私が小説を書くときは

富升針清

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勘違いの平面水槽

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「ほら、凄くない? 高足蟹っ!」

 目の前の水槽に鎮座する大きな蟹を見ながら、横で相馬先輩がいかに凄いかを力説してくれるが、イルカショーでの事故を引きずっている私にはどうも届かない。
 そう、あれは明らかに事故だった。
 故意で抱きついたわけでもないし、すぐ離れたし。
 だから、相馬先輩だって何も思ってもいないし、ショーが終わった後も何も言わなかった。
 いいことじゃないか。二人で来ている手前、気まずいことになるのはどうしても避けたいと思うのが人間の性だろ?
 でも、どうしてか。
 私の中では、その事実が酷くモヤモヤしてしまうのだ。

「蟹、大きいなとは思いますけど……」

 モヤモヤのせいなのか、いまいち目の前の蟹に乗り切れない。
 いや、待て。
 蟹だぞ? 蟹。
 よくよく考えればモヤモヤがなくてもただの蟹にそこまで乗れないような気がする。
 だって、蟹だし。大きくても、蟹は蟹だし。
 なんだろう。モヤモヤのせいじゃない気がしてきた。

「強そうじゃない?」
「そうですか? 私、戦ったら勝てそうな気がしますけど」
「いや、自分が戦うなよ」

 強いと言うなら、せめて私に勝ってから言ってほしい。

「俺、この水族館の中で一番好きなんだけどな」
「サメとか男子好きじゃないんですか?」
「サメはまた別だろ。ここにいるの、小さいサメじゃん。弱そう」

 基準が雑だな。

「私は高足蟹よりも、向こうで見た大きな魚方がいいかなぁ」
「強そうだから?」
「それもありますけど、水槽も他の場所よりも少し暗くて怖くないですか? ここ」
「水族館って全体的に暗いだろ? それに、高足蟹は深海に住んでるからな」
「そうなんですか?」

 ああ、だからここは特に薄暗いのか。
 深海の中に人間が入ってくるから。
 確かに水族館は暗いところの方が多いけど、ここは特に薄暗く感じるのはそのせいみたいだ。

「暗いところヤダ?」
「そうじゃないですけど、暗いと寂しい気持ちにならないですか?」

 薄暗い視界は、泣き疲れた後の視界に似ていると思う。
 誰もいない、ひとりぼっちような、孤独の膜に張られた色だと私は感じる。

「俺はならないけどな」
「人それぞれですしね」

 私と真逆の相馬先輩の返事に諦めを混ぜる。
 賛同してほしいわけではない。けど、お前とは別の世界にいるのだと言われたような気がした。
 そうだよね。この人は、そんな孤独な色の膜に張られるような人じゃない。
 私とは真逆。
 人に囲まれて、人に慕われて、人に求められる人生を歩んでる。

「俺は逆に暗いところが落ち着くな。明るすぎても目が眩むだけだし。ゆっくり呼吸ができる方がいいかな」
「ゆっくり、呼吸?」
「そ。周りの忙しないのが見えないの、良くない?」

 あ。

「仄暗い膜に貼られたら、明るい中でも居場所ができると思うんだよね」

 真逆なのに。
 私と全く違うのに。
 貴方には、この膜が見えるのか。感じられるのか。

「そうですね。それは、思います」

 ふと、自分から笑みがこぼれ落ちる。
 この人は同じ景色が見えているのかなって、思ってしまう。
 そして、それがたまらなく嬉しい。

「じゃ、行こうか?」
「まだ、蟹見てなくていいんですか?」
「いいよ、そんなに受けなかったし」
「え、やや受けましたよ。深海の部分が」
「最後の方じゃんっ」

 仄暗い底で呼吸が出来る蟹も、悪くはないかもしれないな。
 
「あ、ペンギンいますよ! 相馬先輩っ」

 蟹の次に訪れたのは、ペンギンの水槽だ。
 一面雪化粧に彩られた水槽なのかと思っていたのに、岩場のある浜辺のような作りをしている水槽に思わず驚いてしまう。
 大小様々なペンギンが、泳いだり、佇んでいたり。
 その可愛らしさに多くの人達が目を奪われていた。

「数多いよな」
「沢山いますよね」

 人の合間を縫って先輩と水槽前に体を移す。
 目の前に水に浮かぶペンギンとふいに目が合うが、人間と違って気まずさはない。

「相馬先輩、知ってますか? ペンギンって実は足が長いんですよ」
「お前、それこの前テレビで観たやつだろ?」
「あ、見てましたか」
「妹が観てたのを見てた」
「妹さん、いるんですね」

