28 / 39
第三章:青空のその向こうへ
8
しおりを挟む
*
パチッと音がして瞼が開いた。
妙に鮮明な視界に飛び込んできたのは、絵の具をそのまま溶かしたような、鮮やかな青だった。宙を揺蕩う綿雲は、ふわふわと笑いながらどこかへと流れていく。
体中が痛い。それに、なんだか感覚が変だ。俺は不思議に思ってゆっくりと上体を起こした。
だが、そこにあった光景に再び気を失いそうになる。
「お、折れてる……⁉」
俺の右足は、あらぬ方向へと曲がっていた。折れ曲がった鉄パイプみたいな自身の足は、ぐにゃりとその体を歪めている。それを自覚した途端、ジクジクと熱を持った痛みが右足から湧き出てくる。
おまけに上体を起こすときに地についた手も傷だらけで、指がいくつか動かない。なんだか、頭もすごく痛い気がする。
何があったんだっけ、と俺はボーっとする頭で考える。そうすれば、意外にも簡単に事の経緯は思い出せた。
俺は、三階の窓から投げ出された。抗う術なんてなくて、そのまま地面に落下した。全身を砕くような痛みが走ったのも覚えている。そういえば、最後に一吹が降ってきたような……。
「い、一吹っ!」
俺はすぐ横に倒れていた一吹をようやく視界に捉え、慌てて名前を呼んだ。彼の体を揺さぶろうとしたところで、異変に気が付いた。
「う、うわあああっ⁉」
彼は頭から血を流して地面に倒れていた。顔はうつぶせになっていて見えない。投げ出された手は俺の足みたいに歪に曲がっている。
よく見れば、俺が寝転んでいた場所も赤い液体がペンキをぶちまけたみたいに広がっていた。
明らかに致死量だ。
それなのに、俺は生きている。痛みも感じるが、見た目にしては痛みが少なすぎる。
「ん……繋……?」
俺の叫び声を聞いて、一吹が居眠りから目覚めるようにのんびりと起き上がった。
「い、いい一吹! それ大丈夫なの⁉」
「へ? いや大丈夫って何……は⁉ 繋、お前どうした⁉」
「なに⁉」
「むりむり、ハロウィンの仮装か⁉ こ、怖いからやめろよ!」
一吹は半泣きになりながら、俺から後ずさる。ひどく青ざめたその顔に、俺は嫌な予感がした。
「……俺、どうなってるの?」
震えた声で問う。赤い液体の上でへたりこんだ一吹は、か細い声で答える。
「あ、頭から大量の血流してる……顔血まみれだぞ……」
「マジかぁ……」
俺は額を押さえて溜息を吐いた。
三階から、しかも頭から真っ逆さまに落ちればこうもなるだろう。何故生きているのかは不明だが、かなり酷い状態のようだ。
「……俺、生きてる?」
「生きてる。オレは?」
「生きてる」
「そうか」
二人してそう確認し合うと、何とも居心地の悪い沈黙が満ちた。生温い風が致死量の血を流した俺たちの間を寂しく吹き抜けていく。
「いやいやいや、これどうなってんの⁉ 世界の秘密とか以前に一番ヤバイことになってない⁉」
「お、落ち着け繋……! やっぱオレたちは不死身の実験させられてんだって!」
「そんなわけないだろ⁉ いや、どうなんだろ⁉ 俺、本当に生きてるの⁉」
「い、生きてるって! わけわかんねぇけど生きてる! だから体に何かされてんだって! 落ち着け!」
「む、無理だって! で、でも……一吹の言うこと、なんか正しいように思えてきたな……」
頭がクラクラする。
俺は顔についた血を拭いながら再び溜息を吐いた。
何がどうなっているのだろう。一吹の仮説を聞いて、実験体云々の話も頭の片隅にはあったが、いざそれが現実味を帯びてくると混乱する。俺たちは本当に死なない体になってしまったのだろうか……?
