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06 泣かない彼と泣き虫な彼女
2012年11月20日
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2012年11月20日
今日は、美穂と一緒に、隼人君を連れて美穂の知り合いの服のデザイナーさんの所に行った。
本当は、愛ちゃんも連れていきたかったんだけどそれは、許可が下りなかった。
それだけ、愛ちゃんの様態が良くないってこと。
それを実感する。
デザイナーさんの所に行き隼人君のウェディングスーツ。
愛ちゃんのウェディングドレスを用意してもらうことになった。
デザイナーさんは、事情を話すと急ピッチで作ってくれるらしい。
服ができるのは、明日……
隼人君のは、そんなに時間がかからないけど……
愛ちゃんのドレスは、少し時間がかかるらしいけど他の仕事を後回しにしてまでやってくれると言ってくれた。
凄くかわいいドレスを作ってくれるそうだ。
俺は、心の底から「ありがとう」と言う言葉が出た。
ついでに、涙も出そうになったけど、そこは堪えた。
「帰りは、喫茶萌萌で、何か食べていこうか?」
美穂の提案に俺は頷いた。
喫茶萌萌の中に入った後も、やっぱり隼人君は、元気がない。
「あまり自分を責めない方がいいよ」
俺は、隼人君にそういった。
だけど、責めてしまうだろう。
俺だって同じ立場だったら自分を責めていただろう。
「でも、僕が愛を連れ出さなかったら……」
「そうだね。
愛ちゃんの顔を見ただろう?
凄く幸せそうだったよ」
「でも、僕はまだ、愛に死んで欲しくない……」
「残酷なようだけど、愛ちゃんは遅かれ早かれそう長くなかった……
愛ちゃんの身内のお爺さんやお婆さんでさえ、隼人君には感謝していたんだよ。
『愛ちゃんのあんな笑顔、久しぶりに見た』って……」
隼人君は、うつむいたまま言葉は出さない。
美穂が、優しい口調で隼人君に言う。
「愛ちゃん、結婚式を楽しみにしてると思うなぁ。
なのに新郎さんが、そんな顔をしてたんじゃ愛ちゃん幸せになれないよ?」
「幸せって何?
生きることじゃないの?」
「そうだよ」
「だったら、もうすぐ死ぬ愛のことを幸せになんて……」
「愛ちゃんは、生きているよ?
少なくても今は、生きている。
死んだ後のことなんて考えないで、今生きている愛ちゃんのことを考えて」
うん。
子供嫌いな美穂。
でも、子供のことを一生懸命考えているこの美穂。
この美穂は、やっぱり俺の知っている美穂じゃないんだな。
きっとこの子は……
いや、やっぱり今はこのことを考えるのはやめよう。
今は、隼人君と愛ちゃんのことだけを考えよう。
「ほら、亜金!
何かいいことを言って!」
「いいこと?」
「そう、亜金の格言を言って!」
「急にそんなことを言われてもな……
そうだな……
『今できることは明日もできるとは限らない!』かな」
「ほうほう。
亜金にしては、わかりやすいこと言ったね」
「うん。
この病院に来て、気づいたことなんだ。
今はできても、明日は死んでいるかもしれない。
だから、できることはやってしまおうって……」
「亜金、はなまる!」
美穂は、そう言って俺の頭を撫でてくれた。
なんか、恥ずかしかった。
今日は、美穂と一緒に、隼人君を連れて美穂の知り合いの服のデザイナーさんの所に行った。
本当は、愛ちゃんも連れていきたかったんだけどそれは、許可が下りなかった。
それだけ、愛ちゃんの様態が良くないってこと。
それを実感する。
デザイナーさんの所に行き隼人君のウェディングスーツ。
愛ちゃんのウェディングドレスを用意してもらうことになった。
デザイナーさんは、事情を話すと急ピッチで作ってくれるらしい。
服ができるのは、明日……
隼人君のは、そんなに時間がかからないけど……
愛ちゃんのドレスは、少し時間がかかるらしいけど他の仕事を後回しにしてまでやってくれると言ってくれた。
凄くかわいいドレスを作ってくれるそうだ。
俺は、心の底から「ありがとう」と言う言葉が出た。
ついでに、涙も出そうになったけど、そこは堪えた。
「帰りは、喫茶萌萌で、何か食べていこうか?」
美穂の提案に俺は頷いた。
喫茶萌萌の中に入った後も、やっぱり隼人君は、元気がない。
「あまり自分を責めない方がいいよ」
俺は、隼人君にそういった。
だけど、責めてしまうだろう。
俺だって同じ立場だったら自分を責めていただろう。
「でも、僕が愛を連れ出さなかったら……」
「そうだね。
愛ちゃんの顔を見ただろう?
凄く幸せそうだったよ」
「でも、僕はまだ、愛に死んで欲しくない……」
「残酷なようだけど、愛ちゃんは遅かれ早かれそう長くなかった……
愛ちゃんの身内のお爺さんやお婆さんでさえ、隼人君には感謝していたんだよ。
『愛ちゃんのあんな笑顔、久しぶりに見た』って……」
隼人君は、うつむいたまま言葉は出さない。
美穂が、優しい口調で隼人君に言う。
「愛ちゃん、結婚式を楽しみにしてると思うなぁ。
なのに新郎さんが、そんな顔をしてたんじゃ愛ちゃん幸せになれないよ?」
「幸せって何?
生きることじゃないの?」
「そうだよ」
「だったら、もうすぐ死ぬ愛のことを幸せになんて……」
「愛ちゃんは、生きているよ?
少なくても今は、生きている。
死んだ後のことなんて考えないで、今生きている愛ちゃんのことを考えて」
うん。
子供嫌いな美穂。
でも、子供のことを一生懸命考えているこの美穂。
この美穂は、やっぱり俺の知っている美穂じゃないんだな。
きっとこの子は……
いや、やっぱり今はこのことを考えるのはやめよう。
今は、隼人君と愛ちゃんのことだけを考えよう。
「ほら、亜金!
何かいいことを言って!」
「いいこと?」
「そう、亜金の格言を言って!」
「急にそんなことを言われてもな……
そうだな……
『今できることは明日もできるとは限らない!』かな」
「ほうほう。
亜金にしては、わかりやすいこと言ったね」
「うん。
この病院に来て、気づいたことなんだ。
今はできても、明日は死んでいるかもしれない。
だから、できることはやってしまおうって……」
「亜金、はなまる!」
美穂は、そう言って俺の頭を撫でてくれた。
なんか、恥ずかしかった。
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