 新情報だ。
 噂は嫌というほど知っているのに。

「いるよ。中二で、生意気なのが」
「一つ違いなんです?」
「そ。そっちも兄貴いるんだっけ?」
「え? ああ、居ますね。二人います。大学生と高校生の兄が」

 そういえば、水族館に行かない話に兄を出してしまったな。

「仲良いの?」
「どうだろ? 私は悪くないとは思ってますけど、向こうは鬱陶しい奴だと思ってるかも。下の兄とは最近話した記憶がないかな」

 喧嘩してるわけでもないけど、元々寡黙な人物である下の兄との会話は上の兄よりも随分と少ない。
 最近は部活が忙しいのか、家にいることも少ないし、上の兄と違って私につっかかることもない。
 様は陰キャラなのだ。下の兄も。
 うちで陽キャラなのは上の兄だけだ。

「それは、仲悪くない?」
「そうですか? ペンギンだって、喋らないじゃないですか。でも、近くで温め合ってる。それと一緒ですよ」

 そう。嫌いとか好きとかじゃない。でも、近くでテレビを観たり本を読んだりしている。
 今、目の前で温め合っているペンギンと一緒。言葉を交わさなくても、一緒にいれる。それだけだ。

「私、話すの苦手なんでそっちの方が助かりますし」
「俺とはよく話すじゃん?」

 それは、先輩だから。
 他意はない。他意はないが……。そう言ってしまうと恥ずかしくて、思わず私は話題をずらす。

「相馬先輩は妹さんと仲良いんですか?」
「うち? んー。多分、良くない。勝手に人の部屋入って漫画とか取ってくし、基本俺のこと馬鹿にしてるからなぁ。あいつ、性格悪いんだよ」

 この先輩のことを馬鹿にできるとは、一体どんなハイスペックな妹なのだろうか。
 でも、先輩の妹だもんな。随分とハイスペックなのだろう。
 うちの団子三兄妹とはわけが違う。

「甘えてるんですね」
「圧が凄いんだよ」
「兄の部屋勝手に入ったらウチなら吹き飛ばされますよ。特に上の兄は」

 大兄ちゃんに何度殴られて吹き飛ばされた過去があると言うのか。今はそうされないけど、小さい頃は足し首を持たれ逆さに吊るされたこともあった。
 相馬先輩はそんなことしなさそう。
 コラーって怒られるぐらいかな。

「優しいですよね、相馬先輩は」
「普通だろ?」
「うちの兄と比べると格段に」

 でも、相馬先輩みたいなお兄ちゃんが欲しいとは思わない。
 いいな、優しくて。そうとは思うが、羨ましさとは何か違う。
 なんだろうな。
 お兄ちゃんだったら、嫌なのかな。

「あ、あのペンギン可愛い」
「え? どれです?」
「小さいの。目閉じててプルプルしてる」
「寒いのかな?」
「寒がりのペンギン? はは。面白いじゃん」

 そう言って、先輩はペンギンにカメラを向けた。

「可愛い写真撮れたな」
「ばっちりです」
「いい仕事した。待ち受けにしよ」
「ペンギン好きなんです?」

 蟹はどうした、蟹は。
 思わず高足蟹の思い出して、彼、いや、彼女かもしれないけど、簡単に捨てられた無念を晴らすべく代わりにムッとした顔を私は作る。
 でも、先輩はそれを無邪気に笑って、ペンギンの姿を移したスマホの画面を私に見せた。

「好きでも嫌いでもないよ。ただ、なんか楽しくない? 今」

 楽しい?

「楽しい、ですけど?」

 そりゃ、楽しいよ。初めての水族館で、隣でくだらない話をしながらペンギンを見てる。よくわからな楽しさがある。
 でも、それがどうして待ち受けが関係あるんだろうか?

「待ち受け見れば、いつでも楽しかったなって思い出せるじゃん」
「それは、そうかも、ですね」

 思わず目を見張る。
 思い出すのか。
 私と来た、この水族館を。この人は。

「でも、待ち受けはやめて下さい」
「何で?」
「待ち受け変えられたら、水族館楽しくなくなったと思って悲しくなるじゃないですか」
「……なんかお前、俺に似てきちゃったね」
「大袈裟と?」
「ちょっと待て、お前大袈裟とかいつも思ってたの?」
「割と」
「そこは嘘ですよだろ」
「嘘なのに?」
「え? 待って。どっちの意味で?」
「さあ、相馬先輩、次行きましょう。次はマンボウです」

