妹ばかり溺愛する親に嫌気がさした僕は好きなことで見返そうと思います

友利奈緒

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最終章 頂点への宣戦布告

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全国大会会場――東京ビッグアリーナ。

三万人規模の観客席。
巨大モニター。
無数のカメラ。

スポンサー横断幕の中央に掲げられるのは
**《フェンリル・エンターテインメント》**

そして壇上に立つ男――
**神堂レオ**

現王者。
絶対的スター。
フェンリルの象徴。

「今年も、新しい才能を歓迎しよう」

その視線はまっすぐ、主人公へ。

---

### 準決勝まで

主人公は勝ち続けた。

地区とはレベルが違う。

高速展開。
心理戦。
配信コメントは常に荒れている。

「地方の無名がここまで?」

「黒崎の弟子らしいぞ」

観客席の上段には黒崎。
隣には父。
少し離れた場所に綾音。

家族も、師匠も、もう隠れない。

準決勝――圧勝。

会場が主人公の名を呼ぶ。

そして決勝。

---

## 王と挑戦者

中央卓。

向かいに座るのは
**神堂レオ**

「ここまで来るとはな」

「あなたを倒しに来ました」

神堂は笑う。

「面白い。だがな――プロは“勝つ”だけじゃない」

その言葉の意味を、主人公は知っている。

黒崎の過去。

“空気を読め”という圧力。

スポンサー席から無言の視線。

商品にされる才能。

だが。

「僕は商品じゃない」

会場が静まり返る。

「選手です」

神堂の目が鋭くなる。

「なら証明しろ」

---

## デュエル開始

序盤。

神堂は圧倒的だった。

完璧なリソース管理。
一手の無駄もない展開。

実況が叫ぶ。

「王者、盤面制圧!」

主人公は追い詰められる。

だが焦らない。

黒崎の声が脳裏にある。

――再現性。
――読み。
――盤面以外を見る。

神堂の呼吸。
タイマーの使い方。
視線の揺れ。

(誘っている……)

わざと隙を見せている。

だが。

主人公は乗らない。

一手ずらす。

神堂の眉がわずかに動く。

「……ほう」

中盤。

主人公は黒崎の型を完全に崩す。

自分の読みを重ねる。

父が立ち上がる。

綾音が息をのむ。

黒崎は静かに笑う。

「越えたな」

終盤。

ライフ差は僅差。

観客総立ち。

主人公の手札にあるのは――

十年前、使われなかった切り札。

父のスリーブ。

黒崎の未完。

自分の覚悟。

神堂が囁く。

「使えば勝てると思うか?」

「思ってません」

主人公は静かに言う。

「勝つんです」

カードを置く。

盤面が爆発的に展開する。

神堂は最後のカウンターを狙う。

だが一歩遅い。

完璧な詰め。

沈黙。

そして――

「勝者!!」

歓声が会場を揺らす。

新王者誕生。

---

## 王の交代

神堂はしばらく動かなかった。

やがてカードを置く。

「見事だ」

握手。

本物の王の礼。

「フェンリルに入るか?」

会場が息をのむ。

主人公は首を振る。

「条件があります」

「ほう?」

「選手を“商品”にしないこと。試合に空気を持ち込まないこと」

スポンサー席がざわつく。

神堂は笑う。

「生意気だな」

「でも、勝ったのは僕です」

数秒の沈黙。

そして神堂はマイクを取る。

「来年から制度を見直す」

ざわめきが爆発する。

黒崎が小さく息を吐く。

十年前、出来なかったこと。

弟子がやった。

---

## その後

表彰台。

トロフィーを受け取る主人公。

観客席で父がゆっくり拍手する。

綾音が涙を拭く。

黒崎は背を向けながら言う。

「これで終わりじゃないぞ」

「分かってます」

主人公は笑う。

才能はあったのか?

分からない。

だが覚悟はあった。

努力はあった。

そして今――

証明した。

これは少年が無能と呼ばれた日から始まった物語。

そして。

新しい時代の始まり。


  完。
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