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第一章 アーウェン幼少期
義兄妹は行進に目を奪われる ②
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パシュッ!と勢いよく果汁が弾け、アーウェンは生まれて初めて皮ごと口にしたブドウの大半を食すことなく、道にぶちまけてしまった。
「あーあ、あーあ」
さすがに今度は怒られるだろうと恐怖に固まるアーウェンを気遣うことなく、女店主が呆れたように笑って濡れた布巾を持ってくると、やや乱暴に汚れた口周りと胸のあたりを拭ってくれる。
「ハハハ!このブドウは大きいからねぇ。お嬢ちゃんのように口にまるごと放り込むのもいいけど、ほら、こうやって皮を剥いて食べたらいいんだよ!」
そう言うと商品から新たにひと粒むしり、綺麗に皮を剥いたそのブドウをアーウェンの口に押し込めた。
「中に固くて小さい種があるからね!飲み込まないように……そうそう、種はここにベッてして。ああ、あんたは妹さんより食べるのが下手だねぇ!ほら、ちゃんとお嬢ちゃんの真似してごらん?あんたたち……お貴族様ってのはお家のためってのもあるかもしれないけど、あんまり坊ちゃんに厳しくするんじゃないよ?もっとしっかり食べさせないと、大きくなるもんもならないじゃないか!」
小さい子供の面倒を看るのに慣れているのか、女店主は言葉遣いこそ乱暴だが優しくアーウェンにブドウを食べさせながらエレノアの方に意識を向けさせると、ラウドたちに噛みついた。
「う…うむ……では、明日はぜひこの子にとっていいと思う物を中心に見繕ってもらえるだろうか?特にこの子の食事について専属で当たらせている者がいるので、それを寄こす」
「何だい?そんな人をちゃんとつけてるのかい……あの子、病気か何かでちゃんと食べていないのかい?」
「あ、ああ。そんなものだ。ようやく動けるようになったのでね。私たちの領地の方が療養できるだろうと連れて行く途中だ」
敵意を剥き出しに食ってかかろうとしていた女店主が何か納得したように頷くと、ラウドも話を合わせてようやく安堵した。
まさかターランド伯爵夫妻が虐待した子供を連れまわしていると噂されても困るし、そこからアーウェンが養子になった経緯が拡がるのも避けたい。
王都の端とはいえ、まったくそちら方面に人がいかないことはなく、逆に地方との要ということで高位貴族が住みつくということはなくとも訪れることもあるのだ。
ましてや今はアーウェンの出自を調べようと市長が王都へ使いを出しているのもあり、結果を知った市長が鳴り物入りでターランド伯爵一家を改めて出迎えようとして来る前に発ってしまいたい。
思惑はいろいろあれど、女店主がホースを引っ張り出してアーウェンが汚してしまった辺りを中心に水で綺麗に流してしまい、この話はようやくお終いとなった。
「さ、このゴミ入れを持っておいで。剥いた皮や種と、房の枝も入れるといいよ。お父様にもっとおやつを買ってもらったら、食べたゴミもこれに入れて、ね。ああ、いい子だね!」
「のあも!ちょーらい!れす!!」
小さな指で自ら皮を剥いたブドウ粒を片手に、もう片方にその皮を持ったエレノアがグイッと女店主の前に腕を出して、自分にもゴミ袋が欲しいとねだる。
「アッハッハッ!お嬢ちゃんの方が、おねだりが上手だねぇ!いいともさ!ゴミはちゃんとゴミ入れに!いい教育しなさってるねぇ、お貴族様のご両親様!」
嫌味ではなく、最大限の親しみを込めた声で女店主は笑って、エレノアにも小さな紙のごみ袋をひとつ分けてくれた。
「あーあ、あーあ」
さすがに今度は怒られるだろうと恐怖に固まるアーウェンを気遣うことなく、女店主が呆れたように笑って濡れた布巾を持ってくると、やや乱暴に汚れた口周りと胸のあたりを拭ってくれる。
「ハハハ!このブドウは大きいからねぇ。お嬢ちゃんのように口にまるごと放り込むのもいいけど、ほら、こうやって皮を剥いて食べたらいいんだよ!」
そう言うと商品から新たにひと粒むしり、綺麗に皮を剥いたそのブドウをアーウェンの口に押し込めた。
「中に固くて小さい種があるからね!飲み込まないように……そうそう、種はここにベッてして。ああ、あんたは妹さんより食べるのが下手だねぇ!ほら、ちゃんとお嬢ちゃんの真似してごらん?あんたたち……お貴族様ってのはお家のためってのもあるかもしれないけど、あんまり坊ちゃんに厳しくするんじゃないよ?もっとしっかり食べさせないと、大きくなるもんもならないじゃないか!」
小さい子供の面倒を看るのに慣れているのか、女店主は言葉遣いこそ乱暴だが優しくアーウェンにブドウを食べさせながらエレノアの方に意識を向けさせると、ラウドたちに噛みついた。
「う…うむ……では、明日はぜひこの子にとっていいと思う物を中心に見繕ってもらえるだろうか?特にこの子の食事について専属で当たらせている者がいるので、それを寄こす」
「何だい?そんな人をちゃんとつけてるのかい……あの子、病気か何かでちゃんと食べていないのかい?」
「あ、ああ。そんなものだ。ようやく動けるようになったのでね。私たちの領地の方が療養できるだろうと連れて行く途中だ」
敵意を剥き出しに食ってかかろうとしていた女店主が何か納得したように頷くと、ラウドも話を合わせてようやく安堵した。
まさかターランド伯爵夫妻が虐待した子供を連れまわしていると噂されても困るし、そこからアーウェンが養子になった経緯が拡がるのも避けたい。
王都の端とはいえ、まったくそちら方面に人がいかないことはなく、逆に地方との要ということで高位貴族が住みつくということはなくとも訪れることもあるのだ。
ましてや今はアーウェンの出自を調べようと市長が王都へ使いを出しているのもあり、結果を知った市長が鳴り物入りでターランド伯爵一家を改めて出迎えようとして来る前に発ってしまいたい。
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「さ、このゴミ入れを持っておいで。剥いた皮や種と、房の枝も入れるといいよ。お父様にもっとおやつを買ってもらったら、食べたゴミもこれに入れて、ね。ああ、いい子だね!」
「のあも!ちょーらい!れす!!」
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「アッハッハッ!お嬢ちゃんの方が、おねだりが上手だねぇ!いいともさ!ゴミはちゃんとゴミ入れに!いい教育しなさってるねぇ、お貴族様のご両親様!」
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