そう思った時、ザザッと音がして視界が乱れた。何の音かと首を傾げていれば、視界に映る折れ曲がった自分の足がみるみるうちに元に戻っていった。小さな光の粒子が足の先端から太ももの方まで迫り、折れた足を治していく。
それは一吹も同じようで、血まみれの体が光の粒子によって元通りになっていった。
「……本気でなにこれ」
「オレにもわかんねぇよ……一瞬で怪我が全部治っちまった」
「血の跡も少しずつだけど消えてくし……もう、何が起きてるのやら……」
俺たち二人がありえない事象に混乱しながら話しているうちに、落下して完全に死を迎えたはずの体は元通りになった。ゲームによくある回復魔法を受けた気分だ。
俺も一吹も北原も、怪我をしてもすぐに治癒された。今まで何度か軽い怪我はしたことがあったが、こんなに早く治っただろうか。いや、よくよく考えれば、怪我の治りは異常なくらい早かったかもしれない。それも世界の常識とやらの一部だったから今まで何の違和感も覚えなかったが、今となっては違う。
「……」
「一吹、どうかした?」
黙り込んで掌を眺めている一吹に問いかけた。
「いや、さっき思い出してさ」
「え、ホント?」
「あぁ。繋を助けなきゃって思って飛び降りた時、走馬灯みたいな感じでさ。同じことが、昔にもあったなって」
「え……?」
俺は目を見開いた。
同じこと。つまりは、あんな高い窓から一吹は飛び降りたことがあるのだろうか。
「光牙がさ、上級生の怒りを買った時だよ。ちょっとした喧嘩みたいになってな、廊下で言い争ってたんだ。光牙は確かに問題児だけど、人を傷つけるようなヤツじゃなかった。たぶんな、それが上級生を余計に苛つかせたんだと思う」
俺達と共に落ちてきたであろうアルバムを拾いながら、一吹が懐かしむように語った。きっと、自分で口に出しながら記憶を確認しているのだろう。一吹の顔は、ひどく悲しそうに見えた。
「オレが止めに入ろうとした時だった。上級生が罵声を浴びせながら光牙を突き飛ばしたんだ。ドラマのワンシーンみたいだった。光牙は受け身をとれなくて、そのまま開いてた窓から外に放り出された。その時のこと、今やっと思い出したよ」
一吹は俺達が飛び出した窓を見上げ、悔しげに歯を鳴らした。
「初めて、光牙の焦った顔を見た。助けを求めてた。でもオレは、動けなかったよ。あまりに衝撃的すぎて。……そこからは、よく覚えてない。葬儀には出たし、長い時間を経て学校生活にも復帰した。……ずっと、何かが足りない生活だったけどな」
「……一吹」
「そんな顔すんなよ繋。オレ、大事なダチを思い出せてよかったと思ってんだ。あんな衝撃的な別れ方したくせに忘れたままとか、アイツに怒られちまうからな」
一吹はへらりと力なく笑う。見た事もないくらい、一吹は泣きそうな顔をしていた。
「オレ、アイツと約束したんだよ。一緒にレギュラーになって、全国大会で優勝しようって。ありきたりだけど、青春って感じがしていいだろ?」
「……うん」
「それなのにアイツは早くに逝っちまうなんて……」
一吹はそこまで言って口を噤んだ。
返答に困った。ここで励ますのも違う気がするし、ましてや一吹のせいじゃないよと言うのは禁句のような気がして。
自分の目の前で友人が死ぬなど、考えたくはない。だが、なぜか俺にはその気持ちが痛いほどわかってしまった。
さっき意識を飛ばしていた僅かの間に見た、奇妙な夢のせいだろうか。あの白い部屋で見た夢の続きのようなものだった。
あれが本当に俺の記憶ならば、俺は誰か大切な人を亡くしている。おそらくその人との思い出か何かが、俺の大切な記憶なのだろうが、肝心なあの少女の顔と名前が思い出せない。
「なぁ、繋。光牙のヤツ、怒ってるかな?」
