ありがとうまぁ兄…また逢おうね

REN

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第六章 悲恋の始まり

プロポーズ

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まぁやんと舞華が交際を始めて1ヶ月後。
まぁやんの転勤の内示が出た。
行き先は北海道である。
「帰ることになったな」
まぁやんは少しワクワクしていた。
東京に来て約5年、龍弥や康二、恋と会えることが楽しみであった。
まぁやんと舞華は半同棲生活をしていた。
「舞華、俺の転勤決まったわ」
「北海道に?」
「あぁ。それでな…一緒に来てくれる…よね?」
「えー!どうしようかなぁ~」
「おいおい!」
「うっそ!もちろんついていくつもり。だけどまずお父さんにも許可貰わないと」
「そうだな。次の休みに会いに行こう」
「うん!」
「それでな…この間お前がお願いしていた籍を入れる件だが、北海道に行ってからでいいか?」
「え!?ほんとにいいの?私で本当にいいの?」
「ばーか!お前じゃなきゃダメなんだ」
「嬉しい…」
舞華の夢は結婚して、ウエディングドレスを着て、結婚式を挙げて、仲睦まじく結婚生活を送ることだった。
まぁやんはその夢を叶えて、舞華と共に温かい家庭を作りたいと思っていた。

数日後、まぁやんと舞華は舞華の父に会いに行った。
すでに数度会っているので、緊張しないとまぁやんは思っていたが、いざとなると膝が震えてきた。
「雅志くん、舞華!お待たせ」
「お父さん、遅ーい」
「ごめんねー!よいしょっと」
舞華の父は席について、お水を一口飲んだ。
「で?今日はどうしたの?改まって」
「はい!お父さん。正式に北海道へ戻ることになりました」
「そうかい!良かったね~。ん?良かったでいいの?」
「んもう。お父さんったら」
「ははは…そっか。北海道かぁ。いいね」
「はい…そこで…正式に舞華さんと籍を入れさせて頂くことをお許し頂きたく、お願い致します!」
「お父さん!お願いします!」
その話を聞いた舞華の父は、一つため息をついて
「舞華、ちょっと席を外してくれないか?」
「え?どして?」
「雅志くんと二人で話したいんだ。頼むよ」
「…わかった」
舞華が籍を立って、ロビーの方へ歩いていた。
ふたりっきりになった途端、舞華の父はまぁやん深々と頭を下げた。
「雅志くん。舞華の夢を叶えてくれて…ありがとう」
「お父さん!やめてください!」
「あの子は、重い心臓の疾患があるから、医師から長くは生きられないってまで言われてます。だから、もし雅志くんの籍に入ったら、きみに迷惑がかかるんでないかい?君の戸籍に『妻 死別』と書かれちゃうし。戸籍に傷がついちゃうんで無いかと…」
「ちょっと待ってください。どうして傷なんですか!愛する人と籍が一緒になる。とてもプラスなことです。そんな事言ったら、私の戸籍だって傷だらけですよ。だからそんな事はどうでもいいのです」
「雅志くん…」
「なので、舞華さんの病院の転院や、引越しなど忙しくなるので、それだけが心配ですが」
「その辺りはわたしも動こう」
「ありがとうございます」
すると、待つことに痺れを切らしたのか、舞華が戻ってきた。
「ねぇ。まだ?」
「あぁ、ごめんごめん」
舞華が席についた。
「ねぇねぇ。何話してたの?」
「ひみつ!ねっお父さん!」
「そう!男だけのヒミツだ」
「なんなのよーもう!」
「はいはい!食事にしましょう!」
3人は楽しそうに食事を楽しんだ。

まぁやんは悩んでいた。
宝石店に入って、ショーケースの前で悩んでいた。
(これもいいけどなぁ…どれがいいか…)
「お客様、どのような指輪をお探しですか?」
店員が笑顔で話しかけてきた。
「あ…いや…婚約指輪と結婚指輪を…」
「まぁ!おめでとうございます。最近の人気はこちらのようなタイプですね」
「ほー!人気だけあって、いいお値段しますね」
「そうですね…あとはご予算に合わせてお選び頂くとか」
まぁやんは飲食業のマネージャーという立場から、接客に対しては鋭い観点を持っていた。
(ん?今表情が一瞬曇ったな。多分金持ってないなこの客と思っただろうな)
「そうだな…これもいいなぁ」
まぁやんはわざと安い商品をマジマジと見た。
「そうですね。お値段はリーズナブルですが、デザインとしてはシンプルですね。結婚指輪は一生ものですから…」
(明らかにチェっという顔したな。この店員さん、顔に出やすなー)
まぁやんのこのいやらしい性格はずっと治らなかった。
「決めた!これにします!」
っといって、一番高いやつを選んだ。
「え!あ!その…ご予算大丈夫ですか?」
「だって、一生ものって言ったじゃないですか」
「えぇ…そうです…ね…」
まぁやんは指輪を購入した。
(あとは、どうやってプロポーズするかだな)
一応婚約はしてるものの、結婚が夢と言った舞華に、きちんとしたプロポーズをしようと思った。

6月26日、まぁやんと舞華が交際して丸1年の記念日。
その日はふたりで外食しようと約束していた。
場所はまぁやんが勤務しているレストラン。
このレストランは、DJもいて店内のBGMはDJが選曲して流している。
ふたりで楽しく食事をしていた。
「まぁやん、美味しいね」
「ほんとだな!いい記念日になったろ?」
「うん!毎年やりたいね!この記念日」
「そうだな…」
食事を終えて、まもなくデザートの時間が訪れた。
「もうすぐデザート!楽しみぃー」
「ほんと甘いもの好きだね」
「うん!大好き!」
「デザート前にちょっと時間もらえる?」
「ん?なぁに?」
その瞬間、店内の照明が落ちて、真っ暗になった。
「え!」
そしてまぁやんと舞華の席にスポットライトが照らされた。
「ちょっと…なに?」
「舞華!」
そして店内のBGMが安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』がかかった。
「舞華。お前と出会って、俺は本当に幸せだ。そしてこれからもふたりで楽しい家庭を築いていきたい。俺と結婚してください!」
公開プロポーズだった。
そう言ってまぁやんは指輪を出した。
「まぁやん…」
舞華は感動のあまり大号泣してしまった。
「ごどゔぁにでぎないぃー」
「じゃあイエスかノーで答えて?」
「もぢどん、イエズ!」
するとレストラン内から大きな拍手が湧き上がった。
実は他のお客様全員にも、オーダー取る時にカードを渡していた。
『本日20時からプロポーズされるお客様がいらっしゃいます。ご協力お願いいたします』と。
「皆様、ありがとうございます。お礼にわたしから皆様にシャンパンをプレゼントさせて頂きます!」
すると店員が総動員で、客席にグラスのシャンパンが一杯ずつ配られた。
「舞華、手を出して?」
「うん…」
まぁやんは舞華の左手の薬指に指輪を嵌めた。
「まぁやん…ありがとう…愛してる…」
まぁやんは舞華をお姫様抱っこした。
ホールからは『キース!キース!キー』」っとKissコールが発生した。
「する?」
舞華がまぁやんに聞いた。
「照れるな…」
ふたりは恥ずかしながらもキスをした。
お店の中は大盛り上がりとなった。
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