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大魔王
④
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とりあえず今日は万夢の家に泊めることができないか、万夢は母親に交渉に行った。それなら安心だと思った。しかし万夢の母親は面倒見がいいからきっとオッケーするだろうという優吾の楽観的な考えはすぐ打ち砕かれた。
「こんにちは」
万夢の母親が部屋に入ってきた。関口はぺこっと頭を下げたが、無言だ。
「ええと、どういうことなのか話してくれない? お母さんが帰ってこないって……お母さんは何してる人なの? どういう人?お父さんは?」
「……」
万夢の母親はみんなが関口に訊きたいのに訊けないようなことをズバズバと口にした。万夢や優吾に聞かれたくなかったら部屋から追い出すから、とまで言う。
「ちょっとあんたたち、出てって。マリサちゃんと話するから」
「……」
あっさりと部屋から追い出され、優吾と万夢は落ち着かない。
「ママ、どういうつもりだろう。マリサに説教する気なのかな。説教くさいからな……」
「そうなの? 俺には優しいけど」
「それ外面だわ」
「俺のかーちゃんのほうがよっぽど説教くさいけどな」
優吾の母親は中学校の教員で、説教くさい。学校でも絶対説教くさいタイプに違いない。
それから誰のお母さんがどうたらこうたらと、関係ない話を上っ面でした。二人とも関口が何を話しているのかが気になっているのは明白だ。
暫くして万夢の母親が関口を伴って出てきた。廊下に座り込んでいた優吾は飛び上がった。
「……マユメ、一條、色々ありがとう」
「え?」
「ジソーに行くわ」
万夢の母親が言った。優吾も万夢も、聞いたことがない言葉で顔が歪む。関口は沈んでいる。
「何ジソーって。うちに泊めてあげられないってこと?」
万夢が噛み付いた。
「家に帰れない子供や、事情のある子供のことを面倒見てくれるところよ」
「は? 学校には来れるの?」
「今は勉強どころじゃないでしょう。これからお母さんとなんとか連絡をとって、どうするのか決めるのよ」
「じゃあ休むってこと?」
「万夢のお母さん! 関口は、せっかくクラスに馴染んで、これからあとちょっとだけど小学校生活楽しもうって時なんだよ!」
優吾は親子の言い合いに割り込んだ。学校に来ない、ということなんだろう。そんなのってあるか。関口は、悪くないのに。
「優吾。お母さんが何日も帰ってこなかったら、あんた学校行ける? 残りの小学校生活、楽しめる?」
「それは……」
「まずは土台からなのよ。一番の問題を解決するのが先。何がマリサちゃんのためになるのか、考えなさい」
「……そうだけど……」
「ママのケチ! うちから通えばいいじゃない!」
万夢がキレた。確かに、万夢の母親の言い分が正しいんだろう。でも、優吾たちは納得行かない。せっかく一緒に公園行ける仲になったんだ。どうか関口を引き離さないで。
「こんにちは」
万夢の母親が部屋に入ってきた。関口はぺこっと頭を下げたが、無言だ。
「ええと、どういうことなのか話してくれない? お母さんが帰ってこないって……お母さんは何してる人なの? どういう人?お父さんは?」
「……」
万夢の母親はみんなが関口に訊きたいのに訊けないようなことをズバズバと口にした。万夢や優吾に聞かれたくなかったら部屋から追い出すから、とまで言う。
「ちょっとあんたたち、出てって。マリサちゃんと話するから」
「……」
あっさりと部屋から追い出され、優吾と万夢は落ち着かない。
「ママ、どういうつもりだろう。マリサに説教する気なのかな。説教くさいからな……」
「そうなの? 俺には優しいけど」
「それ外面だわ」
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それから誰のお母さんがどうたらこうたらと、関係ない話を上っ面でした。二人とも関口が何を話しているのかが気になっているのは明白だ。
暫くして万夢の母親が関口を伴って出てきた。廊下に座り込んでいた優吾は飛び上がった。
「……マユメ、一條、色々ありがとう」
「え?」
「ジソーに行くわ」
万夢の母親が言った。優吾も万夢も、聞いたことがない言葉で顔が歪む。関口は沈んでいる。
「何ジソーって。うちに泊めてあげられないってこと?」
万夢が噛み付いた。
「家に帰れない子供や、事情のある子供のことを面倒見てくれるところよ」
「は? 学校には来れるの?」
「今は勉強どころじゃないでしょう。これからお母さんとなんとか連絡をとって、どうするのか決めるのよ」
「じゃあ休むってこと?」
「万夢のお母さん! 関口は、せっかくクラスに馴染んで、これからあとちょっとだけど小学校生活楽しもうって時なんだよ!」
優吾は親子の言い合いに割り込んだ。学校に来ない、ということなんだろう。そんなのってあるか。関口は、悪くないのに。
「優吾。お母さんが何日も帰ってこなかったら、あんた学校行ける? 残りの小学校生活、楽しめる?」
「それは……」
「まずは土台からなのよ。一番の問題を解決するのが先。何がマリサちゃんのためになるのか、考えなさい」
「……そうだけど……」
「ママのケチ! うちから通えばいいじゃない!」
万夢がキレた。確かに、万夢の母親の言い分が正しいんだろう。でも、優吾たちは納得行かない。せっかく一緒に公園行ける仲になったんだ。どうか関口を引き離さないで。
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