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1話 プロローグ

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「え?うそだろ!?」

ありえない、信じられない、と思えるほどの光景が目の前に広がっていた。

「なんで! 玄関を開けたらダンジョンがあるんだよぉぉぉー!」

俺の家はどうやらダンジョンと繋がってしまったようだ………



『ダンジョン・・突如としてこの世界に現れた未だ正体不明の存在。ただこの世界に現れたのは迷宮ダンジョンではなく迷宮に繋がる扉ダンジョンである。』




「いやいや、寝ぼけてるな…俺」

家の玄関がダンジョンと繋がったなんて話聞いたことない。だからそんなことありえないはずだ……だけどなんでだろうなんでこんなに心臓は慌てるように激しく動き出し、変な汗が止まらないのはなんでだろう…そしてすごく、すご~く嫌な予感がするのはなんでなんだろう…

「よ、よし、気のせいだ気のせい」

俺は一度玄関の扉を閉め、頬を叩き寝ぼけている頭を覚まさせる。

「ほ~ら、やっぱりダンジョンなんて……」

あった。なんでも扉を閉めては開け、閉めては開けても玄関の先はダンジョンに繋がっていた。そして夢だと思い頬をつねったり、ねじったりしてみたがどうやら俺は夢の中にいるわけではなくこれが現実のようだ。

「別に玄関からじゃなくても窓から外に出ればいいじゃないか!」

名案が閃いたとばかりに俺はすぐに行動へと移すことにした。

結果は……

「開かない……」

窓は鍵をかかってはいないはずなのにどれだけ力を込めようがビクともしなかった。まるで窓は家の一部となってしまったかのように……てか鍵がかかっている時よりもしっかりと鍵としての役割を果たしてやがる。今みたいになる前は力一杯に窓を開けようとすれば開いてしまうんではないかと少し不安になるぐらいガタガタしてたからな……。

って今はそれどころじゃない!

俺は家にある外へと出られそうな窓や扉、全てを確認してみることにした。

まぁ予想はしていたが全て開くことはなかった。

「どうしたらいいんだよぉぉぉぉー!」

俺は膝から崩れ落ちた。外に出られないと言うことは家にある食料がなくなれば俺は何も食べるものがなくなりお腹が空きそして最後には薄皮一枚になり餓死してしまうことになるだろう。

「あ、す、水道は…」

水道の蛇口をひねると…水は流れた。

「よ、よかった~」

どうやら水を確保することは出来るようだ。水があるならすぐに餓死してしまうことはないだろう。そして次に俺は電気、ガスと家にあるものが作動するか確認し始めた。



その結果は…全部使うことができた。


どうやら俺は外に出られないだけで家の中の物は全部使うことができるようだ。

「はぁ~よかったこれであん…」


……いやなんにも安心できねぇぇぇぇぇぇーー!
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