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第一章 アーウェン幼少期
伯爵は知己と再会する ③
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ラウドは目の前でほとほとと涙を流し、アーウェンを抱き締めて孫を可愛がる手つきでその頭を、細い身体を撫でて愛で、そしてまた愚息の愚痴を零し続ける知己を、いささかうんざりする思いで眺める。
「うっ…うっ…うっ……くそぅ……カヤジャは王都に行ったままで、ウラルは臨月までは動きたいと今もきっと可愛いスフィーナを連れて『子ども連れお茶会』とかいうので楽しくやっているというのに……コウジャは女よりも仕事の方が楽しいとまだ誰にも心を預けず、一番阿呆なクージャが息子だけでももうけてくれればと思っていたのに、一番やらかしおって……くっ……可愛い坊や、この爺の頭をなでなでして慰めておくれ……グスッ……」
「タークジャ小父殿……いいかげん、その子を放してくださいよ……」
「嫌じゃ!この町にいる間は、私が祖父代わりに可愛がるのじゃ!お前には可愛いエレノア嬢がおろう!リグレも……おや?あの小生意気な坊主はどうした?」
「アレは今王都の貴族学院所属ですよ。あと二年で中等部に上がります」
「おお、もうそんなになるか……では、今度の休暇には我が家との見合いの都合をつけてくれ!」
「どうしてそんな話になるんですか?!この町のおかしさ具合をどうにかしてくれという話だったのでは?!」
「おぉ!そう……そうだった。そんなわけで、可愛いラウドや、この小父さんの代わりにとっとと役所に行って余所者を叩き出して、クージャの根性も叩き直してくれ。その間お前さんも暇じゃろうから、義父上の代わりにこの爺が遊んでやるからな~?馬に乗るか?玉蹴りが良いか?こんなに細くては、エレノアと駆けっこしても負けてしまうぞ?まずは爺と鬼ごっこでもするかのぅ?」
「……そんな元気な祖父がいてたまりますか。良いですよ。うちの執事も思うところがあったようですし、ある程度は力をお貸しします。しかし……」
「クージャは生涯我が領地から出さん。嫁もいらんじゃろう。どこぞで種を捲いているかわからんような愚か者なぞ埋めて畑の肥やしにしてやってもよいが、毒芽が生えかねんから止めておくが」
なかなかに不穏なことを話すが、言い回しを理解できないアーウェンは、老人というにはまだ逞しいその男性の膝の上でキョトンとしている。
なぜ自分が義父に呼ばれたのかと思ったが、『養子とした…』と義父が言った次の瞬間には抱き上げられ、今まで会ったどの大人よりも素早く熱烈に抱き締められて頭を撫でられ、そのうちに泣き出されてしまったのだ。
脳みそが状況を理解することすら放棄し、ただ頭や身体を優しく撫でられるに任せるしかないのである。
「うっ…うっ…うっ……くそぅ……カヤジャは王都に行ったままで、ウラルは臨月までは動きたいと今もきっと可愛いスフィーナを連れて『子ども連れお茶会』とかいうので楽しくやっているというのに……コウジャは女よりも仕事の方が楽しいとまだ誰にも心を預けず、一番阿呆なクージャが息子だけでももうけてくれればと思っていたのに、一番やらかしおって……くっ……可愛い坊や、この爺の頭をなでなでして慰めておくれ……グスッ……」
「タークジャ小父殿……いいかげん、その子を放してくださいよ……」
「嫌じゃ!この町にいる間は、私が祖父代わりに可愛がるのじゃ!お前には可愛いエレノア嬢がおろう!リグレも……おや?あの小生意気な坊主はどうした?」
「アレは今王都の貴族学院所属ですよ。あと二年で中等部に上がります」
「おお、もうそんなになるか……では、今度の休暇には我が家との見合いの都合をつけてくれ!」
「どうしてそんな話になるんですか?!この町のおかしさ具合をどうにかしてくれという話だったのでは?!」
「おぉ!そう……そうだった。そんなわけで、可愛いラウドや、この小父さんの代わりにとっとと役所に行って余所者を叩き出して、クージャの根性も叩き直してくれ。その間お前さんも暇じゃろうから、義父上の代わりにこの爺が遊んでやるからな~?馬に乗るか?玉蹴りが良いか?こんなに細くては、エレノアと駆けっこしても負けてしまうぞ?まずは爺と鬼ごっこでもするかのぅ?」
「……そんな元気な祖父がいてたまりますか。良いですよ。うちの執事も思うところがあったようですし、ある程度は力をお貸しします。しかし……」
「クージャは生涯我が領地から出さん。嫁もいらんじゃろう。どこぞで種を捲いているかわからんような愚か者なぞ埋めて畑の肥やしにしてやってもよいが、毒芽が生えかねんから止めておくが」
なかなかに不穏なことを話すが、言い回しを理解できないアーウェンは、老人というにはまだ逞しいその男性の膝の上でキョトンとしている。
なぜ自分が義父に呼ばれたのかと思ったが、『養子とした…』と義父が言った次の瞬間には抱き上げられ、今まで会ったどの大人よりも素早く熱烈に抱き締められて頭を撫でられ、そのうちに泣き出されてしまったのだ。
脳みそが状況を理解することすら放棄し、ただ頭や身体を優しく撫でられるに任せるしかないのである。
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