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ハルト炎上(賞賛的に)
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会場は、空気が凍りついていた。
花バァの一喝に、大石は黙り込み、誰もが次の言葉を待っていた。
──でも、静寂を破ったのは、彼女じゃなかった。
「……ねえ、ナナちゃん...今、配信したらどうなると思う?」
その声に、ナナちゃんが振り返った。
ハルトがスマホを片手に、ちょっとだけ笑っていた。
「俺今ここで、ぜんぶ話す。自分の言葉で。ちゃんと、自分の責任でさ」
ナナちゃんは目を丸くしたが、すぐに頷いた。
ハルトはスマホを構えると、ライブ配信を開始した。
《会場の中継とは別?》
《え、ライブ始まった》
《フェスのとこじゃね?》
《さっきのナナちゃんが話してた会場?》
「うぃーす。ハルトです。炎上系じゃないけど…今日のは、燃えていいと思ってる」
声が震えていないことに、自分でも少し驚いた。
「さっき、ナナちゃんが話したこと。俺は、ぜんぶ本当だと思ってる。ていうか、実際に見たし、聞いたから」
《ナナちゃんやっぱすご》
《こいつ誰?》
《なんか真面目な空気》
「最初は俺もさ、バズるネタ欲しくて、動画ばっか撮ってた。だけど、その途中で気づいたんだ。“映え”の裏で、ちゃんと汗かいてる人たちがいるって」
ハルトはスマホを切り替え、録音を再生する。
『……黒タグつけときゃ、それっぽく見えるしな』
『“本物”ってのは、バズらなきゃ意味がねぇんだよ』
「これ、大石さんの声です。星光石フェスを使って、偽物で話題作って、町の名前売ろうとしてた。裏でね」
《うわぁ…》
《証拠あるの強すぎ》
《さすがに言い逃れムリじゃね?》
「俺が言いたいのは、誰が悪いかとか、そういうのだけじゃなくてさ」
カメラを自分に向け直す。
「ナナちゃんみたいに、自分の言葉で、自分の信じてることをちゃんと言える人がいるってこと。そういうの見て、俺も変わりたいって思ったんだよ」
《ナナちゃん推せる》
《こいつも推せる》
《え、ふたり付き合ってんの?》
「最初は、キラキラしてるもの撮ればいいと思ってた。でも本当にキラキラしてるのって──心から信じて、向き合ってる人が作るもんだって気づいた。キラキラして見えるかどうかより、“誰がどう作ったか”が大事なんだって」
観客が、彼の言葉にじっと耳を傾けている。
「……炎上してもいい。バカだと思われてもいい。でも今だけは、ちゃんと伝えたいんだ。この町には、本物があるってこと。そしてそれを守ろうとする人たちがいるってことを」
《泣く》
《これ、録画残してほしい》
《彩海市、応援したくなった》
《お前かっこいいじゃん!》
拍手が、どこからともなく湧いた。
それはさっきの強制的な空気とは違い、ごく自然に広がっていった。
誰かがつぶやく。
「……なんか、響いたな」
「高校生の言葉なのに、まっすぐで刺さった」
「SNSでバズるとかどうでもよくなるな、これ」
花バァが、サングラスなしの顔で小さく頷いた。
(……まっすぐな青。ブレずに、ちゃんと伝えきったねぇ)
ハルトがスマホを下ろした瞬間、ナナちゃんがぽつりと呟いた。
「……ねえ、ハルト君、今ちょっとだけ、カッコよかったかも」
「“だけ”って何!俺、けっこうがんばったんだけど!」
「コメント欄に“ハルト推し”ってあるよ?」
「マジ!? どこどこどこ!?」
笑いが、会場に戻ってくる。
でもその中に、確かにあった。
──誰かを信じる強さ。
──ほんとうのものを見抜く目。
──そして、自分の言葉で何かを変える力。
誰もが、ほんの少しだけ背筋を伸ばしていた。
