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06 泣かない彼と泣き虫な彼女

2012年11月3日

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2012年11月03日

当てのない旅。
退屈にさせないようにと一生懸命動く俺。

美穂は、嫌な顔をひとつせず、俺についてきてくれた。

俺が、車の運転ができたならドライブに誘っただろう。
でも、俺はペーパーでゴールド。
運転は、多分もうしない。
出来ないだろう……

美穂は、運転できる。
でも、美穂に運転してもらうのは、気が引ける。

だから、俺たちは京都の街を途方に歩く。
電車に乗りバスに乗り寺めぐり。

ひたすら寺を歩いた。
そして、今。
少し早い夕食をホテルの屋上で食べている。

「亜金は、観光がしたかったの?」

美穂の質問に俺は、戸惑う。
ホント、俺は何がしたいんだろう……

「んー。
 美穂と色んなところを見てみたかったんだ」

「ふーん。
 今日は、オオカミになるの?」

「オオカミ?」

「ホテルに来て食事するってことはそういうことじゃないの?」

「あー。
 それは、ない」

「そっか」

美穂は、少し残念そうな顔をした。

「なんていうかさ……
 いい加減な気持ちでしたくないんだ」

「真面目なんだね」

「んー。
 美穂はどうなの?
 中途半端な気持ちで俺に抱かれて嬉しい?」

「嬉しくはないけど……
 ずっと一緒にいるのにちっとも抱いてくれないんじゃ女としての自信を失うかな」

美穂が、笑う。
苦笑いだ。

抱けるのなら抱きたい。

そろそろ捨てなければいけないものでもあると思う。
でも、焦って捨てていいことは、あるのだろうか?
答えは、俺にはわからない。

「そういうもん?」

「うん」

「でも、きちんとお互いのことを好きになってからしようよ」

「うん。
 そうだね」

美穂の表情が少し和らぐ。
それは、安堵の表情だろうか……?
俺には、わからない。
なにもわからない。
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