「へ……?」
「なんで助けなかったのかって。オレがもっと早くに止めに入っていたら、今頃は光牙もここで一緒に楽しくバカやってたかな?」
助けを請うような顔をして、一吹が俺に訊ねてくる。
俺は彼から目を逸らした。話したこともない相手のことなど、正直言ってわかるわけない。だけど、もし俺が二見の立場だったら、一吹にそんな感情を抱かない。
窓から放り出された後、意識を失う直前に見えた一吹の顔はかなり焦っていて必死だった。そんな必死な顔をして手を伸ばしてもらえるほど、俺は彼に友達として想われていたのだろうと、あんな状況ながら嬉しくなった。
……二見も、そうであればいいのに。
「俺は二見じゃないからわからない。でもさ、怒ってないと思うよ。一吹と二見は親友なんでしょ?」
「そうだけど……」
「なら、信じてあげなよ。怒ってないってさ。一吹はそう思いたいでしょ? 二見のことは一吹が一番わかってるんだから、一吹が思ったことが正解なんじゃない?」
上手く言葉にまとまらなくて、話しながら俺自身が混乱してしまった。言いたいことは、ちゃんと伝わっただろうか。そう心配しながら顔を上げれば、涙を滲ませて静かに微笑んだ一吹と目が合った。
「……そうだな」
乱暴に涙を拭って、一吹はいつものように眩しい笑顔になった。
「ははっ、何かいろいろ思い出したらスッキリした。ありがとな、繋」
「俺は何もしてないよ」
「記憶を取り戻すきっかけをくれたのも、悩むオレを励ましてくれたのも繋だろ? オレ、お前が友達で本当に良かった。最高の親友だよ」
「なんだよ、急に照れくさいね」
「なんか、早めにそう伝えておかないといけない気がしてさ」
一吹は悲しみを混ぜたような微笑を湛えると、消え入りそうな声で言った。
幼馴染で親友の二見の死を思い出したから、そう不安になるのも仕方ないだろう。一吹はきっと、二見にもそう言いたかったはずだ。
パチッと音がして瞼が開いた。
妙に鮮明な視界に飛び込んできたのは、絵の具をそのまま溶かしたような、鮮やかな青だった。宙を揺蕩う綿雲は、ふわふわと笑いながらどこかへと流れていく。
体中が痛い。それに、なんだか感覚が変だ。俺は不思議に思ってゆっくりと上体を起こした。
だが、そこにあった光景に再び気を失いそうになる。
「お、折れてる……⁉」
俺の右足は、あらぬ方向へと曲がっていた。折れ曲がった鉄パイプみたいな自身の足は、ぐにゃりとその体を歪めている。それを自覚した途端、ジクジクと熱を持った痛みが右足から湧き出てくる。
おまけに上体を起こすときに地についた手も傷だらけで、指がいくつか動かない。なんだか、頭もすごく痛い気がする。
何があったんだっけ、と俺はボーっとする頭で考える。そうすれば、意外にも簡単に事の経緯は思い出せた。
俺は、三階の窓から投げ出された。抗う術なんてなくて、そのまま地面に落下した。全身を砕くような痛みが走ったのも覚えている。そういえば、最後に一吹が降ってきたような……。
「い、一吹っ!」
俺はすぐ横に倒れていた一吹をようやく視界に捉え、慌てて名前を呼んだ。彼の体を揺さぶろうとしたところで、異変に気が付いた。
「う、うわあああっ⁉」
彼は頭から血を流して地面に倒れていた。顔はうつぶせになっていて見えない。投げ出された手は俺の足みたいに歪に曲がっている。
よく見れば、俺が寝転んでいた場所も赤い液体がペンキをぶちまけたみたいに広がっていた。
明らかに致死量だ。
それなのに、俺は生きている。痛みも感じるが、見た目にしては痛みが少なすぎる。
「ん……繋……?」
俺の叫び声を聞いて、一吹が居眠りから目覚めるようにのんびりと起き上がった。
「い、いい一吹! それ大丈夫なの⁉」
