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15・お別れの日
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私は王宮に来る最後の日を迎えていた。
「それじゃ、今日も指導で留守にするから、終わったら迎えに来るからな?」
そう言って、カイが仕事部屋を出ていった。
「はい、師匠行ってらっしゃい。」
私は、今日もいつも通りに薬品作りなどを始めた。
勉強したり、治療したり、時には、やって来る騎士団の皆さんとお話したり…。
最初は、この世界の男性は、大きくて男らしすぎて、元の世界にいた時の私では、目も合わせられないようなタイプの人種に思えた。でも、カイが常にそばにいてくれて、徐々に性格や人柄がわかっていくにつれて、うちとけられて、昔の自分が嘘のように自然と男の人と話せるようになった。
…とても大事な時間を過ごす事ができたな…と、薬品作りをしながら、私は懐かしく振り返っていた。
・・・
穏やかな一日で、怪我人が来る事もなく、今日の勤務もこのまま終わってしまうのかな…と片付け始めた頃、騎士団の皆さんがやって来た。
「「レナさん、お疲れ様でした!」」
「皆さん…!ありがとうございます。約1年間、お世話になりました。とても楽しく、そして勉強になって、貴重な時間を過ごす事ができました。感謝の気持ちでいっぱいです…。」
「こちらこそ、レナさんにはとても感謝しています。団員全員の気持ちなのでどうぞ受け取って下さい。」
そう言って包装された包みを差し出された。
「これ…僕に…?!」
「はい、我々からの餞別です。受け取って下さい。」
「皆さん…!本当にありがとうございます…。こんな風に来て貰えるだけでも嬉しいのに贈り物まで…!なんて言っていいか…。感激です…。」
「開けてみて下さいよ?きっと似合うと思いますから。」
「はいっ!では有り難くいただきますね!」
ラッピングを開けてみると、洋服らしき布地が見えた。拡げてみると・・・
「へ?…ワンピース?」
どう見ても女の子のワンピース…。
「レナさんによくお似合いだと思いますよ。治療院、頑張ってくださいね!」
「はい、頑張ります。頑張りますけど、…これはやはり女の子のワンピースですよね…?」
「はい、だって女の子じゃないですか!男の子の振りをしているみたいだったので特につっこまなかったですけど。」
「・・・。…えーと…、いつ頃から…?いつ頃からお気づきで…?」
「そうですねー、わりと初期?王宮に来て1ヶ月頃とか?ね?団長?」「そうだな、いくら子どもと言っても、男の子にしては華奢過ぎたしな。」
…ガクッ。最初からじゃん…。女の子(子どもではないけど)だとバレていながら"僕"とか言ってて、ちょっと恥ずかしいんですけど…。
「なんか、気を使ってもらっていたみたいでどうもすみませんでした!王宮に来る事はなくなりますが、皆さんの事は忘れません。機会があれば、治療院にも遊びに来てください!」
「「「勿論!お元気で。」」」
「皆さんもお元気で!どうもありがとうございました。」
別れの挨拶が済んだのを見計らってか、カイが戻って来た。
「お疲れ様、ちょうど挨拶も済んだようだな。」
「師匠~。皆さんから贈り物まで貰っちゃいました。」
「お、女の子用のワンピースか。レナには子どもサイズがピッタリだよな。良かったな。」
「し、師匠…」
「子どもサイズがピッタリって、レナさん、子どもじゃあないのか…?」
「ん?レナが大人の女だってわかったんじゃなかったのか。」
「し、師匠…」
「「ええー?!女の子でもなく大人の女性だったんすか?」」
「レナは大人で俺の妻だから、よろしくな。世話になったな。」
「「「えー!!」」」
・・・
…いずれわかる事なので話すのは問題ないのだけど。感動のお別れのあのタイミングであっさりバレて、なんだか間抜けだったな…、といじいじしてしまう私なのでした。
「それじゃ、今日も指導で留守にするから、終わったら迎えに来るからな?」
そう言って、カイが仕事部屋を出ていった。
「はい、師匠行ってらっしゃい。」
私は、今日もいつも通りに薬品作りなどを始めた。
勉強したり、治療したり、時には、やって来る騎士団の皆さんとお話したり…。
最初は、この世界の男性は、大きくて男らしすぎて、元の世界にいた時の私では、目も合わせられないようなタイプの人種に思えた。でも、カイが常にそばにいてくれて、徐々に性格や人柄がわかっていくにつれて、うちとけられて、昔の自分が嘘のように自然と男の人と話せるようになった。
…とても大事な時間を過ごす事ができたな…と、薬品作りをしながら、私は懐かしく振り返っていた。
・・・
穏やかな一日で、怪我人が来る事もなく、今日の勤務もこのまま終わってしまうのかな…と片付け始めた頃、騎士団の皆さんがやって来た。
「「レナさん、お疲れ様でした!」」
「皆さん…!ありがとうございます。約1年間、お世話になりました。とても楽しく、そして勉強になって、貴重な時間を過ごす事ができました。感謝の気持ちでいっぱいです…。」
「こちらこそ、レナさんにはとても感謝しています。団員全員の気持ちなのでどうぞ受け取って下さい。」
そう言って包装された包みを差し出された。
「これ…僕に…?!」
「はい、我々からの餞別です。受け取って下さい。」
「皆さん…!本当にありがとうございます…。こんな風に来て貰えるだけでも嬉しいのに贈り物まで…!なんて言っていいか…。感激です…。」
「開けてみて下さいよ?きっと似合うと思いますから。」
「はいっ!では有り難くいただきますね!」
ラッピングを開けてみると、洋服らしき布地が見えた。拡げてみると・・・
「へ?…ワンピース?」
どう見ても女の子のワンピース…。
「レナさんによくお似合いだと思いますよ。治療院、頑張ってくださいね!」
「はい、頑張ります。頑張りますけど、…これはやはり女の子のワンピースですよね…?」
「はい、だって女の子じゃないですか!男の子の振りをしているみたいだったので特につっこまなかったですけど。」
「・・・。…えーと…、いつ頃から…?いつ頃からお気づきで…?」
「そうですねー、わりと初期?王宮に来て1ヶ月頃とか?ね?団長?」「そうだな、いくら子どもと言っても、男の子にしては華奢過ぎたしな。」
…ガクッ。最初からじゃん…。女の子(子どもではないけど)だとバレていながら"僕"とか言ってて、ちょっと恥ずかしいんですけど…。
「なんか、気を使ってもらっていたみたいでどうもすみませんでした!王宮に来る事はなくなりますが、皆さんの事は忘れません。機会があれば、治療院にも遊びに来てください!」
「「「勿論!お元気で。」」」
「皆さんもお元気で!どうもありがとうございました。」
別れの挨拶が済んだのを見計らってか、カイが戻って来た。
「お疲れ様、ちょうど挨拶も済んだようだな。」
「師匠~。皆さんから贈り物まで貰っちゃいました。」
「お、女の子用のワンピースか。レナには子どもサイズがピッタリだよな。良かったな。」
「し、師匠…」
「子どもサイズがピッタリって、レナさん、子どもじゃあないのか…?」
「ん?レナが大人の女だってわかったんじゃなかったのか。」
「し、師匠…」
「「ええー?!女の子でもなく大人の女性だったんすか?」」
「レナは大人で俺の妻だから、よろしくな。世話になったな。」
「「「えー!!」」」
・・・
…いずれわかる事なので話すのは問題ないのだけど。感動のお別れのあのタイミングであっさりバレて、なんだか間抜けだったな…、といじいじしてしまう私なのでした。
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