせコースで、販売されるか……
 廃棄処分の場合もありますね」

宅配のお兄さんが低い声でそう言った。

「それは、可哀想だな。
 わかった、受け取るよ」

壱は、軽い気持ちで受取にサインした。
誰かと一緒に同居することになった。
そう思えばいい。
だけど、壱はこのときなにも知らなかった。
命の重さと大事さについて考えれていなかったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

同期に恋して

美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務  高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部 同期入社の2人。 千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。 平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。 千夏は同期の関係を壊せるの? 「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。

処理中です...