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11月

11月11日

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11月11日

朝、警察の方がやって来て任意同行を命じられました。
俺に聞いても仕方がないのにね。
「犯人は俺じゃない!!」
声をあげて言いたいです。
でも、いくら訴えても、それは伝わらず。
「お前がやったんだ!」
「お前がやったんだ!」
と繰り返すばかり。
もはや疑問形ではなく肯定で聞いてきます。
取り調べもこの間よりも厳しいです。
何もしていないのに罪を認める人がいるのも分かる気がします。
取り調べってトイレも行かせて貰えないんです。
長時間の取り調べの後、やっと開放。
はぁ。疲れた。
疲れ果てて家に戻り、自室のベッドの上で少し休憩していると、携帯に知らない番号から着信がありました。
この前、応募した企業からかな?
俺は、そう思い電話を取りました。
「もしもし、猫さんですか?」
明るい感じの女性の声が電話の向こうから聞こえてきました。
「はい、そうです。
 どちらさまでしょうか……?」
「もう、この声を聞いてもわからないかな?」
「わからないです……」
「はるかだよ」
なんで、電話番号まで知っているのだろう?
俺は、思わず黙ってしまいました。
「なんで黙るの?あ!わかった!
 私の声があまりにも可愛いからびっくりしているのでしょう?」
「あははは」
俺は、笑って誤魔化すことにしました。
「で、どうしたんですか?」
「明日のデート、忘れていないかなって思ってね。
 電話したんだ」
「忘れてませんよ」
デート?デートになるのかな?
相談を聞くだけですよね?
「明日は、14時から面接なんですが」
俺が、そう言うとはるかさんは、明るい声で「場所はどこ?」
と尋ねてきましたので、「北浜です」と答えました。
少しだけ、間を開けた後「北浜かぁ」と言いました。
「はい」
俺は、頷きました。
「じゃ、15時にマクドの前で待っているからね!
 猫さんが来るまで、ずっと待っているから!」
はるかさんは、そう言って電話を切った。
15時って、間に合うかな。
バイトの面接だし30分もかからないだろう。
遅刻したら、遅刻した時に考えよう。
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