死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】

三宅スズ

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30.再会は突然に!?

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榎本とサシで飲んで、あれから2週間。

そう、榎本に言われて俺はようやく自分の本心に気が付いた。

それならもちろん、もう瀧本に気持ちは伝え…….‥



てないのだ。ぜんぜん、まったく伝えてないのだ。それどころか、2週間経ったのに俺は、なんと、まだ、瀧本に連絡をしていない。我ながら何やってんだって話。

ちなみに瀧本からも連絡は来てない。なんだか、どんどん距離が開いてしまっているような気分だ。ただでさえ、瀧本は関西にいるのに。

瀧本とのトーク画面を開いて何て送ろう、何を話そう、と考えては、やっぱり明日送ればいいかとなり、それの繰り返しで2週間も過ぎてしまった。アホかと。少女漫画に出てくる、一学年上のカッコいい先輩に恋する女子中学生でも、2週間も躊躇することないだろう。
25歳にもなって何やってんだ俺は……

あと、いろいろと自分自身でわかったことがある。俺って……結構乙女思考が強いかもしれない……!?
実は、キュンキュンさせるよりもキュンキュンさせられたい側なのかもしれない……と、瀧本と二人で出かけた時のことを思い返してみて、その傾向があるなぁ……って、そんな気がする。

そして、気付けば今週はもうクリスマスだ。

仕事して、瀧本に連絡するのを躊躇っては繰り返していたらもうクリスマスがすぐそこまで来てしまった。人肌恋しいのは事実である。だったらやっぱり、秋保ちゃんとクリスマスディナーしちゃおうかな……
いかんいかん、いい加減な気持ちなのはダメだって自分自身にも言い聞かせたじゃないか。

ごちゃごちゃといろいろ考えながら、いつものように出勤すると、それは突然のお知らせだった。

「涼介さん涼介さん!!速報速報!!(^o^)/」

「おぅ!おはよう榎本!!どうした、そんなに急いで!?」

「今日、瀧本さんがこっちに帰ってきますよ!!」

「んんん!?!? ま、マジでか!?!?」

「はい!! なんでも、取引先の都合で大型の案件の商談はこっちの方でやるんですって! 商談終わったら顔出すらしいです!さっき会社に連絡あったらしいです!q(^-^q)」

そうなのか、ぜんぜん知らなかった、ってそりゃそうか、連絡してないんだもん。

「マジか……じゃあ、久々に瀧本と会えるのか……あぁ、でもなぁ、なんだ、あぁなんかなぁ……」

「涼介さんがソワソワしてる(*´ー`*)涼介さん、恋する女子みたいで可愛い(ノ≧▽≦)ノ」

「そ、そそ、そんなことないぞ!!?」

「そんなことありますよ!(o^O^o)」

普段は俺がかわいいって言ってるのに、今日は榎本にかわいいと言われてしまった。そんなに動揺していたのか俺よ……!!

「17時半頃には会社に顔出すらしいですよ!! 涼介さん、頑張ってくださいね♪♪」

「な、何を言ってるんだ榎本!! なんだ頑張るって!! 別に、今日はたまたま一時的に瀧本が戻ってくるだけなんだし、そんなあれよ、なんかするとかないからね!?」

「(*´ー`*)」


「いや、なんでホッコリ顔なわけ!?!?」

「(*´ー`*)」

「んん!??」

なにわともあれだ、瀧本が今日来るらしい。そうと分かれば、サクッと商談片付けて、17時半には会社に戻ってくるようにするか。

っていうか、あれだよな、今日はそっちに行くよーくらい、俺には連絡くれたっていいじゃんかよな……なんだか少し寂しい気もするが……まぁ、一時的に来るだけだし、いちいち連絡はしないか。

ということで、本日も複数の商談へ。

さすがに件数が多すぎたか、最後の商談を終えて、気付いたら17時を回っていた。

あぁ、このぶんじゃ会社に戻れるの18時頃だな。
瀧本が来るのは17時半だもんな。さすがに30分以上は滞在してくれるよな!? まさか俺が戻るまでにいなくなるってことだけは勘弁してくれ。

俺は、できる限り急いで会社へ戻ることに。

瀧本への第一声はまずなんて言おうかな…… 【ういっす!元気してましたか!!】うーん、それよりも【会いたかったっすよ!!】なのか、なんか違うか。じゃあ、【ずっとずっと、あなたのことが……】いやいやいや、これ、いきなり言うことじゃねーや。

頭の中でいくつもの第一声シミュレーションを重ねながら会社へ戻ると……

いた。

瀧本の姿があった。

瀧本が関西に行ってから、1ヶ月ちょっとしか経ってないが、凄く久々に見た気がする。

思わず鼓動が高まっているのが、自分でも分かった。

ただ、後輩達から囲まれてしまっていて、まだ俺の方から話しかけにいける感じではない。
まぁ、後輩達も瀧本から聞きたい話はたくさんあるだろうし、俺がでしゃばるのもよくないな。ということで、あえて瀧本の目線に入らないように動いて、そっと自分のデスクに座り事務作業を始める。