「へ? いや大丈夫って何……は⁉ 繋、お前どうした⁉」
「なに⁉」
「むりむり、ハロウィンの仮装か⁉ こ、怖いからやめろよ!」
一吹は半泣きになりながら、俺から後ずさる。ひどく青ざめたその顔に、俺は嫌な予感がした。
「……俺、どうなってるの?」
震えた声で問う。赤い液体の上でへたりこんだ一吹は、か細い声で答える。
「あ、頭から大量の血流してる……顔血まみれだぞ……」
「マジかぁ……」
俺は額を押さえて溜息を吐いた。
三階から、しかも頭から真っ逆さまに落ちればこうもなるだろう。何故生きているのかは不明だが、かなり酷い状態のようだ。
「……俺、生きてる?」
「生きてる。オレは?」
「生きてる」
「そうか」
二人してそう確認し合うと、何とも居心地の悪い沈黙が満ちた。生温い風が致死量の血を流した俺たちの間を寂しく吹き抜けていく。
「いやいやいや、これどうなってんの⁉ 世界の秘密とか以前に一番ヤバイことになってない⁉」
「お、落ち着け繋……! やっぱオレたちは不死身の実験させられてんだって!」
「そんなわけないだろ⁉ いや、どうなんだろ⁉ 俺、本当に生きてるの⁉」
「い、生きてるって! わけわかんねぇけど生きてる! だから体に何かされてんだって! 落ち着け!」
「む、無理だって! で、でも……一吹の言うこと、なんか正しいように思えてきたな……」
頭がクラクラする。
俺は顔についた血を拭いながら再び溜息を吐いた。
何がどうなっているのだろう。一吹の仮説を聞いて、実験体云々の話も頭の片隅にはあったが、いざそれが現実味を帯びてくると混乱する。俺たちは本当に死なない体になってしまったのだろうか……?
そう思った時、ザザッと音がして視界が乱れた。何の音かと首を傾げていれば、視界に映る折れ曲がった自分の足がみるみるうちに元に戻っていった。小さな光の粒子が足の先端から太ももの方まで迫り、折れた足を治していく。
それは一吹も同じようで、血まみれの体が光の粒子によって元通りになっていった。
「……本気でなにこれ」
「オレにもわかんねぇよ……一瞬で怪我が全部治っちまった」
「血の跡も少しずつだけど消えてくし……もう、何が起きてるのやら……」
俺たち二人がありえない事象に混乱しながら話しているうちに、落下して完全に死を迎えたはずの体は元通りになった。ゲームによくある回復魔法を受けた気分だ。
俺も一吹も北原も、怪我をしてもすぐに治癒された。今まで何度か軽い怪我はしたことがあったが、こんなに早く治っただろうか。いや、よくよく考えれば、怪我の治りは異常なくらい早かったかもしれない。それも世界の常識とやらの一部だったから今まで何の違和感も覚えなかったが、今となっては違う。
「……」
「一吹、どうかした?」
黙り込んで掌を眺めている一吹に問いかけた。
「いや、さっき思い出してさ」
「え、ホント?」
「あぁ。繋を助けなきゃって思って飛び降りた時、走馬灯みたいな感じでさ。同じことが、昔にもあったなって」
「え……?」
俺は目を見開いた。
同じこと。つまりは、あんな高い窓から一吹は飛び降りたことがあるのだろうか。
「光牙がさ、上級生の怒りを買った時だよ。ちょっとした喧嘩みたいになってな、廊下で言い争ってたんだ。光牙は確かに問題児だけど、人を傷つけるようなヤツじゃなかった。たぶんな、それが上級生を余計に苛つかせたんだと思う」
俺達と共に落ちてきたであろうアルバムを拾いながら、一吹が懐かしむように語った。きっと、自分で口に出しながら記憶を確認しているのだろう。一吹の顔は、ひどく悲しそうに見えた。
