19 / 35
純粋です!
④
しおりを挟む
翌日花怜が出勤してきた。何か起きたらいきなり病欠するところも、そういえば確かに藤川智也に似ている。
さっそく園長と話して、まだベランダにいた裕翔に気付かずベランダを閉めてしまったこと、中が騒がしく外での泣き声に気付かなかったことが明らかになった。
よかった、わざとじゃなかったんだ。
紗耶香は胸を撫で下ろしたが、花怜は元気があるようには見えない。もともと表情豊かなタイプではないけれど……。
ちょっとした時に、金沢が花怜を気にかけているのがわかる。もうすでに、ラインで色々相談してるんだろうなと想像つく。紗耶香も何かやらかした時は、よく金沢に相談に乗ってもらうからわかる。
当の裕翔は昨日も今日も欠席のようだ。直接受け持ったことがあるが、裕翔の親は癖があるタイプだ。明るく、仲のいい父母が多数いるが、一度気に入らないとなればとことんやる印象がある。
ただ、子供達と楽しく遊んでるだけなら楽な仕事なんだけどなぁ。
昼休憩にラインを見ると、猫山から土曜日の誘いがきていた。土曜日は花怜と金沢が多分飲みに行く日だ。参加しようかと思っていたけど、どうしよう。猫山は、紗耶香のことをどう思っているんだろう。
「お疲れ」
花怜が隣に来た。何故かビクっとしてしまった。
「お疲れ! た、た、大変だったねあの話」
「あ、ああ、あの話ね……」
あ、ヤバい。思い出させちゃったか。
「わわわ私も恒星のときは大変だったからさぁ、わかるよ」
「あぁ、そうだよね」
花怜はコンビニのサンドイッチを開けて頬張った。少ない。これだけで足りるのかな。やっぱり、食欲はないか。
紗耶香は話題を変えようと、エリーザのスギさんの話を出した。
「とりあえずめっちゃイケメンなの。花怜も行ってみて」
「エリーザかぁ……私は癖毛だから、慣れた美容室のほうがいいんだけどイケメンかぁ……てか紗耶香の好みだったら私はあんまり」
「あれは万人受けするイケメンだったよ」
「なんだそれ。でもこないだの合コンではあの猫山……」
「ねねねね猫山はいいのもう!」
少し遠くで弁当を食べていた野坂美紀がクスクス笑っている。結局猫山との関係は大々的に発表できない感じで今に至っている。
あ、ライン返さなきゃ。
ここは猫山に訊いてみようか。紗耶香のことをどういうつもりで誘っているのか。遊びならそれでも構わない。遊びなのかなんなのかわからないからこちらも対応に困り振り回される。
「あ、そういえば藤川先生って彼女いるの知ってた?」
紗耶香はふと思い出した。この間の子を思い出した。優しそうではあったけど、大人しそうで目立たない感じの子。
「ええー!?」
そこにいた花怜、野坂美紀、園長をはじめとする年配の保育士たちも一気にどよめいた。とりあえず紗耶香のモヤモヤは、藤川によって結果消された。
さっそく園長と話して、まだベランダにいた裕翔に気付かずベランダを閉めてしまったこと、中が騒がしく外での泣き声に気付かなかったことが明らかになった。
よかった、わざとじゃなかったんだ。
紗耶香は胸を撫で下ろしたが、花怜は元気があるようには見えない。もともと表情豊かなタイプではないけれど……。
ちょっとした時に、金沢が花怜を気にかけているのがわかる。もうすでに、ラインで色々相談してるんだろうなと想像つく。紗耶香も何かやらかした時は、よく金沢に相談に乗ってもらうからわかる。
当の裕翔は昨日も今日も欠席のようだ。直接受け持ったことがあるが、裕翔の親は癖があるタイプだ。明るく、仲のいい父母が多数いるが、一度気に入らないとなればとことんやる印象がある。
ただ、子供達と楽しく遊んでるだけなら楽な仕事なんだけどなぁ。
昼休憩にラインを見ると、猫山から土曜日の誘いがきていた。土曜日は花怜と金沢が多分飲みに行く日だ。参加しようかと思っていたけど、どうしよう。猫山は、紗耶香のことをどう思っているんだろう。
「お疲れ」
花怜が隣に来た。何故かビクっとしてしまった。
「お疲れ! た、た、大変だったねあの話」
「あ、ああ、あの話ね……」
あ、ヤバい。思い出させちゃったか。
「わわわ私も恒星のときは大変だったからさぁ、わかるよ」
「あぁ、そうだよね」
花怜はコンビニのサンドイッチを開けて頬張った。少ない。これだけで足りるのかな。やっぱり、食欲はないか。
紗耶香は話題を変えようと、エリーザのスギさんの話を出した。
「とりあえずめっちゃイケメンなの。花怜も行ってみて」
「エリーザかぁ……私は癖毛だから、慣れた美容室のほうがいいんだけどイケメンかぁ……てか紗耶香の好みだったら私はあんまり」
「あれは万人受けするイケメンだったよ」
「なんだそれ。でもこないだの合コンではあの猫山……」
「ねねねね猫山はいいのもう!」
少し遠くで弁当を食べていた野坂美紀がクスクス笑っている。結局猫山との関係は大々的に発表できない感じで今に至っている。
あ、ライン返さなきゃ。
ここは猫山に訊いてみようか。紗耶香のことをどういうつもりで誘っているのか。遊びならそれでも構わない。遊びなのかなんなのかわからないからこちらも対応に困り振り回される。
「あ、そういえば藤川先生って彼女いるの知ってた?」
紗耶香はふと思い出した。この間の子を思い出した。優しそうではあったけど、大人しそうで目立たない感じの子。
「ええー!?」
そこにいた花怜、野坂美紀、園長をはじめとする年配の保育士たちも一気にどよめいた。とりあえず紗耶香のモヤモヤは、藤川によって結果消された。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる