花子センセイの生徒は立派なストーカーになりました

藤の蜜

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大晦日でうっかり義弟の童貞をもらったけど、どうしたらいい?【花子先生】

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「花子先生! 入りました!」
「んっ……入ったわね」

 そんな爽やかに言われてもねぇ。
 真正面から熱っぽい視線を向けられるから、急に我にかえって、ふいと横を向いた。
 つけっぱなしのテレビから、やたらコブシの利いた演歌が流れてて、エロい雰囲気なんてどこにもない。炬燵の上に置いた食べかけのミカン。明るすぎる居間の照明。上半身はヨレヨレのセーターに母が着てた丹前。下半身は素っ裸。間抜けな格好をした私の上にのし掛かっているのは……。

「動きます!」
「お好きに、どうぞ」

 ゴールデンレトリバーみたいな癖っ毛がフワフワ揺れる若い男の子。
 お許しを得たレトリバーこと尚太くん。その可愛らしい笑顔からは想像もできない、ご立派なモノで私を突き上げはじめた。

「んっ、んっ、あっ……」

 大きいからか、相性がいいのか。反り返った硬い肉の塊がみっちり奥まで届く。ソレは、単調な出し入れを繰り返してるだけなのに、ゴリゴリ奥を擦られて、やたら気持ちがいい。
 演歌の曲調とは関係なく、パンパンと肌がぶつかる卑猥な音が居間に響く。
 尚太くんはグレーのスエットを片足に残して、トレーナーは着たまま。時々裾が邪魔なのか上に引き上げて、私の股から出入りする自分のイチモツを凝視している。

「花子せんせ、い……っ、中っ、凄い、きもちいいっ、デス!」

 全速力で走ってる犬みたいに、息を切らして私を攻める元教え子の額から、キラキラ光る汗がツツーっと頬を伝って、私の丹前にポタポタ落ちた。
 そうかそうか、気持ちいいのか。それは良かったね。なんて心の中で呟くけど言葉には出さない。変な喘ぎ声は出てるけど、これは生理現象みたいなもの。
 まさか、大晦日で若い男子の童貞を頂くことになるとは……。

 実家に帰省したら「おかえり」って知らない若い男の子がお出迎えしてくれた。「あの、ここ山本家ですよね?」って思わず確認したよ。家間違えたのかと思うじゃない普通。で、その男の子……なーんか、見たことあると思ったら、家庭教師のアルバイトしてたときの、教え子だった。いつの間にか再婚した母さんは、今、新婚旅行でハワイに行ってるんだって!

 え、聞いてないよ。なにそのリア充正月プラン。羨ましい。
 で、再婚相手の連れ子が家で一人、お留守番してたところに私が「ただいま」って帰ってきたわけ。

 帰りの新幹線は三日後だし、今の時期、空いてるホテルなんてあるわけない。念のため母さんに電話で確認したら「言うの忘れてたぁごめんごめん。お土産買ってくから許して」って、軽いなオイッ! もう、疲れたから今日は実家に泊まって明日考えよう。
 幸い一人で留守番していた尚太くんは、昔と変わらず私になついてくれてる。

「花子先生がお義姉さんで良かった! 娘がいるからそのうち紹介するって義母さんに言われて、どんな人なのか心配だったから」
「ははは……ごめんね尚太くん。うちのできの悪い母が迷惑かけてるんじゃない?」
「いえ、明るくて楽しい人ですよ。少しおっとりしているけど」
「おっとり……モノは言い様ね」

 はっきり言っていいのに。ボケた若作りの楽天家だって。

 家庭教師のバイトしてたときから5年も付き合ってた彼氏と別れて1年。恋愛は疲れた。彼氏を作るのが面倒。トキメキはスマホアプリで十分。貢いでも報われないリアルに比べれば多少の課金も厭わない。あとは仕事漬けの毎日を送っていましたとも。これが標準アラサーの生態。ああ、アラサーって言っても、まだ20代だけどね。焦るの通り越してどーでも良くなってきた。男なんて。
 欲求不満かと言われれば……まあ、多少は不満だったかもしれない。けど、知らないうちに義弟になった、7歳も年下の元教え子とどうにかなるなんて思わないでしょ。普通。

 いや、ちょっとは考えたかも。

 だって、5年ぶりに見た尚太くんは、以前の可愛い感じをそのまま残しつつ、見事なイケメンに成長してたんだもの。ただね、ほら。私はアラサー。20歳そこそこの若い子にとってはオバサンでしょ? 眺めるだけでいいの。イケメンは。

 大晦日の夜だって言うのに、家にはカップラーメンくらいしかなかったから、ご飯を炊いてからコンビニへ買い物に行った。
 ビールを何本か買って、尚太くんはあまり飲めないって言うから、アルコール度数3%の甘いカクテルを一本。あとは軟骨の唐揚げ、お新香、鳥南蛮にたこ焼き、枝豆とチーズなどなど、目についたものを片っ端からカゴに入れてみた。もちろん社会人のお姉さんがお支払い。もしかして、お年玉あげた方が良かった? って聞いたら慌てて首を横にふられた。

 重たいコンビニの袋を全部ひょいっと持ってくれた尚太くん。男の子なんだなーっと、少しときめいた。

 帰り道で、お互いの近況なんかを話して、薄暗い住宅街を並んで歩く。
 尚太くんは昔の癖なのか「花子先生」って呼んでくれるから、何だか私もつい先生みたいな口調で話してみたりして、まるでゴッコ遊び。
 家についてすぐ、コンビニ惣菜を炬燵テーブルの上に広げて大晦日っぽくなったねーって二人でほっこりした。
 勢いで買いすぎた惣菜は明日食べるとして、お風呂でしっかり今年の汚れを洗い流し、お正月番組を見ながら二人で少しだけねってお酒をちびちび飲む。そして、私が炬燵でミカン剥いてるとき、アルコール度数3%のカクテル一本で酔っ払った尚太くんが、突然真剣な顔して「俺……実は童貞なんです」って言い出した。てっきり冗談なのかと思って、ものの弾みでうっかり「じゃあ私で童貞卒業する?」なんて……完全に酔ってました。私。


 テレビ番組はいつの間にか年末の歌番組が終わり、今年の締めくくり番組になっていた。ゴーン……ゴーンと除夜の鐘が鳴り響く。この音を聞くと今年も終わりなのね。なんてしみじみ思うのが大晦日の過ごし方なんだけどね。今はそれどころじゃない。

「も、もう勘弁して……」
「あと5個あるから使い切っちゃいましょう! 花子先生」

 可愛い笑顔の尚太くんが、キラキラの笑顔で目の前にかざしたコンドームの封を切る。いや、何回やるつもりなのよ。
 今年は酔っ払った勢いで。うっかり変なことを言わないようにしよう。そう心に固く誓った年明けだった。


→→→尚太くん編につづく。
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