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第二章 アーウェン少年期 領地編
伯爵は少年に成長を求める ②
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ラウドが義息子の訓練を見に来ることはあまりない。
伯爵家当主としての仕事が立て込んでいるということもあるが、子供ひとりのことだけにかかずらっているというのも、味方しかいないはずの伯爵家の中とはいえ外聞が悪い。
実のところ領地に戻ってくるまでの間、散々に甘やかしている姿を見せているのだから今さらと思わないでもないが、長男のリグレならともかく、ターランド一族の珠玉の玉とも言えるエレノアとの接触の差がとか何とか──悪い方向への噂話をしたがる者は一定数いるのだ。
しかしそんなことをいっている場合ではない──今がその時だった。
筆頭のターランド領兵大隊長が四名先頭に並び、直属の部下たちが整列する。
それは圧巻で、王都を守る王家直属の近衛兵、軍兵とも劣らない数だった。
これに王都邸で訓練しつつ諜報や王都警備に当たる伯爵家の兵を合わせれば、おそらく国力の五分の一ほどもなろうが、こんな大部隊を持つのを許されているのは武力的にはそんなに重要な地位にあるというわけでもないからである。
確かに体力・筋力馬鹿と言えるような者もいないわけではないが、大半以上が魔術を操り援護や支援、後方的な活動を担っているから、ある程度目こぼしされているのだ。
そんなターランド一族を『頭でっかちで実力を伴わない』と侮る輩も多く、そんな現状を歯痒く思っていたのも事実である。
そんな時に掛けられた親友からの一言──「お前のところにもうひとり息子でもいれば、俺の領地で鍛えてやるのに」が、アーウェンを引き取ったきっかけだ。
分家の中ではやはり魔力が潤沢で魔術に精通している者は多かったものの、直接の武力という点では皆消極的で、ラウドから見ても辺境で生き抜くというのに先頭に立てるようには見えなかった。
そこで遠い血筋で見込みのある者はいないかと、『消えた血統』まで調査して見つけたのが代々騎士爵というキャステ家の令嬢を妻に迎えたサウラス家の子供たちが目に留まったのである。
すでに婚姻していた長男を引き取るつもりはなく、次男三男、そして四男と調べていたが、教会に届けられていただけの末子『五男のアーウェン』が妙に気にかかった。
調べても調べても、妊娠後から出産まで一度も教会に安産の祈祷などに訪れた記録もなく、王都にいる貴族が頼りにする産院にも出産の手伝いが依頼されず、洗礼も誕生の祝いもなく、姿を見たという声も出てこない。
同じように『姿を見たことがない』というのがすぐ上の四男であったが、そちらはサウラス男爵があり得ないほど溺愛して欲しいものを何でも買い与えており、身体が弱くて自室から出てこないというのに素晴らしい天才であるという矛盾した噂が拾えた。
もっともそれを事実だと言ったのがサウラス男爵とその息子たちということからしてラウドは胡散臭く感じたし、求めていたのは武の才能がある子どもだったため、領村に連れて行かれた二歳から三歳ぐらいのアーウェンが剣に興味を示し、そのため弄ばれて瀕死の結果となった兵たちに近付いたという話に辿り着いたのだから、そこだけはラウドにとっては正しい直感だった。
伯爵家当主としての仕事が立て込んでいるということもあるが、子供ひとりのことだけにかかずらっているというのも、味方しかいないはずの伯爵家の中とはいえ外聞が悪い。
実のところ領地に戻ってくるまでの間、散々に甘やかしている姿を見せているのだから今さらと思わないでもないが、長男のリグレならともかく、ターランド一族の珠玉の玉とも言えるエレノアとの接触の差がとか何とか──悪い方向への噂話をしたがる者は一定数いるのだ。
しかしそんなことをいっている場合ではない──今がその時だった。
筆頭のターランド領兵大隊長が四名先頭に並び、直属の部下たちが整列する。
それは圧巻で、王都を守る王家直属の近衛兵、軍兵とも劣らない数だった。
これに王都邸で訓練しつつ諜報や王都警備に当たる伯爵家の兵を合わせれば、おそらく国力の五分の一ほどもなろうが、こんな大部隊を持つのを許されているのは武力的にはそんなに重要な地位にあるというわけでもないからである。
確かに体力・筋力馬鹿と言えるような者もいないわけではないが、大半以上が魔術を操り援護や支援、後方的な活動を担っているから、ある程度目こぼしされているのだ。
そんなターランド一族を『頭でっかちで実力を伴わない』と侮る輩も多く、そんな現状を歯痒く思っていたのも事実である。
そんな時に掛けられた親友からの一言──「お前のところにもうひとり息子でもいれば、俺の領地で鍛えてやるのに」が、アーウェンを引き取ったきっかけだ。
分家の中ではやはり魔力が潤沢で魔術に精通している者は多かったものの、直接の武力という点では皆消極的で、ラウドから見ても辺境で生き抜くというのに先頭に立てるようには見えなかった。
そこで遠い血筋で見込みのある者はいないかと、『消えた血統』まで調査して見つけたのが代々騎士爵というキャステ家の令嬢を妻に迎えたサウラス家の子供たちが目に留まったのである。
すでに婚姻していた長男を引き取るつもりはなく、次男三男、そして四男と調べていたが、教会に届けられていただけの末子『五男のアーウェン』が妙に気にかかった。
調べても調べても、妊娠後から出産まで一度も教会に安産の祈祷などに訪れた記録もなく、王都にいる貴族が頼りにする産院にも出産の手伝いが依頼されず、洗礼も誕生の祝いもなく、姿を見たという声も出てこない。
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もっともそれを事実だと言ったのがサウラス男爵とその息子たちということからしてラウドは胡散臭く感じたし、求めていたのは武の才能がある子どもだったため、領村に連れて行かれた二歳から三歳ぐらいのアーウェンが剣に興味を示し、そのため弄ばれて瀕死の結果となった兵たちに近付いたという話に辿り着いたのだから、そこだけはラウドにとっては正しい直感だった。
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