異世界に転生することができなくなり元の世界へ戻ることになりました!

レイン

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1話

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「あなたを異世界に転生させることが出来なくなりました」

神様が申し訳なさそうに頭を下げた。

「な、何でですか?」

「異世界に転生させることができる枠を他の神が使ってしまったようなのです」

神様が言うには異世界に転生させるには条件があり、その条件の1つに異世界に転生させるのは1日に1人と言うものがあり、その1人の枠を他の神様が使ってしまったことで僕を異世界に転生させることが出来なくなってしまったようなのだ。

「お願いします!どうにか僕を異世界に転生させてくれませんか!」

僕は神様に縋りつきどうにか異世界に転生させてもらえないかお願いする。

「すいません、私にはどうすることもできないのです」

神様も本当に申し訳なく思っているようでどうにか出来ないかと手を尽くしてくれたようだったけど、どうにもこうにもすることは出来なかったようだ。

「はぁ~それじゃ僕はこのまま天国に行くのか~」

異世界に転生すると言うことは僕は一度死んでいることになる。

今年から通うことになる高校は実家から離れているので僕は一人暮らしを始める予定だったのだ。これから始まる一人暮らしの生活を夢見て、物件を探しているとトラックに轢かれて痛みを感じることすらなく何も気付かないままポックリ逝ってしまわれたと言うことだ。そして気がついたら目の前に神様が立っており異世界に転生させてくれると言う話になったのだ。僕は小説や漫画などで異世界転生系のモノを読んでいたので混乱することなくすんなりと自分の状況を理解することが出来ていた。

まぁ結局異世界に転生することはできなくなってしまったが。

「天国ってどんなところだろうな~」

「いえ、あなたは天国に行くことは出来ませんよ?」

「え?」

異世界に転生することが出来なくなってしまった僕は日頃の行いが良かったと自負していたので天国に行くんだろうなと思いどんなところかと想像していると神様から天国に行けませんよと言われ僕は全身の力が抜け膝から崩れ落ちた。

「そ、それじゃ僕は地獄に落ちるんですか?」

まさか自分が地獄に落ちるなんてと思いながらもしかしてと希望を抱きながら神様に聞いてみると

「いえ、あなたは地獄に行くことも出来ませんよ?」

「え?それじゃ僕はどこに行くんですか?」

「あなたは元の世界に戻ってもらうことになりました」

神様の口から僕は地獄に落ちることもないと言われ安心したけど、天国にも地獄にも行けない僕はどうなるのかと神様に尋ねると、どうやら異世界にも天国にも地獄にも行くことができない僕は元の世界に戻ることになった。

「え?そうなんですか?」

「はい、最高神様が決められたのです」

神様の中でも上位の神様が存在し、その上位の神様が全てにおいて決定権を持っており異世界転生するための条件を作ったのもその神様だ。

「こちらの不手際でご迷惑をおかけしましたのでお詫びとして生前あなたが欲しいと思っていた家を授けたいと思います」

「本当ですか!」

神様はお詫びとして僕が一人暮らしするために欲しいと思っていた家をくれることになった。神様から家を貰うので家賃や水道代など諸々のお金を払う必要がないことなのですごくとてもありがたかった。

「それではそろそろ蘇生させたいと思います」

「はい!本当にありがとうございました!」

そろそろ僕は元の世界へ戻ることになった。異世界に転生することはできなかったけど元の世界に蘇生してくれるだけでありがたいのにその上家までくれることになったので本当に神様には感謝しかなかった。

「これからの人生を楽しく元気に過ごしてくださいね」

「はい!人生を目一杯楽しみたいと思います!」

神様に深く頭を下げるとゆっくりと意識を失い目の前は真っ暗になっていきバタンと力なく倒れこんだ。
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