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搾取される者。
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道中何事もなく、バルトロメイは気ままに馬車を進める。
相変わらず立ち寄る村ごと、集落ごとに人助けをしながら──そして、レベルはさっぱり上がっていない。
むしろ冒険者として肝心な『レベルアップ』や『ランクアップ』に対して欲がなさすぎて、冒険者ギルドで声を掛けられて臨時でパーティー参加はするものの、手柄はすべて取り上げられてしまうのにも気がつかない。
バルトロメイにとって第一に肝心なのは、自分の荷馬車とエンとヤシャが一緒に寝られる場所があるかどうかであり、金は二の次、冒険者として価値が上がるとかなどはどうでもよかった。
それよりも師匠たちがいたのがどこなのか、そこを探す方が重要だったが、その手掛かりはさっぱり見つからない。
自分が神語を話せる、神官服の男たちを見かける、比較的大きな神殿や教会を見た──それらを総合すれば簡単に判明しそうなものだが、バルトロメイはつい冒険者ギルドで低ランク者向け、そしてソロ活動者向けの依頼を連続で請け負ったり、便利な助っ人としてダンジョン攻略などについていき、つい街の探索をすることなど端から頭になかった。
「……ッチ。また低査定かよ………」
自称『新人研修係』と名乗るDランクパーティーのリーダーであるティアンという男は、周囲に聞こえないように頭を低くしつつ舌打ちした。
「確かにあいつ連れて行くとややドロップ率が高くなるような気がするけど、それだけじゃない。もういい加減連れて行くの止めたらぁ?」
「いや、しっかしなぁ………」
魔法使いのミヤが呆れたように肩を竦めるが、ティアンは諦め悪そうにカウンターを窺う。
そこには最初に冒険者ギルドで見かけた時と同じように、まるで人畜無害さがヒトの形を取ったような『バルトロメイ・ルー』という少年がギルド職員に「もう少し真面目にレベルアップできる仕事を受けるべきだと説教されていた。
この町に訪れたのは2週間前であるが、どのランクでも受けられる薬草集めや人助け系の仕事ばかり受けているバルトロメイが稼ぐ経験値は微々たるものばかりである。
それはどんなに積み重なっても『クエスト成功』の文字が増えるばかりで、バルトロメイの実績だけでなく、この町のギルドとしても本部にはっきりと示せる成果とはならないのだ。
ここでひとりでも高ランクにアップさせ、更に所属する契約を結べば、有事の際に即戦力として収集をかけられるし、何だったら『貸し出し』で恩と謝礼金を稼げる。
なのにいつまで経ってもレベルアップをしない『永久新人』は、いるだけでギルドとしての評価も下げかけない。
だからといってバルトロメイを無視できないのは、彼自身が『奉仕』という新しいレベル査定項目の祖となってしまったということだ。
しかもその活動によって得られる『人望』を示す『対人』と『幸運』という項目はかなりの高レベルである。
それを活かしてレベルアップしようという気も無いので、バルトロメイがいるのがプラスになるのかマイナスになるのか、冒険者ギルドとしても判断に困る。
だからこそ彼が他の冒険者パーティーに声をかけられてダンジョン攻略などに参加するのは大歓迎なのだが、問題は彼が稼ぐはずだった討伐結果やダンジョン内で拾えるドロップ物を『パーティーメンバーのみ取得の権利を持つ』という条件をつけて参加させてしまうため、バルトロメイの成果とならないのだ。
かといって誘われた本人が納得しているのに、冒険者ギルドがそれは自分の利益にならないと妨害するわけにはいかない。
そんなことをすればギルドとしての公平性が失われてしまう。
そしてそんな制度を悪用してバルトロメイから成果を搾取しているのがティアン率いる『トライン』というパーティーであった。
相変わらず立ち寄る村ごと、集落ごとに人助けをしながら──そして、レベルはさっぱり上がっていない。
むしろ冒険者として肝心な『レベルアップ』や『ランクアップ』に対して欲がなさすぎて、冒険者ギルドで声を掛けられて臨時でパーティー参加はするものの、手柄はすべて取り上げられてしまうのにも気がつかない。
バルトロメイにとって第一に肝心なのは、自分の荷馬車とエンとヤシャが一緒に寝られる場所があるかどうかであり、金は二の次、冒険者として価値が上がるとかなどはどうでもよかった。
それよりも師匠たちがいたのがどこなのか、そこを探す方が重要だったが、その手掛かりはさっぱり見つからない。
自分が神語を話せる、神官服の男たちを見かける、比較的大きな神殿や教会を見た──それらを総合すれば簡単に判明しそうなものだが、バルトロメイはつい冒険者ギルドで低ランク者向け、そしてソロ活動者向けの依頼を連続で請け負ったり、便利な助っ人としてダンジョン攻略などについていき、つい街の探索をすることなど端から頭になかった。
「……ッチ。また低査定かよ………」
自称『新人研修係』と名乗るDランクパーティーのリーダーであるティアンという男は、周囲に聞こえないように頭を低くしつつ舌打ちした。
「確かにあいつ連れて行くとややドロップ率が高くなるような気がするけど、それだけじゃない。もういい加減連れて行くの止めたらぁ?」
「いや、しっかしなぁ………」
魔法使いのミヤが呆れたように肩を竦めるが、ティアンは諦め悪そうにカウンターを窺う。
そこには最初に冒険者ギルドで見かけた時と同じように、まるで人畜無害さがヒトの形を取ったような『バルトロメイ・ルー』という少年がギルド職員に「もう少し真面目にレベルアップできる仕事を受けるべきだと説教されていた。
この町に訪れたのは2週間前であるが、どのランクでも受けられる薬草集めや人助け系の仕事ばかり受けているバルトロメイが稼ぐ経験値は微々たるものばかりである。
それはどんなに積み重なっても『クエスト成功』の文字が増えるばかりで、バルトロメイの実績だけでなく、この町のギルドとしても本部にはっきりと示せる成果とはならないのだ。
ここでひとりでも高ランクにアップさせ、更に所属する契約を結べば、有事の際に即戦力として収集をかけられるし、何だったら『貸し出し』で恩と謝礼金を稼げる。
なのにいつまで経ってもレベルアップをしない『永久新人』は、いるだけでギルドとしての評価も下げかけない。
だからといってバルトロメイを無視できないのは、彼自身が『奉仕』という新しいレベル査定項目の祖となってしまったということだ。
しかもその活動によって得られる『人望』を示す『対人』と『幸運』という項目はかなりの高レベルである。
それを活かしてレベルアップしようという気も無いので、バルトロメイがいるのがプラスになるのかマイナスになるのか、冒険者ギルドとしても判断に困る。
だからこそ彼が他の冒険者パーティーに声をかけられてダンジョン攻略などに参加するのは大歓迎なのだが、問題は彼が稼ぐはずだった討伐結果やダンジョン内で拾えるドロップ物を『パーティーメンバーのみ取得の権利を持つ』という条件をつけて参加させてしまうため、バルトロメイの成果とならないのだ。
かといって誘われた本人が納得しているのに、冒険者ギルドがそれは自分の利益にならないと妨害するわけにはいかない。
そんなことをすればギルドとしての公平性が失われてしまう。
そしてそんな制度を悪用してバルトロメイから成果を搾取しているのがティアン率いる『トライン』というパーティーであった。
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