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喫茶 花梨へようこそ
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五月だ、休みだ!待ちに待ったゴールデンウィークがやってきたぜ。イェーィ!
などと浮かれている暇もなく、クラブ活動に追われる日々が続いたある日の夜だった。
「陸、あんた明日暇でしよ?」
「あぁ、午後ならクラブもないから暇だなぁ」
仕事から帰ってきた母さんが、なにやら切羽詰まった顔で俺に近寄ってきた。
「それじゃ、たまには母さんに付き合いなさい」
こういう顔をする時の母さんには、あまり近寄りたくなかったのだが、どうしても行かざるを得ない事情ができてしまった。その理由とは……
「なんでだよ。俺は絶対に行かないからなぁ……」
両手を合わせて神をも拝むように、頭を下げる母さんがそこにいた。
「私の先輩が喫茶店を出したらしいのよ!でね……どうしてもあんたに会いたいっていうから即OK!出しちゃったわけなのよ……母さんの顔を立てると思って一緒に来てちょうだい!お願い……します」
更にはお小遣いとして五千円まで掴まされては行かざるを得なくなってしまった。
その店とは………
〖 喫 茶 花 梨 〗
ログハウス風のお洒落なカフェで、美味しいフレンチトーストに珈琲のセットが売りのお店だった。
「へい、いらっしゃいませ……」
ドスの聞いた図太い声が店内に響いた……この声は聞いたことがある。よく知っている声だ…………
今朝もいやというほど聞いたくらいには懐かしい…………
「ってなんで、おまえがここに来るんだ?」
眉間にシワをよせて驚きながら、俺を指さす、そいつは……
「福田先輩こそ、なんでここにいるんですか……」
「ふふぅん……見ればわかるだろうが、ウエイトレスじゃ」
黒のジャージ姿にパッツンパッツンの白いエプロンをつけている。とても似つかわしくない姿だ。
カウンターには三十代前半の女性が珈琲を入れていた。いらっしゃい……と会釈をして、こちらを見てにっこり微笑む。
「先輩……今日はお招きに預かり、とても光栄です」
――おい待て!先輩ってどういうことだ。どぅみても、あの女性は、あんたより若いだろうが……
「あら……幸恵ちゃん、いらっしゃい。今日はゆっくりしていってね……」
――素で受け答えしている本当に先輩なのだろうか?しかしあの母さんがめちゃくちゃ緊張しながら話ているのだから、先輩であることは間違いはないのだろう。
こんな母さんを拝める日が来るとは、写メでも撮っておこう……
パシャ!
「ありがとうございます。これは新装開店のお祝いの品です」
「あら、そんな気を使わなくてもよかったのに……ありがとう、頂いておくわね。」
緊張しながらも包装された祝いの品を手渡した。
――しかしあの包の中になにが入っているのだろうか……気になる。
「あら……あなたが陸君ねぇ……うちの子からよく聴いているわぁ」
――うちの子……ってもしかして福田先輩のことか?そういえば、華蓮先輩も実家の家業を手伝っていた……ということは、ここは福田先輩の家で、そのお手伝いをやっているのか?
しかしこの女性とても美しく、どう見ても福田先輩のお母さんには見えない。さらに母さんの先輩に当たるお方だ!絶対に四十歳は超えていないとつじつまが合わない!
肌のツヤからして三十代前半の美貌は常識から考えても不自然過ぎるくらいだ。絶対に有り得ん、あってはならないことだ!
「決闘試合で智君に勝ったんですってねぇ……すごいわ!」
「そんなことありませんよ。先輩も強かったですよ」
俺は先輩の手前もあり、謙遜して話を合わせておいた。こんな母さんがいるなんて羨ましい限りだ。
うちの母さんにしては……おっと、これ以上は自分の身が危うくなるのでよしておこう。
「そうなんだ……まぁ、立ち話もなんだから座ってちょうだい!」
「ハイ、ありがとうございます。」
まだそんなに緊張しているのか……そろそろ慣れろよ。こんなに優しくて綺麗な女性なのに一体なにをそんなに怯えているのか理解不能だ!
店内には多くのお客さんで賑わっていた。俺たちは海が見渡せる窓際を選び、そこに座った。
海岸通りに面したこの店なら、夏の書き入れ時には繁盛すること間違いなしだ!
「いまうちの子も呼んでくるから……」
うちの子を呼んでくる……とは?福田先輩がうちの子じゃないのか?だとすれば、うちの子って誰のことなんだ?
「いらっしゃいませ……」
そう言って出てきたうちの子が、おしぼりとお水をテーブルに置いてくれた。俺はあまりのびっくりさに驚いて起立していた。そこに居たのは、あの呼詠さんではないか……
髪をポニーテールに結び、ベージュのワンピースにエプロンをつけていた。かなりキュートだ!
呼詠さんも何十年か後には、あんな若くて美人のお母さんになるのだろうなぁ!
俺はそんな妄想していると、前に座った母さんがまるで猫が子ネズミを見つけ、もてあそぶかのような目つきで舐めまわすように眺めてくる。
真っ赤に染めた俺の顔をパシャリ、パシャリと写メに収めては、喜んでいた……やめてくれ!そんな写メは撮らないでくれ……恥ずかしいだろう!
「五條君、紹介するね。私のお母さんよ。そして、このお店のオーナーでもあるのよ」
呼詠さんは優しく俺に紹介してくれた。
「母の北川 美和《きたがわ みわ》です。中学時代はバスケ部で、あなたのお母さんと一緒に部活やってたのよ……よろしくね」
「よろしくお願いします。えっ、それじゃなんで福田先輩がここにいるのですか?」
「智君は家もご近所さんだから、休みの日だけアルバイトをしてもらっているの」
隣の席の応対をしていた福田先輩が、ニタりと不敵な笑いをこぼしてくる。そんな福田先輩がとても気持ち悪くもあり、羨ましくもあった。
確かに、福田先輩の老け顔と体格があれば、二十歳と見間違えるだろうから問題はないが……うーんそういう問題なのか?
「いいな!先輩、俺もここでバイトしてもいいですか?」
今まで嬉しそうに自慢げに振舞っていた福田先輩が、急に態度を変えて慌て出した。
「それはダメじゃ……ここはワシが先に見つけた場所じゃ!おまえはミカサ食堂で働け……ワシが口添えしてやる!」
どうしてもここで俺を働かせたくはないようだ。占いにもあった障害として立ちはだかるつもりだなぁ!
「いいじゃないの、これから夏になれば、たくさんのお客さんも来るから、人手はいくらあっても足りないくらいよ。また夏休みに入ったらいらっしゃい」
「やった……」
美和母さん、ナイスアシスト……グッジョブです。
「幸恵もそれでいい?」
「はい、すべて先輩におまかせ致します。みっちりと、シゴいてやって構いませんから」
「ハハハ……そんなことはしないわぁ……」
しかし、母さんは俺を生贄にでも差し出したつもりでいるのか?なにをそんなに怯えているのだろう?昔なにかあったのか?
なんだか女子会でも始まったかのように、キャピキャピとした明るい雰囲気が漂う中、店内の片隅で、どんよりと重い空気が流れていた。
どうしても福田先輩は俺がバイトを始めることが気に入らないらしい。
「あっ、そうだ。呼詠、陸君連れて海でも見てくれば……こっちは智君もいるから大丈夫だし……」
「おばさん!それはちょっと、マズいんじゃ……」
「…………………………」
「いえ……なんでもありません」
なぜか、福田先輩の顔色が悪くなってゆくのがわかった。どうしたんだ?なにか悪いものでも食べたのか?
「五條君マズいわ、早く店を出ましょう」
「えぇ、あっうん……」
なんだか呼詠さんの表情も険しいように見える。俺は無理やり呼詠さんに店の外へと追いやられてしまった。
「おばさん?どの口がいうのかなぁ……」
「すみません、ぐび……み、わ、お姉様~~」
「せっ先輩!ここお店ですから……あっあ!ちょっとまって……」
数分後、エプロンを外した呼詠さんがソフトクリームを二つもって裏口から出てきた。
「なんだか店の中騒がしくない?大丈夫かなぁ」
「心配ないわ、いつものことだから……」
久しぶりに会って母さんも羽目を外しているのだろうか?
「これひとつあげる。うちのは特別製だから美味しいわよ」
「ありがとう……」
手渡しで呼詠さんからソフトクリームをもらってしまった。そのソフトクリームが美味しいかどうかよりも、呼詠さんから手渡しされたことの方が、よほど美味しかった。
なので美和母さんには悪いのだが、味はあまりよく覚えていなかった。
福田先輩、あんたには悪いが楽しんで来るぜ!
