35 / 110
俺のもの 1※
期間限定の婚姻が終わるまであと一ヶ月と少しとなった。
最近バウデンの帰りが遅い。
何でも一ヶ月後に行われるバロアス国の周年式典で色々問題が勃発しているようだ。
バウデンだけでなくコーネインやホーイェン、スーランの代わりに役職のあるキリウも共に駆り出されている。
スーランはキリウから大まかな要因は聞いていた。
数年前まで隣国のロンダース国が荒れに荒れ、当時愚王が独裁を強行し国中が苦しんでいた時に、その影響を受け始めたバロアス国が関与し新国王が誕生した。
それからは国は再生に向け今では幾分か落ち着いてきてはいるが、ここ最近処刑された前王に従っていた残党と、妾の子が暗躍しているという噂があることまでは何となく聞いていたのだ。
そして来月に控えた周年式典において、その残党が怪しい動きをしているらしくバウデンの魔術隊始め国王や宰相、騎士隊や特殊部隊全てが水面下で動いているとのことだった。
今夜の夕食時も、バウデンだけでなくキリウもまだ帰っておらずスーランは最近お気に入りで何度かお願いしているスティックパイをクラムチャウダーに添えてもらいぽりぽり齧りつつ、困ったなと考える。
前回バウデンと性交したのは五日前。魔力的には沢山精製したり急激に魔力を使わなければ問題ないのだが、ここ最近まで二、三日空けずに性交をしていたので、ちょっと身体が欲しているのもあるがバウデンとほぼ会えていない。
要はバウデン不足なのだ。
それでも魔力不足ならともかく、バウデンの多忙さとそれに比例する疲労は理解しているので奔放で身勝手なスーランでもそれくらいはわかっている。
最近良く触れてくれるバウデンの手、頭や額に落ちる唇が温かくて、どちらかというとそれが欲しいのだ。
今までの性交相手にそれを望んだことが一度もなかったスーランは、溜息を吐きながらここ最近定期的に心がきゅっとなりしくしくなる様を持て余していた。
バウデンのことを考えると甘くも切ないなんとも言葉に言い難い気持ちになることが増えた。
(こんな風になるなんて予想してなかったしな。…期限があるのに困ったな)
スーランはぽてぽてと歩きながら部屋に戻っていった。
入浴後、スーランは果実水をお供にキリウに渡す研究成果をまとめていた。あと二ヶ月あるとはいえ、万が一の可能性を考え早めに仕上げておきたい。
明日は休みなので少し夜更かしして二刻ほど集中し、ある程度まとめ上げた。
時刻を確認すると、もう日付が変わろうとしているが、周りは静かなのでバウデンはまだ戻っていないのだろう。スーランは目を擦りながら寝台に入り掛布を巻いて頭まで包まった。
いつもなら直ぐに眠気がくるのに今夜に限っては意識が沈まない。先ほどから胸がしくしく苛み、頭の片隅にずっとある期間限定の文字。
更にはバウデンに会えない、触れられないと様々な気持ちがごちゃまぜになってスーランは今までに経験したことのない憂鬱な気持ちになっていた。
「…あー困ったな、本当に。でも、顔見たいし話したいし触れたいし…ついでにヤリたい」
スーランは寂しさからもぞもぞと夜着をたくし上げ、胸に触れる。バウデンの大きな手が包むように触れて指の腹で先端を擦るようにしたり、少しだけ強く摘んだりするのを思い出しながら自慰を始めた。
(…自慰、久しぶり…でもこれですっきりして眠れるかも)
胸を交互に弄りながら、スーランは既に湿っている下着に手を伸ばしぷくりと浮き出ている突起を布の上から緩やかに擦る。
「ん、ん…」
息が乱れ直接触れたくて下履きと下着を脱ぎ、びっちょりと濡れた蜜壺に指を入れて蜜液を掬い、陰核に塗り込めながら撫で回す。
「はっ、ふ、んんっ…」
いつもスーランから犯す体が定着しつつあるが、実はあまりバウデンはスーランの陰部に集中して触れたことがない。
スーランがいつも我慢出来ずにバウデンの雄を取り出して挿入してしまうからなのだが、以前バウデンが律動時にスーランの陰核に触れた時、あまりの快感に半分泣きながら表裏共に達してしまったことがある。更に口づけと一緒だともうあまりの気持ち良さにおかしくなりそうだった。
何故バウデンだとそうなるのか不明だが、間違いなく集中して責められたらひんひん啼く可能性が高いと、スーランはなるべくその前にバウデンを先に情欲に引き込もうと努力していた。…勿論半分以上はちょっと抵抗するバウデンを見るのが楽しみでやっていたのだが。
「ん、ぁ、ぁぁ…っ」
陰核の一番好きな部分を執拗に捏ねくり回しながら、スーランはバウデンに触れられた時のことを思い出すとあっという間に果てた。
陰核を優しく擦りながら、もう一方の手の指は蜜壺に侵入させて中がひくつく様を感じ笑みが溢れる。
「ん、ふ、…バウデンさんの雄が欲し…」
スーランは二本目の指を蜜壺に入れ、気持ち良い場所をくちょくちょと擦り上げるが物足りない。