たった一人の高校生が言葉を発しただけで、町全体が少しだけ動いたような、そんな時間だった。
花バァの一喝に、大石は黙り込み、誰もが次の言葉を待っていた。
──でも、静寂を破ったのは、彼女じゃなかった。
「……ねえ、ナナちゃん...今、配信したらどうなると思う?」
その声に、ナナちゃんが振り返った。
ハルトがスマホを片手に、ちょっとだけ笑っていた。
「俺今ここで、ぜんぶ話す。自分の言葉で。ちゃんと、自分の責任でさ」
ナナちゃんは目を丸くしたが、すぐに頷いた。
ハルトはスマホを構えると、ライブ配信を開始した。
《会場の中継とは別?》
《え、ライブ始まった》
《フェスのとこじゃね?》
《さっきのナナちゃんが話してた会場?》
「うぃーす。ハルトです。炎上系じゃないけど…今日のは、燃えていいと思ってる」
声が震えていないことに、自分でも少し驚いた。
「さっき、ナナちゃんが話したこと。俺は、ぜんぶ本当だと思ってる。ていうか、実際に見たし、聞いたから」
《ナナちゃんやっぱすご》
《こいつ誰?》
《なんか真面目な空気》
「最初は俺もさ、バズるネタ欲しくて、動画ばっか撮ってた。だけど、その途中で気づいたんだ。“映え”の裏で、ちゃんと汗かいてる人たちがいるって」
ハルトはスマホを切り替え、録音を再生する。
『……黒タグつけときゃ、それっぽく見えるしな』
『“本物”ってのは、バズらなきゃ意味がねぇんだよ』
「これ、大石さんの声です。星光石フェスを使って、偽物で話題作って、町の名前売ろうとしてた。裏でね」
《うわぁ…》
《証拠あるの強すぎ》
《さすがに言い逃れムリじゃね?》
「俺が言いたいのは、誰が悪いかとか、そういうのだけじゃなくてさ」
カメラを自分に向け直す。
「ナナちゃんみたいに、自分の言葉で、自分の信じてることをちゃんと言える人がいるってこと。そういうの見て、俺も変わりたいって思ったんだよ」
《ナナちゃん推せる》
《こいつも推せる》
《え、ふたり付き合ってんの?》
「最初は、キラキラしてるもの撮ればいいと思ってた。でも本当にキラキラしてるのって──心から信じて、向き合ってる人が作るもんだって気づいた。キラキラして見えるかどうかより、“誰がどう作ったか”が大事なんだって」
観客が、彼の言葉にじっと耳を傾けている。
「……炎上してもいい。バカだと思われてもいい。でも今だけは、ちゃんと伝えたいんだ。この町には、本物があるってこと。そしてそれを守ろうとする人たちがいるってことを」
《泣く》
《これ、録画残してほしい》
《彩海市、応援したくなった》
《お前かっこいいじゃん!》
拍手が、どこからともなく湧いた。
それはさっきの強制的な空気とは違い、ごく自然に広がっていった。
誰かがつぶやく。
「……なんか、響いたな」
「高校生の言葉なのに、まっすぐで刺さった」
「SNSでバズるとかどうでもよくなるな、これ」
花バァが、サングラスなしの顔で小さく頷いた。
(……まっすぐな青。ブレずに、ちゃんと伝えきったねぇ)
ハルトがスマホを下ろした瞬間、ナナちゃんがぽつりと呟いた。
「……ねえ、ハルト君、今ちょっとだけ、カッコよかったかも」
「“だけ”って何!俺、けっこうがんばったんだけど!」
「コメント欄に“ハルト推し”ってあるよ?」
「マジ!? どこどこどこ!?」
笑いが、会場に戻ってくる。
でもその中に、確かにあった。
──誰かを信じる強さ。
──ほんとうのものを見抜く目。
──そして、自分の言葉で何かを変える力。
誰もが、ほんの少しだけ背筋を伸ばしていた。
たった一人の高校生が言葉を発しただけで、町全体が少しだけ動いたような、そんな時間だった。
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