あとはまかせた。
などと浮かれている暇もなく、クラブ活動に追われる日々が続いたある日の夜だった。
「陸、あんた明日暇でしよ?」
「あぁ、午後ならクラブもないから暇だなぁ」
仕事から帰ってきた母さんが、なにやら切羽詰まった顔で俺に近寄ってきた。
「それじゃ、たまには母さんに付き合いなさい」
こういう顔をする時の母さんには、あまり近寄りたくなかったのだが、どうしても行かざるを得ない事情ができてしまった。その理由とは……
「なんでだよ。俺は絶対に行かないからなぁ……」
両手を合わせて神をも拝むように、頭を下げる母さんがそこにいた。
「私の先輩が喫茶店を出したらしいのよ!でね……どうしてもあんたに会いたいっていうから即OK!出しちゃったわけなのよ……母さんの顔を立てると思って一緒に来てちょうだい!お願い……します」
更にはお小遣いとして五千円まで掴まされては行かざるを得なくなってしまった。
その店とは………
〖 喫 茶 花 梨 〗
ログハウス風のお洒落なカフェで、美味しいフレンチトーストに珈琲のセットが売りのお店だった。
「へい、いらっしゃいませ……」
ドスの聞いた図太い声が店内に響いた……この声は聞いたことがある。よく知っている声だ…………
今朝もいやというほど聞いたくらいには懐かしい…………
「ってなんで、おまえがここに来るんだ?」
眉間にシワをよせて驚きながら、俺を指さす、そいつは……
「福田先輩こそ、なんでここにいるんですか……」
「ふふぅん……見ればわかるだろうが、ウエイトレスじゃ」
黒のジャージ姿にパッツンパッツンの白いエプロンをつけている。とても似つかわしくない姿だ。
カウンターには三十代前半の女性が珈琲を入れていた。いらっしゃい……と会釈をして、こちらを見てにっこり微笑む。
「先輩……今日はお招きに預かり、とても光栄です」
――おい待て!先輩ってどういうことだ。どぅみても、あの女性は、あんたより若いだろうが……
「あら……幸恵ちゃん、いらっしゃい。今日はゆっくりしていってね……」
――素で受け答えしている本当に先輩なのだろうか?しかしあの母さんがめちゃくちゃ緊張しながら話ているのだから、先輩であることは間違いはないのだろう。
こんな母さんを拝める日が来るとは、写メでも撮っておこう……
パシャ!
「ありがとうございます。これは新装開店のお祝いの品です」
「あら、そんな気を使わなくてもよかったのに……ありがとう、頂いておくわね。」
緊張しながらも包装された祝いの品を手渡した。
――しかしあの包の中になにが入っているのだろうか……気になる。
「あら……あなたが陸君ねぇ……うちの子からよく聴いているわぁ」
――うちの子……ってもしかして福田先輩のことか?そういえば、華蓮先輩も実家の家業を手伝っていた……ということは、ここは福田先輩の家で、そのお手伝いをやっているのか?
しかしこの女性とても美しく、どう見ても福田先輩のお母さんには見えない。さらに母さんの先輩に当たるお方だ!絶対に四十歳は超えていないとつじつまが合わない!
肌のツヤからして三十代前半の美貌は常識から考えても不自然過ぎるくらいだ。絶対に有り得ん、あってはならないことだ!
「決闘試合で智君に勝ったんですってねぇ……すごいわ!」
「そんなことありませんよ。先輩も強かったですよ」
俺は先輩の手前もあり、謙遜して話を合わせておいた。こんな母さんがいるなんて羨ましい限りだ。
うちの母さんにしては……おっと、これ以上は自分の身が危うくなるのでよしておこう。
「そうなんだ……まぁ、立ち話もなんだから座ってちょうだい!」
「ハイ、ありがとうございます。」
まだそんなに緊張しているのか……そろそろ慣れろよ。こんなに優しくて綺麗な女性なのに一体なにをそんなに怯えているのか理解不能だ!
店内には多くのお客さんで賑わっていた。俺たちは海が見渡せる窓際を選び、そこに座った。
海岸通りに面したこの店なら、夏の書き入れ時には繁盛すること間違いなしだ!