 どっちの意味かは、後で是非とも考えて欲しい。しかし、今この場で考える時間はないのだ。
 我々に課された任務は、今日中にこの水族館のデートコースを制覇することだ。
 遊んでいる時間などない。
 私達は登ったり降りたり、まるで海底を歩いているように突き進む。
 横を向けば人影の向こうに魚達が泳ぎ、我々とは違う上へ下へと忙しなさを覚えた。
 海の底は、美しい。でも、同時に仄暗さが陸とは違う怖さを覚える。だが、一人ではない。群れで、個で、すれ違う。
 陸とは違う、無音の中で。
 私達は写真を撮ったり、メモをしたり。

「ここで告白とかしないの?」
「主人公達の話ですか? しないですね」
「付き合ったあとじゃないの? デートなのに」
「男の子が一方的に思っているだけで、正式なデートではないので」
「悲しい現実か?」
「生徒会室で現実の無情さを学んだもので」
「あれは俺が悪くないのに責められてる感じがする」
「責めてはなですよ」

 薄暗い館内はすれ違う人の顔すら照らさない。
 どんな顔をしているのか、目を凝らさなければ影絵の様に形を保っている隣人かの様だ。
 魚達は私達を見て、何を思うんだろう。
 そして、恋人達も。
 互いにお互いを自分たちに重ね合わせたりしているのだろうか。

「そろそろ飯食う?」

 相馬先輩に貰ったオレンジジュースで喉を潤していると、横にいる先輩が顔を向けてきた。
 先輩が言う通り、随分と歩き回ってしまった。

「そうですね。いい時間になってきましもんね」

 時計を見れば、一時に近い。

「門限何時だっけ?」
「私ですか? 五時です」
「ここ、どれぐらいに出れば間に合いそう?」
「一時間はかかるので、四時の電車には最悪でも乗りたいです」
「そうなると、一々外に出るのは得策じゃないな。中でメシ食うか」
「はい」
「入り口近くに食べるところあるから、戻ろうぜ」
「わかりました」

 相馬先輩提案で私たちが入り口付近に戻る途中、大きな階段を下り終えた所に来館の記念撮影のブースが設けられていた。
 今日の日付に、ここに来たとばかりにペンギンやイルカや魚達の写真が所狭しとパネルの上に散りばめられている。
 まるで、そこは平面の水槽みたいに。
 あんな所があるんだ。
 あそこで写真を撮りたいとせびる主人公に、地味な彼は乗り気じゃない場面。だけど、彼女のことが好きだから、惚れた弱みでついつい一緒に写真を撮ることになってしまう。
 今、そのブースで幸せそうに手をつかないで写る恋人達の様な事はできないけど、それが精一杯の彼の彼女への頑張りだった。
 とか。
 いや、でもな。イルカショーで告白して振られたと思ってる人間がそんな浮かれたことするかな?
 前後させてるのも、何か……。
 私がそんな事を考えながらブースを見ていると、恋人達の写真を撮り終えたスタッフのお姉さんとバチリと目があった。

「そこのオソロのパーカー着てるカップルさんっ! 記念撮影どうですか!? 今ならお撮りしますよっ!」

 思わず、私は自分の後ろを振り向いた。
 だけど、人はいない。
 まさかだけど、オソロって、お揃いって日本語の略?
 もしかして、私と相馬先輩のこと?
 そんな馬鹿な!
 これは不味いと、急いで否定の言葉を出そうとすると、先輩が私の肩を叩いた。

「面白そうじゃん。撮ろうぜ」
「何でっ!?」

 思わず悲鳴に近い声が出た。
 面白いことなんて一つもないだろ!?
 何が面白いんだっ!?

「ジュース奢ったお返し、これで良いから」
「ちょっ、ちょっと!」

 それぐらいならお金を返させてくれと言いたかったのに、相馬先輩はスタスタとスタッフさんの所へ行く。

「撮りまーす。スマホでいいっすか?」
「良いですよー。彼女さんの携帯でもお撮りしますよー」
「俺のだけで大丈夫ですんで」
「はーい。じゃ、パネルの前にお願いします」
「ほら、伊鶴。行くぞ」

 そう言って、呆然としていた私の手を取り、先輩が歩き出す。
 名前を呼ばれて、手を握られて。心臓が爆発しそう。
 断らなきゃ。私なんかと撮ってもって、言わなきゃ。
 でも、そんな言葉はいつまでたっても出てこない。一人できたら、こんなことになってなかったのに。皆んなに見られてる恥ずかしい。恋人同士でもないのに、先輩だって、私なんかと。言わなきゃいけない言葉が、熱に呑み込まれて行く。
 キラキラした、相馬先輩の笑顔と、体温に。
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