上 下
11 / 12
ヴィヴィニーアのわがまま

4

しおりを挟む
王家と神獣の繋がりは強い。

ダーウィン大王国始祖であるジェイス・ラ・ドルド・ダーウィンの御代に結ばれた契約は現在まで続いており、数多く生した直系の子孫の命を繋いでいる。
めったなことで短命にはならず、王族籍を離れなければ皆長命を誇った。
ただそのことは王族以外では神と繋がれる聖女本人と神殿長位だけにしか明かされておらず、神獣の存在はやや誇張されたりあえて間違った情報が流れても規制はされていない。

『知らない』という対象に幼いヴィヴィニーアも含まれており、実はまだデュークが自分の神獣であるとは教えてもらえておらず、単純に『産まれた時から側にいる犬』という認識しかない。
それでもその成長の具合に疑問を思うはずだと誰もが思ったが、いつまでもコロコロとした子犬のままのデュークの存在をそのまま受け入れており、そしてヴィヴィニーア自身も幼いままだった。

『純粋』というのは良いことでもあり、悪いことでもある──王族にとっては致命的なまでに。
勉強があまり好きではないヴィヴィニーアは王家の歴史に興味を示さなかったため、デュークについての真実もそれとなく教えられても耳を素通りし、記憶には残っていない。
数年後には天候に興味を持ち、紐づくように各地の天候や農作物の良し悪し、治水、やがて自分の記憶力の良さに目覚めるのだが、それよりも先に目覚めたのは幼いながらも兄の妻──義姉であるリーニャ・ノルデ・ラ・スウェンと容姿の似た可愛らしいロメリアに対する独占欲が先走り、そして子供ゆえの間違った方向にその愛情表現は為されていくのだった。



しおりを挟む

処理中です...