「いまうちの子も呼んでくるから……」
うちの子を呼んでくる……とは?福田先輩がうちの子じゃないのか?だとすれば、うちの子って誰のことなんだ?
「いらっしゃいませ……」
そう言って出てきたうちの子が、おしぼりとお水をテーブルに置いてくれた。俺はあまりのびっくりさに驚いて起立していた。そこに居たのは、あの呼詠さんではないか……
髪をポニーテールに結び、ベージュのワンピースにエプロンをつけていた。かなりキュートだ!
呼詠さんも何十年か後には、あんな若くて美人のお母さんになるのだろうなぁ!
俺はそんな妄想していると、前に座った母さんがまるで猫が子ネズミを見つけ、もてあそぶかのような目つきで舐めまわすように眺めてくる。
真っ赤に染めた俺の顔をパシャリ、パシャリと写メに収めては、喜んでいた……やめてくれ!そんな写メは撮らないでくれ……恥ずかしいだろう!
「五條君、紹介するね。私のお母さんよ。そして、このお店のオーナーでもあるのよ」
呼詠さんは優しく俺に紹介してくれた。
「母の北川 美和《きたがわ みわ》です。中学時代はバスケ部で、あなたのお母さんと一緒に部活やってたのよ……よろしくね」
「よろしくお願いします。えっ、それじゃなんで福田先輩がここにいるのですか?」
「智君は家もご近所さんだから、休みの日だけアルバイトをしてもらっているの」
隣の席の応対をしていた福田先輩が、ニタりと不敵な笑いをこぼしてくる。そんな福田先輩がとても気持ち悪くもあり、羨ましくもあった。
確かに、福田先輩の老け顔と体格があれば、二十歳と見間違えるだろうから問題はないが……うーんそういう問題なのか?
「いいな!先輩、俺もここでバイトしてもいいですか?」
今まで嬉しそうに自慢げに振舞っていた福田先輩が、急に態度を変えて慌て出した。
「それはダメじゃ……ここはワシが先に見つけた場所じゃ!おまえはミカサ食堂で働け……ワシが口添えしてやる!」
どうしてもここで俺を働かせたくはないようだ。占いにもあった障害として立ちはだかるつもりだなぁ!
「いいじゃないの、これから夏になれば、たくさんのお客さんも来るから、人手はいくらあっても足りないくらいよ。また夏休みに入ったらいらっしゃい」
「やった……」
美和母さん、ナイスアシスト……グッジョブです。
「幸恵もそれでいい?」
「はい、すべて先輩におまかせ致します。みっちりと、シゴいてやって構いませんから」
「ハハハ……そんなことはしないわぁ……」
しかし、母さんは俺を生贄にでも差し出したつもりでいるのか?なにをそんなに怯えているのだろう?昔なにかあったのか?
なんだか女子会でも始まったかのように、キャピキャピとした明るい雰囲気が漂う中、店内の片隅で、どんよりと重い空気が流れていた。
どうしても福田先輩は俺がバイトを始めることが気に入らないらしい。
「あっ、そうだ。呼詠、陸君連れて海でも見てくれば……こっちは智君もいるから大丈夫だし……」
「おばさん!それはちょっと、マズいんじゃ……」
「…………………………」
「いえ……なんでもありません」
なぜか、福田先輩の顔色が悪くなってゆくのがわかった。どうしたんだ?なにか悪いものでも食べたのか?
「五條君マズいわ、早く店を出ましょう」
「えぇ、あっうん……」
なんだか呼詠さんの表情も険しいように見える。俺は無理やり呼詠さんに店の外へと追いやられてしまった。
「おばさん?どの口がいうのかなぁ……」
「すみません、ぐび……み、わ、お姉様~~」
「せっ先輩!ここお店ですから……あっあ!ちょっとまって……」
数分後、エプロンを外した呼詠さんがソフトクリームを二つもって裏口から出てきた。
「なんだか店の中騒がしくない?大丈夫かなぁ」
「心配ないわ、いつものことだから……」
久しぶりに会って母さんも羽目を外しているのだろうか?
「これひとつあげる。うちのは特別製だから美味しいわよ」
「ありがとう……」
手渡しで呼詠さんからソフトクリームをもらってしまった。そのソフトクリームが美味しいかどうかよりも、呼詠さんから手渡しされたことの方が、よほど美味しかった。
なので美和母さんには悪いのだが、味はあまりよく覚えていなかった。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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