婚約者とヒロインが悪役令嬢を推しにした結果、別の令嬢に悪役フラグが立っちゃってごめん!

行枝ローザ

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問題

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うわぁ…とシーナの眉が下がる。
要は隠密行動をさせる女性護衛がいるということを、他家に知られるのが嫌だとか振りになるだとかそんな貴族らしい打診的な考えで、自分たちの娘が危険にさらされるかもしれない状態を放置するというのだ。

もっともそれについては深読みして『貴族は王家が配置した貴族学園にある武力的抑止力に絶対的な信頼を置く』という意思表示なのかもしれず、また将来的に騎士職に就く貴族子息たちが、こぞって貴族令嬢を身を挺して守る者だと思っているのかもしれない。
「……いやいやいや!いくら授業で護衛や戦闘術を叩き込まれたとしても、いきなり役に立つなんてあり得ないでしょうが!そんなの、実戦経験がなきゃぁ……」
「だよな~」
うんうんとリオンも頷く。
前世では凛音は一応護身術を習っていたが、実際に詩音の身に危険が及んだ際それは凶刃の前に役に立たず、あえなく命を落としてしまったのである。
そんな経験から『生兵法は怪我のもと』という古式ゆかしいことわざが脳裏に浮かんだりもするが、そこはふたりとも慎ましく口を噤んだ。

「……確かに地方というか、隣国に面する領地や、盗賊などが出没するような治安が悪い場所を治める貴族なら、領兵に混じって貴族子息も討伐の任にあたる者もいるだろうけど……少なくとも俺以外にこの学園内で実戦形式の模擬戦で対等な勝負ができるのは、ディディエぐらいのものだろうな」
腕を組んでそう頷くのは、エビフェールクス辺境侯爵家の次男であるイストフ・シュラーである。
そしてイストフが言ったムスタフ子爵家の令息ディディエ・ファーケンは自己的過ぎる俺様性格はともかく、剣の腕前は確かであり、そのためにリオン王太子の側近に選ばれたという経緯があった。
そしてそれは単純にキレやすい性格からケンカ慣れしているというだけであり、まず自分から進んで揉め事を起こすことは避ける傾向にある他の令息たちとは踏んだ場数の違いであるとも言える。
よほど貴族家の親たちは自分の子供たちを過大評価しているのだろうが、だいたい令嬢を守るにも異性では問題があると言っているのを理解しようとしないのが問題なのだ。


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