「オレが止めに入ろうとした時だった。上級生が罵声を浴びせながら光牙を突き飛ばしたんだ。ドラマのワンシーンみたいだった。光牙は受け身をとれなくて、そのまま開いてた窓から外に放り出された。その時のこと、今やっと思い出したよ」
一吹は俺達が飛び出した窓を見上げ、悔しげに歯を鳴らした。
「初めて、光牙の焦った顔を見た。助けを求めてた。でもオレは、動けなかったよ。あまりに衝撃的すぎて。……そこからは、よく覚えてない。葬儀には出たし、長い時間を経て学校生活にも復帰した。……ずっと、何かが足りない生活だったけどな」
「……一吹」
「そんな顔すんなよ繋。オレ、大事なダチを思い出せてよかったと思ってんだ。あんな衝撃的な別れ方したくせに忘れたままとか、アイツに怒られちまうからな」
一吹はへらりと力なく笑う。見た事もないくらい、一吹は泣きそうな顔をしていた。
「オレ、アイツと約束したんだよ。一緒にレギュラーになって、全国大会で優勝しようって。ありきたりだけど、青春って感じがしていいだろ?」
「……うん」
「それなのにアイツは早くに逝っちまうなんて……」
一吹はそこまで言って口を噤んだ。
返答に困った。ここで励ますのも違う気がするし、ましてや一吹のせいじゃないよと言うのは禁句のような気がして。
自分の目の前で友人が死ぬなど、考えたくはない。だが、なぜか俺にはその気持ちが痛いほどわかってしまった。
さっき意識を飛ばしていた僅かの間に見た、奇妙な夢のせいだろうか。あの白い部屋で見た夢の続きのようなものだった。
あれが本当に俺の記憶ならば、俺は誰か大切な人を亡くしている。おそらくその人との思い出か何かが、俺の大切な記憶なのだろうが、肝心なあの少女の顔と名前が思い出せない。
「なぁ、繋。光牙のヤツ、怒ってるかな?」
「へ……?」
「なんで助けなかったのかって。オレがもっと早くに止めに入っていたら、今頃は光牙もここで一緒に楽しくバカやってたかな?」
助けを請うような顔をして、一吹が俺に訊ねてくる。
俺は彼から目を逸らした。話したこともない相手のことなど、正直言ってわかるわけない。だけど、もし俺が二見の立場だったら、一吹にそんな感情を抱かない。
窓から放り出された後、意識を失う直前に見えた一吹の顔はかなり焦っていて必死だった。そんな必死な顔をして手を伸ばしてもらえるほど、俺は彼に友達として想われていたのだろうと、あんな状況ながら嬉しくなった。
……二見も、そうであればいいのに。
「俺は二見じゃないからわからない。でもさ、怒ってないと思うよ。一吹と二見は親友なんでしょ?」
「そうだけど……」
「なら、信じてあげなよ。怒ってないってさ。一吹はそう思いたいでしょ? 二見のことは一吹が一番わかってるんだから、一吹が思ったことが正解なんじゃない?」
上手く言葉にまとまらなくて、話しながら俺自身が混乱してしまった。言いたいことは、ちゃんと伝わっただろうか。そう心配しながら顔を上げれば、涙を滲ませて静かに微笑んだ一吹と目が合った。
「……そうだな」
乱暴に涙を拭って、一吹はいつものように眩しい笑顔になった。
「ははっ、何かいろいろ思い出したらスッキリした。ありがとな、繋」
「俺は何もしてないよ」
「記憶を取り戻すきっかけをくれたのも、悩むオレを励ましてくれたのも繋だろ? オレ、お前が友達で本当に良かった。最高の親友だよ」
「なんだよ、急に照れくさいね」
「なんか、早めにそう伝えておかないといけない気がしてさ」
一吹は悲しみを混ぜたような微笑を湛えると、消え入りそうな声で言った。
幼馴染で親友の二見の死を思い出したから、そう不安になるのも仕方ないだろう。一吹はきっと、二見にもそう言いたかったはずだ。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる