お宝を求めて

レイン

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1話

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「これなのか?」

首にぶら下げているネックレスから放たれる光の線は確かに目の前にある古びた宝箱を指し示していた。

「この中に僕が求めるお宝が眠っているのか」

首からぶら下げているこのネックレスはただの装飾品ではない。このネックレスは『欲望の導き』と呼ばれる魔道具である。
この『欲望の導き』には持ち主の欲望を叶えることができる人や物まで導いてくれるという効果を持つ魔道具なのだ。

その『欲望の導き』が僕の欲望を叶えてくれるモノとして導いてくれた先にあったのがこの古びた宝箱だった。

「あぁ!何が入ってるんだろう!?楽しみだ!」

僕は『欲望の導き』を使ったのは今回が始めてではない。今まで『欲望の導き』が導いてくれた先にあったのは全て僕の欲望を叶えてくれる物だった。だから今回も何も疑うことなく導かれてこの世界の果てと呼ばれるところまでやって来たのだ。

「あぁ!もう我慢できない!どんなお宝が入っているのか気になってしまう!」

僕の欲望を叶えてくれるモノがこの中に入っているそのことは分かっている。だからこそ何が入っているのかが気になって気になって仕方がないのだ。

僕の欲望と言うのが心揺さぶれるモノを手に入れるというものだ。この心揺さぶれるモノと言うのがとても曖昧であった。心揺さぶれると言っても人によって様々だろう、雄大な景色を見て心揺さぶれる人もいれば何の興味もない人もいるだろう、何か宝石のような高価なものや貴重な物を手に入れて心揺さぶれる人もいればそんなの無駄という人もいるだろう、本当に心揺さぶれるモノと言うのは人によって違ってくる。

そして僕にとって心揺さぶれるモノと言うのは別に決まったモノがあるわけじゃない。宝石によっては心揺さぶれる物もあれば揺さぶれない物もある。僕にとって心揺さぶれるモノと言うのは僕が心を揺さぶれたモノだ。

つまりわかりやすく言うと僕の欲望であるはずの心揺さぶれるモノと言うのは……まぁぶっちゃけ僕にも分かってはいないと言うことだ。

だからこそこの古びた宝箱の中に僕の心を揺さぶってくれる何かが必ず入っているのかと想像するだけでニヤニヤが止まらなかった。

「そう言えば…前にも宝箱に入っているタイプもあったな…」

ここでふと前に『欲望の導き』で導かれた先に宝箱を見つけたことがあった。その時に宝箱の中にはいっていたモノは一振りの刀であった。

その刀はこの世界に過去未来に置いて並ぶものなしと言われた刀鍛冶が生涯作り続けたと言われている7本のうちの一振りだった。

「あの時はとても心揺さぶられたな~」

その時の光景を思い出し、さらに僕のニヤニヤ度が増していく。

「よし!開けよう!」

僕はもう我慢することができなくなり古びた宝箱を開けることにした。

本来ならこんな世界の果てから抜けてから宝箱の中を確認したかったがもう我慢することができなかったのだ。
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