しばらくパソコンに集中して作業をしていると……

「お疲れ様。」

「うぉ!? びっくりした……」

後ろから瀧本が俺の肩に手を乗せてきた。

「皆川、いないのかと思ったよ。で、デスクの方見たらいたから。」

「あぁ、すみません、後輩達に囲まれてたからなんか、俺が声かけるタイミングがなくて……あはは……」

なんでぎこちなくなってしまうのか!?
早くいつもの皆川涼介モードに入らないと。

「仕事の方はどう?調子良い?」

「はい、契約件数も以前より格段に増えたし、中型、大型の案件も結構任されるようになりましたっ!瀧本さんのご指導のおかげですよ。」

「さすがだね。やっぱり皆川は優秀な部下だった。」

「いえいえ、まだまだ甘い部分はありますよ。瀧本さんは向こうでどうですか?」

「うん、関西支社は順調だよ。新規の契約も取れてきてる。まぁ、本当に0からのスタートだからちょっと大変だけど、面白いかな。」

「やっぱり瀧本さんだなぁ……仕事は完璧にこなしちゃうんだから、すごいなぁ……」

と、たわいもない会話をしていると、後輩達から瀧本が呼ばれる。

「あっ、さっき後輩達から今夜飲みに誘われてて……」

「なるほど! じゃあ早く行ってあげなきゃですよ! ん? 今夜ってことは明日までいるんですか?」

「うん、明日は休暇にしてもらえたから、帰るのは明後日かな。一旦、こっちのマンションにも帰っておきたいしね。」

「なるほどっすね!」

なんだ、明日はクリスマスイブになるわけだけど、瀧本は予定、ないのか……? 元カノとなんかあったりするんじゃないのか……?それ、聞いてみるか……?

「あ、瀧本さん、あの……」

「あのさ、皆川」

同時に喋りだしてしまった。

「ごめんごめん、皆川から話していいよ。」

「あっ、すみません、えっと、いや、あの、明日って特に誰かと会う予定とかいっていうのは……ない感じですか……?」

「誰かと会う予定? 特にないよ。」

「イブなのに!?元カノはよ!?」

誰かと会う予定はないと言われて、思わずカウンターの如きスピード感で返してしまった。

「元カノ? あぁ、前に電話した時に俺の方からその話題出したんだったね(笑) えっとね、そういうのじゃなくて、お祝いをしたくて会ったんだ。子供が生まれたらしくてね。」

「……子供? えっじゃ、そもそも既婚者?」

「そうだよ。元々付き合っていたのは本当なんだけど、それはもう何年も前の話で、別れてからも、友達としては交流はあったんだけど、その人は数年前に結婚して、今年に子供が生まれたから、だから、純粋にお祝いを渡すために会ったんだよね。渡したお祝いの品のセンスが、客観的に見て大丈夫か不安……っていう話を皆川にしたかったんだ。」

「「なんだ、そういうことだったんですね…… えっ、じゃあキーホルダーは……あれ?ん?」」

よく見たら、瀧本の仕事用の鞄に、俺とお揃いで買ったキャラクターのキーホルダーが付いていた。

「あっ、このキーホルダーはその…やっぱり仕事こそ本気で挑みたいから、皆川とお揃いで買ったこれを仕事用の鞄に付けてると、やる気が出ると言うか、お守り、的な……?」

なるほど、仕事用の鞄に付けてたのか。ビジネスの商談の場面において、可愛いキャラクターのキーホルダーを付けた鞄を使ってるのか瀧本は。普通は付けないんだけどな。ビジネスシーンにそういうのはダメだよ。

だけども……

「瀧本さん、なんと、俺も仕事用の鞄にこれ、付けてます!!!」

「えっ、なんか示し合わせたわけでもないのに、皆川も仕事用の鞄に付けてるんだ。なんか、嬉しいかも。」

「俺もっす!!!」

俺も仕事用の鞄に付けてました。
というか、キーホルダーをお守り的なものにしてるという、瀧本と同じような思考をしていたことに、ちょっと喜びを感じる。

「「ねぇ瀧本さん、明日、仕事終わったら、どこかに飯食いがてら、遊びに行きましょう!!瀧本さんに拒否権はねぇっす!!確定で!!」」

「拒否権はないんだ…(笑) もちろん、ぜんぜん良いんだけど、でもほら、明日って世間的に言うクリスマスイブだし、その、皆川的にそれはいいのかなって……」

「いいですよ!!じゃあ、はい、決定!! どこで何をするかは瀧本さんが考えといてください!! ワガママで申し訳ないんですけど、任せました!! 以上っ!! また明日連絡します!!仕事は必ず定時で終わらせますんで、17時以降からでお願いします!! ではまた明日っ!!」

「あっ、う、うん、分かったよ。何をするか、一晩考えてみる。」

有無を言わさずに、勝手に決めてしまった。しかも、上司である瀧本に、プランも丸投げしてしまった。でもこれでいい。いや、っていうかそれがいい。俺は、瀧本が俺のために何かを考えてくれたという事実が欲しい。まぁ、明らかにワガママだけど……

明日が一気に楽しみになってきたな。今は明日の楽しみだけを考えていたい。幸せな気分なのか……? まぁ、よく分からんが、瀧本と一緒にいられれば、それだけでいいや。

そして、イブのデートに誘ったみたいな感じが自分の中で恥ずかしくなり、俺は逃げるようにして、瀧本の前を去ったのだった。

かくして、ついに瀧本とのクリスマスイブデート!?が決まったのであった。
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