満たされない指では達せそうになく、バウデンから与えられる狂おしい快楽を思い出しながらスーランは切なく収縮する中をかき乱して何とか少しずつ昇りつめていく。
「…張形、頼もうかな…ぁ、ん…んぅ、―――――――」
その時だった。
包まっていた掛布がばっと無くなり、既に下履きを脱ぎ捨てて、上は胸元まで開けているというあまりに淫らな状態のスーランの身体にひやりとした空気が舞い込んだ。
そんな姿であるのに、もう少しでイケそうだったかもしれない苛立ちの方がスーランとしては勝り、振り返るとそこには入浴後のバウデンが唖然として立っていた。
あなたにおすすめの小説
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
年下で可愛い旦那様は、実は独占欲強めでした
由香
恋愛
政略結婚で嫁いだ相手は――
年下で、可愛くて、なぜか距離が近すぎる旦那様でした。
「ねえ、奥さん。もうちょっと近く来て?」
人懐っこく甘えてくるくせに、他の男が話しかけただけで不機嫌になる彼。
最初は“かわいい弟みたい”と思っていたのに――
「俺、もう子供じゃないよ。……ちゃんと男として見て」
不意に見せる大人の顔と、独占欲に心が揺れていく。
これは、年下旦那様にじわじわ包囲されて、気づいたら溺愛されていた話。
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~
世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。
──え……この方、誰?
相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。
けれど私は、自分の名前すら思い出せない。
訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。
「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」
……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!?
しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。
もしかして、そのせいで私は命を狙われている?
公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。
全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね!
※本作品はR18表現があります、ご注意ください。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
好きな人が嬢を身請けするのが辛くて逃げたら捕まりました~黒服の私は執着騎士に囲われる~
こじまき
恋愛
騎士が集う高級酒場「夜香楼」で女性黒服として働くソフィアは、客である寡黙な騎士ゼインに恋していた。けれど彼が指名するのはいつも人気花嬢イサナで、身請けも近いと予想されていた。
ソフィアは、叶わない想いにと嫉妬に耐えきれず、衝動的に店を去る。
もう二度と会うことはないはずだったのに、身請けした嬢と幸せに暮らしているはずの彼が追ってきて――
「お前への愛は焼き印のように刻まれていて、もう消えない」
――失恋したと思い込んで逃げた黒服が、執着系騎士様に捕まって囲われる話。
※小説家になろうにも投稿しています
ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて
木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。
前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)
ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。
ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。
ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。
竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。
*魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。
*お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。
*本編は完結しています。
番外編は不定期になります。
次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。